米ワーナー・ブラザースが「ハリー・ポッター」の大規模な展開戦略を明らかにしたと、米バラエティが報じた。
同社グローバルコンシューマープロダクツ部門のロバート・オーバーシェルプは、人気シリーズをリブートする理由について「バットマン」を例に挙げて説明。過去75年にわたり「バットマン」が人気を保ち続けているのは、絶えず新しいバージョンが生み出されているからだとし、「ハリー・ポッター」も同様の展開を目指す意向を示した。
中核となるのは、2026年放送開始予定のHBOドラマシリーズだ。すでにキャスティングが始動し、人種や民族、性自認を問わない多様性重視の方針が示されている。対象は25年4月時点で9~11歳の英国・アイルランド在住の子どもたち。原作7巻を7シーズンかけて映像化する野心的な企画で、「メディア王 華麗なる一族」のフランチェスカ・ガーディナーがショーランナーを務める。
11月14日からは、米フード・ネットワークとMaxでリアリティ番組「ハリー・ポッターウィザーズ・オブ・ベーキング(原題)」の放送が始まる。映画シリーズでウィーズリー双子を演じたジェームズ&オリバー・フェルプス兄弟が司会を務め、魔法界をテーマにしたケーキ作りを競う。
ゲーム部門では、「ホグワーツ・レガシー」が世界で3000万本を売り上げる大ヒットを記録。続編の開発も「最優先事項」として進められている。テーマパーク事業では、来年5月にフロリダ州のユニバーサル・スタジオ内に開業予定のエピック・ユニバースに大規模なアトラクションを展開する予定だ。
しかし、こうした戦略に批判的な声もある。映画版でポモーナ・スプラウト教授を演じたミリアム・マーゴリーズは「もう卒業する時期。25年前の子ども向けコンテンツに、いつまでもこだわるべきではない」と指摘。また、原作者J・K・ローリングの反トランス発言も影を落としており、新展開では同氏は直接関与せず、代理人を通じて情報共有を受けるにとどまっている。
それでもワーナーは強気の展開を続ける構えだ。同社インタラクティブエンターテインメント部門のデビッド・ハダッド社長は「若いファンも年配のファンも、みんな熱心なポッターファン。真摯な体験を提供していきたい」と意気込みを語った。