テレビアニメ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」の第二期「京都動乱」が10月から放送中だ。原作屈指の人気エピソードを、連続2クールで描く今作。緋村剣心役の斉藤壮馬、斎藤一役の日野聡、巻町操役の山根綺に、第二期の見どころやキャラクターの関係性、そして今作で剣心らの前に立ちはだかる強大な敵、志々雄真実と彼が率いる「志々雄一派」について話を聞いた。(取材・文/編集部)
――「京都動乱」では、操をはじめ新キャラクターが多数登場し、人間ドラマもさらに深くなっていきます。各キャラクターの関係性について教えてください。まずは、古い付き合いである剣心と斎藤一に対してはどのような印象を抱いていますか?
斉藤 剣心と一の関係性はすごく好きですね。仲間ではないし、友でもない。だが今や敵でもないというか。幕末という動乱の時代を生き抜いてきた2人だからこそ、仲間ではないが、時として、同じ目的のために背中を預け合うこともできる。まさに今回の「京都動乱」がそういった面が描かれます。
日野 男って、そういう感じ好きだよね。
斉藤 そうなんです! 単純にワクワクしてしまうというか。剣心は、意外と他の人には見せないような表情を一に見せたり、素でしゃべっていたりするような雰囲気の時があります。2人のそういった関係性は原作を読んでいてワクワクしましたし、日野さんとの掛け合いも楽しかったです。かっこいい2人、ロマンがある関係性だと思います。
日野 僕も好きな関係性です。友でもなく仲間でもないが、互いに信頼し合っているという不思議な関係値。戦乱の時代を生き抜いてきた2人だからこそ分かり合える。同志という言葉が正しいのかわかりませんが、「こいつなら」という熱い信頼はある。
斉藤 立場は違うけれど、この国をよくしたいという思いは共通してる。そこが熱いところですよね。
日野 斎藤一は剣心には「お前はどう思う?」って、けっこう聞くんですよ。意見をちゃんと聞く。それだけ信頼してる証なのかな。
――一方の剣心と操は、「京都動乱」で出会ったばかり。京都までの道中の2人のかけあいはどこかほのぼのしますが、剣心と操の関係性についてはどのようにご覧になっていますか。
山根 道中に操が乾パンを出して、剣心に「食べる?」って聞いて断られるという何気ないやり取りがすごく好きです。「あげないよん」みたいな。操は心をすごくオープンにしている子なので、誰に対しても初手からああいった振る舞いができるんだと思います。
なにより、剣心は操を上手に転がしてくれるというか、上手に対応してくれるので、2人の掛け合いは演じていてすごく楽しいです。
斉藤 個人的な意見ですが、剣心は操のことを「なんだか放っておけないな」みたいな感覚で接しているのかもしれないと感じています。操が自分の目的に向かってひたむきに行動している素敵な人だからこそ、剣心のお人好しな優しい部分が引き出されてしまうのかなと思っています。
剣心は「人と関わらないことで人を守る」という覚悟を決めて京都に向かっていましたが、操によって徐々に解きほぐされ、2人の会話はだんだんと対話になっていきました。これまで剣心が頑になった時、彼の心を柔らかくしてくれる誰かがいつもいてくれましたが、序盤においてはそれが操なのだと思います。
――操と四乃森蒼紫とのつながりも徐々に明らかになってきましたね。
山根 現段階では、操が一方的に「蒼紫様はこういう人でね」と剣心に話しています。
――操を演じる立場として、蒼紫の印象、そして蒼紫について話す操の姿をどのようにとらえていますか?
山根 私目線では、蒼紫は不器用だけど、心根はまっすぐで純粋な人。そして、そういう真っ直ぐなところに操も影響されて似ているんじゃないかなと思います。
操は、蒼紫がただ強くてかっこいいから「蒼紫様、大好き!」となっているんじゃなくて、この人の役に立ちたいとか、よくやったと一言褒めてほしい気持ちもありながら蒼紫様を想っているような気がします。
――もう一組、ぜひ関係性をうかがいたいのが、斎藤一と左之助についてです。大人になってから原作漫画を読み返したら、斎藤一と左之助の関係性を「なんかいいなあ」と感じました。
日野 一は、左之助のようなガツガツくるタイプは意外と好きなんじゃないかなと思っています。自分から誰かに寄り添っていくことはあまりないので、ガードを取っ払って突き抜けてくるタイプの方が、心を開きやすいのかなと感じます。左之助や操は物怖じせずガンガンくるので、なんやかんや言いながら好きなタイプだと思う(笑)。左之助のことを意外と気にかけてますし。「一緒に京都行きたいのならこうしろ」みたいなヒントを与えたり。
山根 さりげなく教えてくれるんですよね!
斉藤 「防御(まもり)のいろはも知らん」とか言ってましたよね。ってことは防御が学べれば? という(笑)
日野 素手で戦いながら、今の格闘技術はこうだぞみたいなね(笑)
――「京都動乱」といえば敵キャラクターの存在も大きく、そのなかでも最大の敵である志々雄真実は人気も高いですが、志々雄に対して「悪役だが惹かれてしまう」と感じる部分はありますか?
斉藤 非常にカリスマ性のあるキャラクターで、ビジュアルふくめて、ただ者ではない引き込まれてしまう魅力があります。そして志々雄は敵役ではありますが、悪役なのかというと……。
日野 悪って感じはしないんだよね。
斉藤 そうなんです。志々雄ってロマンを抱いている少年のような感じがあると言いますか。
日野 ひどい扱いも受けてきたしね。
斉藤 そうですね、国が悪い部分も多いですよね。だからこそ、志々雄の「どこか純粋な感じがする」というところが魅力的に映るんだと思います。見る人によってかなり印象が変わる人でもあるので、彼の印象がこれからどうなっていくのかも楽しみです。
山根 私は「もしも、自分がピンチの時に志々雄さんに出会っていたら?」と考えた時、この人についていったら面白い世界が見える気がすると思ってしまうぐらい、説得力があるキャラクターだと感じています。 自分の生き様や考え方に圧倒的な自信があり、存在に説得力があるというか……自分をこの人に変えてもらいたいって思っちゃうような。
――山根さん、今にも志々雄一派に入りそうですね(笑)
日野 (志々雄に)会ったらやばいじゃん!(笑)
山根 私はきっと、志々雄さんに会ってしまったら「志々雄さま!」となってしまいますね(笑)。この人が思い描いている世界を見てみたいなと……。そして私も、先ほどお話に上がったように、志々雄さんは悪役ではないのかもしれないなと感じています。
日野 僕も先ほど話しましたが、悪というイメージではないですね。国が悪い面があるので、ああなっても致し方ない部分がありますし。
志々雄一派は、世の中に対してちょっと思うところがある人たちの集まりです。だからこそ志々雄の思いに、より強くシンパシーを感じているのだと思います。志々雄は知的な部分もあって、なおかつ大胆であり、「この人だったら、本当に理想を実現させるんだろうな」という説得力がある。「信じてもいいかな」と思わせる、不思議な魅力を持っているキャラクターです……僕も志々雄に会ったら、もしかしたら一派に入っちゃうかもしれない。
斉藤&山根 (笑)
日野 志々雄さま! 俺も「十本刀」に!(笑)
山根 11本目に!(笑)
――まさかの志々雄一派への加入希望者が2人も出たということで(笑)、志々雄が率いる「十本刀」の中で好きなキャラクターを教えてください。
日野 安慈(あんじ)です。左之助もそうですが、真っ向勝負するタイプのキャラクターが好きなんです。安慈って、すごく優しいじゃないですか。あの風貌と心根の優しさ、そして戦いのスタイルふくめて、僕はコミックス(発売)当時からずっと安慈が好きでした。
山根 私は宗次郎が好きです。宗次郎に対して「喜怒哀楽の中で、楽以外の感情がないから殺気もない」というようなセリフが出てくるのですが、私は感情の起伏が激しいタイプなので、「喜怒哀楽がないなんて、そんなこと本当にあるのか?」と思うんです。初めて原作を読んだ時から「なぜこの子はそうなったんだろう」「この子の過去に何があったんだろう」と1番気になったキャラクターでした。
斉藤 僕も宗次郎が好きですが、せっかくなのでそろそろオンエアがある話数から選ぶと張(チョウ)ですね。序盤から登場する十本刀から刺客であり、非常にインパクトのあるキャラクターです。「これからこういう個性的な敵が次々と登場するのか」とも感じさせてくれます。選びきれませんが、濃いキャラクターといえば、あとは方治とか……。
日野 方治ね!
山根 方治はすごいですよね!
斉藤 おそらくオンエアを見てびっくりすると思います。方治は本当にすごいことになってます。志々雄様への愛と情熱が……。
日野 すごいインパクトだよね!
斉藤 十本刀は全員、かなり味付け濃いめになってますから、ご期待ください(笑)