アイドルグループ「SMAP」のメンバーから、オートレーサーに転身した森且行に迫ったドキュメンタリー映画「オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版」の完成披露上映会が11月11日、新宿ピカデリーであり、森と穂坂友紀監督が登壇した。
「SMAP」の一員として人気絶頂の22歳の時に、“幼少時からの夢”だったオートレーサーに転身。そして、2020年11月3日、24年目にして、ついに悲願の日本選手権初優勝を果たした森。映画は、穂坂監督が3年にわたり病院やレース場、幼い頃の思い出の場所でカメラをまわし、肉親やレーサー仲間、担当医、そして本人へのロングインタビューを通し、選手生命を脅かす怪我を負ってもなお、走ることを辞めない森の情熱を映す。
本作は、23年3月に開催されたTBSドキュメンタリー映画祭で上映された「オートレーサー森且行 約束のオーバルへ」をもとに大幅な追加撮影映像を交えて再編集したもの。森は「うそでしょ、と思いました。まさか全国の映画館で僕の映画をやるなんて、ちょっと信じがたくて。何度も監督に『冗談でしょ?』って聞いても、『本気です』って言われて……」と、TBSでのドキュメント番組から、映画として全国公開という大規模展開への驚きを告白する。
そして、「レーサー仲間には恥ずかしくて言えなくて……。宣伝を見た後輩に『森さん映画やるんですか? 誰が森さんのことを演じるんですか?』って、聞かれて(笑)。でも(説明が)めんどくさくて、『自分が演じてます』って言いました」とのエピソードを明かす。
この日は、森がレースで使用しているヘルメットと同じものがお披露目された。基本的に選手は自分で考えたデザインでペイントするそうで、森のヘルメットは、白黒を基調に、先端が様々な色で輝く星のモチーフなどがあしらわれたもの。「『音松くん』の時のメンバーカラーを入れてます」と森は、「SMAP」時代に参加していたバラエティ番組での思い出を刻んでいる。
森の「人間として、生き方に惚れた」という穂坂監督。本作のタイトルについて、「『SMAP』をやめて(レーサーとして)日本一を獲るっていうのは森さんにとっての約束だったと思うし、(事故後に)復帰するっていうのもファンとの約束だったと思うし、もう一度日本一の決勝の舞台に立つっていうのは森さんの自分との約束だと思って、いろんな意味を込めた」と説明する。
そして、3年間という長期にわたる密着取材を終え、「森ロスがやってくるのかなって思ってます。もうレース場や近くでカメラ回せないのかなと思うと寂しいですが、また60歳の且行、70歳の且行を見たいな、と思います」と、今後の森の活躍に期待し、続編への意欲を見せる。
森は「監督はこう言うんですよ……。そうするとファンの方々が喜ぶので、僕もやらなくちゃいけなくなっちゃう(笑)」と苦笑い。「監督が3年間もカメラを回してくれて1番撮りたかった画は、きっと優勝だったはず。優勝ができなかったことはちょっと後悔」と本音を吐露するも「日本選手権で準決勝にいけずちょっと悔しい思いをしたので、まずはSGにずっと出られるようなランクにいることを目指し、その後は優勝したい」と今後の目標を語り、「オートレーサーに転身してから28年が経ちましたが、まだまだ挑戦していくことがたくさんあります。僕が闘う理由を、この映画を通して感じてもらえたら」と、その強い闘志を観客に伝えた。
「オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版」は、11月29日から新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国公開。