相米慎二監督作品「お引越し」「夏の庭 The Friends」4Kリマスター版の予告編が公開された。
「セーラー服と機関銃」「ションベン・ライダー」「台風クラブ」などで知られる相米監督は、没後20年以上経った今も、日本映画界を代表する名優・監督らに圧倒的な存在感を放ち続けている。
1993年、第46回カンヌ国際映画祭で“ある視点”部門に選出された「お引越し」は、両親の別居から家族の危機に揺れる小学6年生の少女の心を描いた物語。35ミリオリジナルネガフイルムから4K解像度によるスキャンを行い、デジタルリマスター作業を施したリマスター版は昨年、第80回ベネチア国際映画祭クラシック部門(Venice Classics)に出品され、最優秀復元映画賞を受賞した。
「夏の庭 The Friends」(94年公開)は4Kリマスター版として修復されると、今夏、大々的に相米慎二監督特集が組まれた香港映画祭〈夏編〉にてワールドプレミア上映を果たした。原作は、世界十数カ国で翻訳出版されている湯本香樹実の小説。名優・三國連太郎の圧倒的存在感と少年たちの瑞々しい演技で映画化した。少年たちが、ある老人との交流から「死」と「生」を考える、ひと夏の成長譚だ。
このほど公開された予告編は、「お引越し」から離婚の危機を迎えた両親に挟まれながらも変化が理解できずに奮闘する娘レンコ、それぞれの主張や悩みに葛藤する両親の様子とともに、海外メディアからのレビューを紹介。「夏の庭 The Friends」は穏やかな音楽やあたたかな雰囲気のなかに、はつらつと響く少年の声が印象的だ。三國連太郎の圧倒的な存在感、オーデイションで選ばれた演技未経験の少年たちの瑞々しい姿が切り取られている。さらに、是枝裕和監督、濱口竜介監督からの熱いメッセージが、ふたりに与えた相米監督の大きな影響を感じさせる。
12月27日からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開。
▼予告編コメント全文
■是枝裕和監督
エドワード・ヤン、侯孝賢、北野武に比肩する映画作家として、
相米慎二という名前は、今まさに再発見されるべきだ。
■濱口竜介監督
相米慎二監督の作品は、どの映画にも、驚くべき身体が映り、声が響いている。
そう、驚くのだ。何度でも、何度でも。