韓国映画「満ち足りた家族」のジャパンプレミアが11月20日、都内で開催。約5年ぶりのスクリーン復帰となった俳優のチャン・ドンゴンと、ホ・ジノ監督が来日し舞台挨拶に立った。
まずは「こんばんは、チャン・ドンゴンです」日本語で挨拶。その後、「皆さんにお会いできてうれしいです」と久々の劇場公開作を引っ提げての来日の喜びを日本のファンに伝えた。
本作は、2023年のトロント国際映画祭を皮切りに、およそ20の映画祭に入選する快挙を達成した。弁護士の兄と医者の弟。それぞれに美しい妻を持ち、高校生の娘・息子を育て、何不自由ない満ち足りた生活を送っていた。だがある日突然、2人は子どもたちに関する恐るべき秘密に直面し、家族の運命が狂いはじめる――という物語。「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」のソル・ギョングが共演。
「危険な関係」(2012)以来、チャン・ドンゴンと12年ぶりのタッグとなったホ監督は「12年は長い時間でした。またご一緒できてうれしく思います。現場はとても楽しいものでした。彼といろんな話をしてジェギュというキャラクターを作り上げました。彼は映画の中で素晴らしい演技を見せています」とアピール。
ホ監督の代表作「八月のクリスマス」を見て以来、ホ監督作品に魅了されていたというチャン・ドンゴンは、「危険な関係」での思い出を語ると同時に、「実は15年前だったと思います。このタイトルを自分で言うのは気恥ずかしいのですが……東京ドームで行われた『韓流四天王』というイベントで、映像を監督してくださったので、実は、今作が3回目の共作です。今作はシナリオが興味深かったのです。これまでは非現実的な役が多かったのですが、今回のキャラクターは現実味があり、シナリオも面白く、さらに演出はホ監督だと知り、これは面白い作品になると確信しました」と出演の経緯を振り返った。
本作は、ヘルマン・コッホの世界的ベストセラー小説が原作で、既に海外で映画化されている。ホ監督は、敢えてこの題材を選んだ理由を「4回目の映画化で、韓国での映画化は最初はためらいがありましたが、シナリオを読み返すうちに、今まで私が作った作品異なるストーリーを込められると思いました。韓国の社会問題を掘り下げ、表現できる良い機会だと思ったのです。自分にとっても挑戦になると思いました」と明かした。
道徳的で善良な小児科医ジェギュを演じるチャン・ドンゴンは、役柄に惹かれた理由とともに、「現実に足の着いた役柄で、道徳的で、ボランティアを熱心に行ういい人。しかし、そういう人にも裏側があるということ、そういった人間性を立体的に演技で見せられると思いました。表面的なもののみならず、監督と話をしながら、彼の隠れた本性や弱点を少しずつ出していくのは、演技をしていく中でとても楽しい作業でした」と役作りを振り返った。
そして、最後に、韓国公開時の舞台挨拶で訪れた劇場の壁に「映画の中で答えを出している作品は観終わったらそこで終わるが、映画が終わって質問を投げかける作品は、観終わった後から映画が始まる」という言葉が書かれていたというエピソードを挙げ、「おそらく本作も映画を観終わった後に皆さんはいろんなことを考えると思います。どうかあれこれ考えを巡らせてください。本当に意味のあることを考えられる時間になると思います」と呼びかけた。
映画は2025年1月17日より全国公開。