映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
今週末2024年11月22日(金)から「六人の嘘つきな大学生」が公開されます。
私がこの作品を見て思ったのは、「兵庫県知事選のような映画だな~」ということでした。
本作は「IT系の就職活動の最終選考を競う6人の大学生の物語」なので「選挙」は一切関係ありません。
では、なぜそのように感じたのかを、以下で解説します。
まず、本作のメガホンをとったのは、佐藤祐市監督。直近ではNetflix版の「シティーハンター」で好評を博した監督です。
そして、佐藤祐市監督作品として忘れてはいけないのが、2007年の「キサラギ」。同作は、日本アカデミー賞では「優秀作品賞」「優秀監督賞」「優秀脚本賞」などに輝いています。
実は、「六人の嘘つきな大学生」を見た時に思い出したのが、この名作「キサラギ」だったのです。
「キサラギ」は、 脚本家・古沢良太のオリジナル作品で、「自殺したマイナーな女性アイドル・如月ミキの1周忌に集まった5人の男を描いた作品」です。
「キサラギ」が良く出来ていたのは、「物語が進むにつれて、情報のピースが増えていく→それによって“観客の見え方”が変わっていく」点で、脚本と演出が秀逸でした。
まさに「六人の嘘つきな大学生」は「キサラギ」的な作品。物語が進むにつれて、情報のピースが増えていき、“観客の見え方”が変わっていくのです。
一般に、物事の真相は多面的で、「Aだと思っていたものが、ある情報をきっかけに、全く正反対のBに見えたりする」ものなのです。
本作では、この仕組みを巧みに使って「就活の最終選考の場で起こった“ある事件”」を描きながら事件の真相を探っていく仕組みになっています。
今、話題となっている「兵庫県知事選」ですが、まさにこれも情報の取り方や解釈の違いによって「見え方」が大きく変わってくる事象です。
つまり物事は多面的なので、どの情報から結論を出すのかは、「本当にその情報だけで大丈夫なのか?」という問いを常に頭の片隅に置いておかなければならないのです!
このような「情報判断」の根本を再確認したうえで「六人の嘘つきな大学生」を見てみると、様々な展開で頭の訓練にもなります。
「兵庫県知事選」について、ここでは自分の考えは述べずにおきますが、本作の「犯人」の動機については、個人的には「ちょっと無理がある?」とは思いました。
果たしてあなたの判断がどうなるのかは、映画を見て「検証」してみてください。
さて、このところ新作映画に元気がなく、興行収入10億円というのが大きなハードルになってきています。「六人の嘘つきな大学生」にはそのハードルを超えることを期待したいです。