Netflixが、大ヒットドラマ「イカゲーム」シーズン2などの未公開映像流出に関連し、Discord社に対して情報開示を求める法的措置に踏み切ったことが明らかになったと、米Polygonが報じている。
カリフォルニア北部地区裁判所は11月22日(現地時間)、ゲーマーに人気のコミュニケーションプラットフォーム、Discord社に対し、未公開映像の流出に関与したとされるユーザーを特定するための情報提供を命じる召喚状を発行した。Discord社は、テキストチャット、音声通話、ファイル共有などが可能なSNSで、世界で約3億人以上のユーザーを抱える。
この法的措置は、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づくもので、著作権者による匿名ユーザーの特定を可能にするものだ。問題となっているのは、Discord社ユーザー「@jacejohns4n」による「イカゲーム」シーズン2の著作権で保護された画像の投稿。同ユーザーは現在削除されたX(旧Twitter)アカウントにリンクされていたTelegramのインタビューで、「ストリーミング史上最悪の流出」と自称する行為に関与したことを認めていた。
この流出事件では、「イカゲーム」のほか、「アーケイン」「ハートストッパー」「ダンダダン」「ターミネーター・ゼロ」など、複数の人気作品の未公開エピソードがインターネット上に投稿された。流出した映像には、タイムスタンプや透かし、制作過程の注釈が含まれており、これらはポストプロダクション段階の素材であることを示している。
Netflixは8月、同社のポストプロダクションパートナー企業がハッキング被害を受け、複数作品の映像が流出したことを確認。その後の調査で、カリフォルニア州に本社を置く映像ローカライズ企業Iyuno社が被害に遭っていたことが判明した。同社はAmazon Studios、BBC、ウォルト・ディズニー、HBO、ドリームワークスなど大手配信企業を顧客に持つ。
「当社は最近発生した機密コンテンツへの不正アクセスに関するセキュリティ問題を認識している。顧客の機密保持とコンテンツのセキュリティ確保が最優先事項だ」とIyuno社の広報担当者は声明で述べている。
著作権保護を巡っては、Discord社が韓国のゲーム会社Nexon社との間で「不適切で過度な負担」となるDMCA召喚状の発行を巡って係争中だ。「Discord社は法的義務を果たす用意があるが、著作権主張のパートナーとなることは義務に含まれない」と同社の法務担当者は主張している。
今回の未公開映像流出をめぐる法的措置の行方は、配信業界全体のコンテンツ保護とプラットフォームの法的責任の在り方に大きな影響を与えそうだ。