ジェシカ・チャステインが主演し、“忘れたい記憶を抱え続けている女”と、“忘れたくない記憶を失っていってしまう男”を描く「MEMORY(原題)」が、「あの歌を憶えている」の邦題で、2025年2月21日に公開されることがわかった。あわせて、ポスターと場面写真もお披露目された。
本作は、米ニューヨーク・ブルックリンを舞台に、記憶に翻ろうされる不器用なふたりが出会い、新たな人生と希望を見つけていくヒューマンドラマ。「或る終焉」「ニューオーダー」など、暴力的な描写とともに、人間の内面を真正面から描いてきたメキシコの俊英ミシェル・フランコがメガホンをとり、新境地を開いた。
物語の中心となるのは、ソーシャルワーカーとして働き、13歳の娘と暮らすシルヴィアと、若年性認知症による記憶障がいを抱えるソール。ふたりはある日、高校の同窓会で出会う。家族に頼まれ、ソールの面倒を見るようになったシルヴィアは、彼の穏やかで優しい人柄と、抗えない運命を与えられた悲しみに触れるなかで、少しずつ惹かれていく。しかし、彼女もまた過去のある傷を胸に秘めていた。
「タミー・フェイの瞳」で第94回アカデミー主演女優賞を受賞したチャステインが、過去と格闘するシングルマザーでソーシャルワーカーのシルヴィア役を務めた。「THE BATMAN ザ・バットマン」のピーター・サースガードは、若年性認知症を抱え、わずかに残る遠い記憶を慈しむソールという難役に挑み、第80回ベネチア国際映画祭の最優秀男優賞を獲得した。そのほか、シルヴィアの妹オリヴィア役にメリット・ウェバー(「ゴッドレス 神の消えた町」)、娘アナ役にブルック・ティンバー(「マニアック」)、母サマンサ役にジェシカ・ハーパー(「サスペリア」)を配した。全世界で1000万枚以上を売り上げた大ヒット曲であるプロコル・ハルムの「青い影」のエモーショナルな旋律が、登場人物たちの心情を際立たせる。
ポスターには、距離感を保ったまま見つめ合うシルヴィアとソールが切り取られ、「凍った心が溶けてゆく」というコピーが添えられている。忘れたいこと、忘れたくないこと――それぞれの悩みで世間を怖れ、殻に閉じこもっていたふたりは、導かれるように出会い、互いに支え合うことで、過去や人生と向き合おうと前を向く。場面写真には、シルヴィアとアナが笑顔で向き合うシーンや、どこか浮かない表情のシルビアのカットなどが切り取られている。
「あの歌を憶えている」は、25年2月21日に、東京の新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で公開。