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横浜流星、主演男優賞受賞の「正体」は「ひとつの集大成」 石原さとみは主演女優賞に輝き「親孝行できた」と感無量【第49回報知映画賞】

映画.com 2024年12月16日 19時18分

 今年度の映画賞レースの幕開けを飾る「第49回報知映画賞」の表彰式が12月16日、都内で行われ、主演男優賞を受賞した横浜流星(「正体」)、主演女優賞に輝いた石原さとみ(「ミッシング」)らが喜びを語った。

 横浜は昨年「ヴィレッジ」「春に散る」で同賞を手にしており、2年連続の受賞。さらに第47回では「流浪の月」で助演男優賞を受賞しているため、2022年から3年連続で報知映画賞の俳優賞に輝くという、同賞史上初の快挙を達成した。

 「正体」では、脱獄し姿を変えながら逃走する死刑囚を熱演し、「自分の中でもひとつの集大成になった作品」と強い思い入れを示す。何よりの喜びは“盟友”である藤井道人監督とのタッグで、「正体」が作品賞に輝いたことだ。約10年前、ともに作品を生み出そうと奮闘したが、最終的に企画が頓挫した経験も。「自分たちの力不足で、本当に申し訳なく思っています」と振り返り、「お互いに力をつけて、『正体』という素敵な作品に出合えた」と誇らしげだった。

 表彰式には共演経験があり、親交が深い俳優の阿部寛がサプライズで駆けつけ、「出会った頃から、今後の日本の映像業界を背負う俳優だと思った。役や芝居への向かい方も真摯だし、“変わらない”ことが魅力だと思う」と横浜の快挙を祝した。

 作品賞を受け取った藤井監督は、「仲間たちと何かを作り続けるのが好き。どこまで行けるから分かりませんが、これからも妥協せず、胸を張って映画を作っていると言える映画人でありたい」と決意を固める。同じ「正体」で初の助演女優賞に輝いた吉岡里帆は、「一筋の光が見えるような体験だった」と語り、「デビューしてから、自分の居場所や役割を探しながら葛藤し、どうしても空回りしちゃう日々もあった」と告白。それだけに「助演女優賞は、『そういうスタンスで頑張っていいんだよ』と言ってもらえたような、自分にとって大きな大きな出来事」と喜びを爆発させ、瞳を潤ませていた。

 「ミッシング」で主演女優賞を受賞した石原は、22年に第1子出産を発表後初めての演技で、愛する娘を失ってしまう母親を体当たりで演じ、新たな境地に立った。表彰式には、夫を演じた青木崇高と吉田恵輔監督が駆けつけ、石原は「えぇ、どうして?」と驚きの声。石原にとって、吉田監督の作品に出演することは、悲願だったといい「精神が壊れるギリギリだったんですが、『私はいま、吉田監督の現場にいるんだ。夢がかなっているんだ』と思えたから、乗り越えることができた」と感謝を伝えた。

 石原が報知映画賞を受賞するのは、「わたしのグランパ」(東陽一監督)で新人賞を受賞して以来、21年ぶり。その際、表彰式に同席した両親が、今年も駆けつけたそうで「本日は21年ぶりに、両親が病気を乗り越えて参加してくれています。本当に親孝行ができました」と感無量の面持ちだった。

 また、ベテラン俳優の奥田瑛二は、「かくしごと」(関根光才監督)で認知症を患う父親役を演じ、助演男優賞に輝いた。意外にも、報知映画賞の受賞は初めてで「自慢じゃないですけど、他(の映画賞)は持っています! いやぁ、良かった」と大喜びだ。さらに、娘役の杏がサプライズで登場すると、「ここ最近で一番うれしい」。杏の父親である渡辺謙とは、「海と毒薬」で共演する旧知の仲で「謙ちゃんの娘と共演というのは、(実娘の)安藤サクラと共演するより緊張した」と振り返っていた。

▽作品賞
「正体」(監督:藤井道人)

▽主演男優賞
横浜流星(「正体」)

▽主演女優賞
石原さとみ(「ミッシング」)

▽助演男優賞
奥田瑛二(「かくしごと」)

▽助演女優賞
吉岡里帆(「正体」)

▽新人賞
越山敬達、中西希亜良(「ぼくのお日さま」)

▽監督賞
塚原あゆ子(「ラストマイル」)

▽作品賞・海外部門
「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(監督:アレックス・ガーランド)

▽作品賞・アニメ部門
「ルックバック」(監督:押山清高)

▽特別賞
草笛光子(「九十歳。何がめでたい」)
平泉成(「明日を綴る写真館」)

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