英国音楽界の至宝エルトン・ジョンが、アメリカとカナダでの大麻合法化に対して、深刻な懸念を表明した。米タイム誌の2024年「Icon of the Year」選出を記念したインタビューで、薬物依存からの回復者として、その経験を赤裸々に語っている。
グラミー賞25回、アカデミー賞2度の受賞歴を誇る巨匠は「大麻には依存性があり、より危険な薬物への入り口となる可能性がある」と警鐘を鳴らす。「私も使用経験がありますが、正常な判断力が著しく低下します。両国での大麻合法化は、社会に重大な影響を及ぼす判断でした」と持論を展開した。
76歳のジョンは、1970年代半ばに当時のマネージャーで恋人だったジョン・リードを通じてコカインに手を染めた経験を持つ。「薬物の影響下では、人間関係において深刻な過ちを犯してしまいます。愛を求めるあまり、周囲の人々を束縛し、傷つけてきました」と当時を振り返る。
33年以上の断薬を継続するジョンは現在、薬物依存に苦しむアーティストたちの支援に力を注ぐ。世界的ラッパーのエミネムの回復支援や、英国の国民的歌手ロビー・ウィリアムズのリハビリ施設入院を後押しするなど、その活動は多岐にわたる。
「自分の問題に向き合い、それを認めることは非常に困難です。しかし、それこそが回復への第一歩なのです」
2019年の伝記映画「ロケットマン」で描かれた波乱の人生を経て、ジョンはいまなお第一線で活動を続けながら、薬物依存問題に警鐘を鳴らし続けている。