米ソニー・ピクチャーズが、同社が保有するスパイダーマン作品の悪役を主人公としたスピンオフシリーズの展開終了を決定したと、米The Wrapが報じている。
「スパイダーマン」の映画化権を握る同社は、トム・ホランド主演の本編シリーズに加え、トム・ハーディ主演「ヴェノム」をはじめとする悪役主体の独自作品群を展開してきた。だが、12月13日公開の「クレイヴン・ザ・ハンター」が、同スタジオによる最後のスピンオフ作品となる。
ソニーは今後、マーベル・スタジオとのパートナーシップに基づく実写映画「スパイダーマン4」と、アカデミー賞に輝いたアニメーションシリーズ最新作「スパイダーマン ビヨンド・ザ・スパイダーバース」の製作に経営資源を集中する方針だ。米業界大手のエージェントは「今後はスパイダーマン本編に焦点を当てていく」と今回の戦略転換を説明している。
この決定の背景には、「スパイダーマン」のスピンオフ作品の相次ぐ不振がある。2018年の「ヴェノム」は世界興収9億ドルを記録する大ヒットを記録したものの、その後の続編2作は徐々に興収を落とし、原作コミックのファンからも厳しい評価を受けていた。さらに「モービウス」や「マダム・ウェブ」は興行、批評の両面で期待を大きく下回り、SNS上ではバッシングの標的となっている。
一方、テレビドラマはニコラス・ケイジ主演の「スパイダー・ノワール」が優先プロジェクトとして進行中だという。ソニーが再び「スパイダーマン」のスピンオフ作品を再開させる可能性はあるものの、新たなクリエイティブチームの編成が不可欠とみられている。