サンクスギビングデーとクリスマスにはさまれた12月第2週の北米映画市場は、数週間にわたる好調を経て、一旦落ち着きを見せる結果となりました。新作2本が、週末3日間の興行収入ランキングのトップ10に登場しました。
大ヒットディズニーアニメの続編「モアナと伝説の海2」は、北米最大の上映規模となっており、3週連続で首位を獲得。週末3日間で興収2600万ドルをあげ、累計興収は3億3700万ドルを超えました。第82回ゴールデングローブ賞では、作品賞(アニメーション)にノミネートされています。
不朽のミュージカル「ウィキッド」を映画化した「ウィキッド ふたりの魔女」(ユニバーサル)は、4週目の週末も2位をキープ。週末3日間で興収2200万ドルをあげ、累計興収は3億5900万ドルを超えました。第82回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ミュージカル・コメディ)にノミネートされ、シンシア・エリボが主演女優賞(ミュージカル・コメディ)、アリアナ・グランデが助演女優賞の候補となっています。なお本作は、4位にランクインした「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」と並び、興行成績賞にもノミネートされています。
マーベルコミックの人気キャラクターで、スパイダーマンの宿敵として知られるアンチヒーローを主役に描くアクション「クレイヴン・ザ・ハンター」(ソニー)は、3位に初登場。アーロン・テイラー=ジョンソン(「TENET テネット」)は、裏社会を牛耳る冷酷な父ニコライ(ラッセル・クロウ)の息子クレイヴン/セルゲイを演じました。彼はアフリカでの狩猟中、巨大なライオンに襲われたことをきっかけに「百獣の王」のパワーを手に入れることに。父がもたらしたこの世の悪を始末するという目的を抱いたクレイヴンは、金儲けのために動物を殺める人間たちを次々と狩っていくなかで、縁を切ったはずの父との対峙を余儀なくされます。1億ドル以上の製作費に対し、週末3日間で興収1100万ドルをあげました。
ファンタジー大作映画「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の前日譚を描く長編アニメ「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」(ワーナー・ブラザース)は、5位に初登場。小説「指輪物語 追補編」に書かれた、騎士の国ローハン最強のヘルム王についての記述を膨らませたオリジナルストーリーが展開します。ブライアン・コックス(「メディア王 華麗なる一族」)が、ヘルム王の声を務めました。監督に「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズの神山健治が抜てきされ、「攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争」のStudio Sola Entertainmentがアニメ制作を担当。実写映画版のピーター・ジャクソンらが制作に名を連ねています。なお、「ロード・オブ・ザ・リング」のアニメ映画としては、1978年に製作された「指輪物語」以来となります。製作費3000万ドルに対し、週末3日間で興収460万ドルを記録しました。
10位は、ダニエル・クレイグが主演し、作家ウィリアム・S・バロウズによる85年の自伝的小説をもとにした「クィア(原題)」(A24)。3週目で拡大公開され、トップ10入りを果たしました。50年代のメキシコシティ、小さなアメリカ人コミュニティで、孤独な日々を過ごすアメリカ人元駐在員リー(クレイグ)はある日、行きつけのバーで、町にやってきたばかりの若く美しい青年ユージーン(ドリュー・スターキー)と出会い、次第にのめり込んでいきます。ルカ・グァダニーノ監督による、「チャレンジャーズ」に続く2024年の長編第2作となり、製作費5000万ドルに対し、興収79万ドルを記録。クレイグは第82回ゴールデングローブ賞の主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされています。