今年生誕90年を迎える昭和の大スター石原裕次郎をはじめ、浅丘ルリ子、岡田眞澄、和泉雅子ら数々の映画スター、中平康、藏原惟繕といった名監督を見出した日本映画界初の女性プロデューサー水の江滝子が、2025年にプロデューサーデビュー70年を迎えることを記念し、<企画:水の江滝子>ブルーレイ・DVDシリーズ全29作が、2025年4月から順次発売される。
水の江滝子(1915-2009、本名:水の江瀧子)は、1928年に松竹歌劇団の第1期生として入団。日本の少女歌劇史上初めて男役を演じ「男装の麗人」「タアキイ」として親しまれ国民的な人気を得た。その活躍ぶりは今年のNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」でも言及され、まさに戦前の昭和文化を代表するアイコンだった。戦後の1954年、映画製作を再開したばかりの日活に日本映画史上初の女性プロデューサーとして入社(プロデューサーとしての第1作「初恋カナリヤ娘」は1955年公開)。当時は男尊女卑のまかり通る男社会だった撮影所で、様々な逆境をはねのけ自ら数々のスター・スタッフを発掘。独自の嗅覚でプロデュースした映画は次々とヒットし、ついには「太陽族現象」で映画を超えた社会現象を巻き起こすまでに至り、世に送り出した作品は全79作となった。
このほど、日活が1912年から作り続けてきた7000本を超える映画・映像に光を当てることを目的としたレーベル「日活フィルム・アーカイブ」の2025年のブルーレイ・DVD商品として、水の江滝子プロデュース全29作品が発売される。
4月は、石原裕次郎の初主演作にしてヌーベルバーグ運動に影響を与えた「狂った果実」、21歳で夭折した伝説のスター・赤木圭一郎の「霧笛が俺を呼んでいる」、2,000人を超える新人オーディションを実施し、浅丘ルリ子のデビュー作となった「緑はるかに」を含む7作品をリリース。7月以降も、日本初のロードムービーとも言われる石原裕次郎・浅丘ルリ子主演の「憎いあンちくしょう」ほか計7作品、10月には藏原惟繕監督のデビュー作「俺は待ってるぜ」、12月には、倉本聰が脚本を手掛けた加賀まりこによるスタイリッシュな逸品「月曜日のユカ」など日本映画史に残る名作を続々発売していく。
日本映画の黄金時代を築き上げただけでなく、時代を超えて愛される映画を生み出した、女性プロデューサーの手腕、革新性が感じられるラインナップが一挙に楽しめる、貴重な機会となる。
なお、YouTubeチャンネル「日活フィルム・アーカイブ」(https://www.youtube.com/channel/UCOEpxi0ABKUYfLqF6KwJoRA)では、日活の歴史的名作から貴重な映像を毎週無料で紹介しており、水の江滝子の関連作品も、特報や予告編のほか、解説動画を順次配信していく。
さらに、AmazonPrimeVideoの有料チャンネル「日活プラス」(https://www.amazon.co.jp/channels/nikkatsuplusjp)では<企画:水の江滝子>の作品をいち早く配信。芦川いづみ本人が自身のベスト出演作に選んだ「硝子のジョニー 野獣のように見えて」、水の江滝子最後のプロデュース作である原田芳雄主演「反逆のメロディー」など、日活スターの出演作、名作の4K版からこれまで未配信・未DVD化だった作品まで400作品以上を月額390円(税込)で楽しめる。
▼コメント一覧
昭和31年4月14日、午前11時30分、私は初めて裕さんに逢いました。映画のロケから戻って撮影所へ衣裳合わせに行った時に、水の江滝子さんが「マコちゃん、石原慎太郎の弟にちょっと会って」と言われたのです。それが私たちの初共演の「狂った果実」(56年)のオファーの日でした。水の江さんは、慶應大学生だった裕さんを見出して、日本映画を代表するスターに育てた文字通りの名プロデューサーであり、私にとっては生涯のパートナーに出逢わせてくれた大恩人です。 ――石原まき子(女優)
14歳の頃、新聞で「緑はるかに」(55年)のヒロイン募集を見て、全くの素人だった私は、オーディションを受けました。日本初の女性プロデューサー、水の江滝子さんの企画です。そこで中原淳一さんに見出されて映画界に入りました。それから七年後には、石原裕次郎さんとの「憎いあンちくしょう」(62年)を企画してくださいました。少女から大人へ、私の転機となった映画は、水の江さんがプロデュースして下さったのです。本当に感謝しております。 ――浅丘ルリ子(女優) 写真:「緑はるかに」 左:浅丘ルリ子、右:水の江滝子
まだ13歳だった私は、コメディエンヌに憧れて柳家金語楼先生に弟子入りしていました。学校帰りにNHK「ジェスチャー」収録で、紅組キャプテンだった水の江滝子さんが、制服姿の私を見て、先生に「ちょっとこの子を貸して頂戴」ということで、日活で「七人の挑戦者」(61年)に出演することになりました。まだ中学生なのに18歳の役でした。それがきっかけで日活に入社、楽しい、楽しい「映画の青春」時代がスタートしました。今の私があるのも水の江滝子さんのおかげです。 ――和泉雅子(女優) 写真:「牡丹と竜」
日本テレビで「現代っ子」というドラマを書いていた時、水の江滝子さんが映画化を企画して、ぼくを映画界に引っ張ってくれたんです。当時、石原裕次郎さんは水の江滝子さんと同じ敷地内に住んでいたので、毎晩、ターキーさんの家に風呂上がりのビールを飲みにきていて、あとで監督になる齋藤耕一たちと語り合いました。ターキーさんは裕ちゃんという映画スターを生み出した人です。のちに裕ちゃんと石原プロモーションの「大都会 闘いの日々」(76年)をご一緒しますが、その出会いのきっかけもターキーさんが作ってくれました。――倉本聰(脚本家)
▼商品詳細
※仕様や特典は予定となります。予告なく変更する場合があります。
■シリーズ名:日本女性映画プロデューサー誕生70周年記念 <企画:水の江滝子>ブルーレイ・DVDシリーズ
■発売日:2025年4月2日(水)~
■価格:ブルーレイ5,500円 DVD4,400円 DVD廉価版2,750円(いずれも税込)
■特典内容:特製ピクチャーディスク、予告篇、ギャラリー ※予告篇原版のない作品は収録されません
●ブルーレイ
「狂った果実」(1956年、中平康監督、石原裕次郎/津川雅彦/北原三枝)
「霧笛が俺を呼んでいる」(1960年、山崎徳次郎監督、赤木圭一郎/芦川いづみ/葉山良二)
●DVD
「街から街へつむじ風」(1961年、松尾昭典監督、石原裕次郎/芦川いづみ/小高雄二)
「邪魔者は消せ」(1960年、牛原陽一監督、赤木圭一郎/清水まゆみ/葉山良二)
「狼の王子」(1963年、舛田利雄監督、高橋英樹/川地民夫/浅丘ルリ子)
「太陽と星」(1962年、牛原陽一監督、二谷英明/和田浩治/和泉雅子)
●DVD廉価版
「緑はるかに」(1955年、井上梅次監督、浅丘ルリ子/フランキー堺/浅沼創一)
■2025年7月2日(水)発売
●ブルーレイ 「憎いあンちくしょう」(1962年、藏原惟繕監督、石原裕次郎/浅丘ルリ子/長門裕之) 「紅の翼」(1958年、中平康監督、石原裕次郎/芦川いづみ/中原早苗)
●DVD 「アラブの嵐」(1961年、中平康監督、石原裕次郎/芦川いづみ/小高雄二) 「月蝕」(1956年、井上梅次監督、三橋達也/月丘夢路/金子信雄) 「帰ってきた狼」(1966年、西村昭五郎監督、山内賢/ジュディ・オング/鍵山順一) 「海の勝負師」(1961年、藏原惟繕監督、宍戸錠/笹森礼子/中原早苗)
●DVD廉価版 「ひとりぼっちの二人だが」(1962年、舛田利雄監督、坂本九/吉永小百合/高橋英樹)