永野芽郁と佐藤健が共演し、人気漫画を実写映画化する「はたらく細胞」(公開中)の撮影裏話とメイキング写真を、映画.comが独占入手。観客から人気を集める“笑撃”の肛門シーンは、「ゴジラ-1.0」でも知られる「白組」のVFXと、多くのキャスト・エキストラによる“人力”の化学反応で作り上げられている。
本作は、細胞を擬人化して描き、その斬新かつユニークな設定が大きな話題を呼んだ漫画「はたらく細胞」とスピンオフ漫画「はたらく細胞 BLACK」を実写化するもの。「翔んで埼玉」の武内英樹監督がメガホンをとり、同作で組んだ徳永友一が脚本を担当した。
12月13日に公開されると、国内映画ランキングにて、2週連続で1位を獲得。累計で観客動員数128万人、興行収入17億円を突破した。公開週のオープニング興収は、2024年に公開された実写邦画作品のなかで、「キングダム 大将軍の帰還」「ラストマイル」に次ぐ3位の好成績となり、最終興収50億円も視野に入る大ヒットスタートを切った。
本作では、細胞たちが活躍する体内のファンタジックな世界観を実写化。SNSでも「体内描写が秀逸。背景にある小道具なんかも力が入っている」「背景美術面白かったからじっくり眺めたくなる」「キャラクターや背景や小物やCGどれも本気を感じた」など、絶賛の声が続々と寄せられている。
劇中では、細胞たちのはたらきを、健康な高校生・日胡(芦田愛菜)の体内と、“不摂生にもほどがある”父・茂(阿部サダヲ)の荒れ果てた体内を対比する形で、分かりやすく表現している。日胡の体内では、広大な大自然が広がり、色とりどりの建物が建ち並び、細胞たちも楽しげにはたらいており、まさに“はたらく細胞ワンダーランド”と呼ぶにふさわしい平和な雰囲気だ。
一方、茂の体内は、アルコールの豪雨、コレステロールで通りづらくなった道、たばこによる一酸化炭素注意報など、不摂生のせいで起こるあらゆる弊害から、荒み切った、場末感漂う世界として表現されている。人体への影響が視覚的に分かるように工夫された描き方は、「芦田愛菜の体内がきれいなテーマパークみたいなのに阿部サダヲの体内は昭和の汚い街並みみたいでうまいこと考えてるなって思った」など、好評を博している。
そんな体内世界の表現に一役買ったのが、邦画史上最多規模のエキストラの協力だ。37兆個もある細胞のはたらきを表現するため、総勢約7500人のエキストラを動員し、日本全国21都市31カ所でロケを敢行。それぞれの体内で実際に日夜はたらいている細胞の表現に、説得力をもたせている。
キャスト・エキストラの人力ともうひとつ、この独特なワンダーランドを表現するために、白組のVFXの技術も大いに貢献している。武内監督とは「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」「もしも徳川家康が総理大臣になったら」などでタッグを組んだVFXスーパーバイザーの長崎悠が、武内監督が求める細やかなニュアンスを具現化している。
なかでも観客に大きなインパクトを残したのは、茂がトイレを我慢するシーン。米サンディエゴアジアンフィルムフェスティバルでのインターナショナルプレミア上映でも、同シーンは爆笑の渦となり、武内監督は本作の題材が、国籍・国境は関係のない普遍的なテーマだと再認識したという。
メイキング画像がとらえているのは、トイレを我慢している茂の肛門内の風景。屈強なラガーマンの姿をした外肛門括約筋(一ノ瀬ワタル)たちと巨漢の力士の姿をした内肛門括約筋が、便を出す・出さないでぶつかり合う、“武内監督節”が光る爆笑必至のシーンだ。赤く光る提灯に大きく「肛門」と書かれた薄暗い空間で、大柄な男たちがスクラムを組んで便を食い止めているが、背景は全て白組がVFXで加工したもの。何もない空間が緊迫感溢れる肛門内に早変わりする、白組の技術力の高さが垣間見える。
同シーンでは、新米赤血球(板垣李光人)と先輩赤血球(加藤諒)が押し合いに巻き込まれる展開となる。撮影を振り返り、板垣は「茂さんの体内はなかなか過酷なものがあって、一生忘れられない撮影になりました!」といい、同じく加藤も「肛門のシーン、過酷でした! 経験したことないようなアクションシーンを撮っている感じでした。僕、武内監督の作品にいくつか出演させていただいているんですけど、毎回ひどい目にあっています(笑)。そのなかでも今回がいっちばん大変な目にあいました! ぜひ映画館でそれを目撃してほしいなと思います!」と、明かしている。