奥山大史監督の「ぼくのお日さま」で女優デビューを果たした中西希亜良が、充実の2024年を締め括ろうとしている。年の瀬に日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の新人賞受賞というニュースも飛び込んできた。奥山監督をはじめ共演の池松壮亮、越山敬達への思いなどを映画.comに語った。
中西は4歳からフィギュアスケートを習い始め、シングルと並行して9歳からアイスダンスの練習も開始すると頭角を現し、全日本フィギュアスケートノービス選手権大会に出場している。演技経験がないなかで奥山監督の「ぼくのお日さま」のオーディションを受け、ヒロイン・サクラ役を勝ち取り瑞々しい存在感を披露したことは記憶に新しい。
「ぼくのお日さま」での好演が評価され、越山とともに報知映画賞の新人賞を受賞した。
「ノミネートだけでもビックリしたので、まさか受賞できるなんて想像もしていませんでした。新人賞とはいえ、他の候補の方々は経験豊富。本当の新人の私が、こんなすごい賞をいただいていいのか、いまだにドキドキしています。でも、越山くんと一緒に賞をいただけて、とても嬉しかったです。お父さんとお母さんも、ものすごくビックリしていましたが、とっても喜んでくれました」
同作への出演が、中西をこれまでと違う世界へ導いたことは言うまでもない。いま、改めて奥山監督、共演の池松、越山に伝えたいことはあるだろうか。
「『ぼくのお日さま』で、本当に人生が変わりました! 4歳からスケートばかりやっていた私が、映画に出演させていただき、それがまさかスケートの映画で、そして監督と作品の力でカンヌにまで行かせていただき、賞もいただき、今こんなふうに取材も受けさせていただいている…。すごいことが起こりすぎていて、ずっとびっくりしています(笑)。
奥山監督はもう、私の一生の恩人です! 初めての作品が奥山監督の映画で、本当に幸せでした。将来、もっと成長して恩返しができるように頑張りたいです。
池松さんは、お仕事の世界で初めてできた大切な大先輩です。お兄ちゃんみたいな存在で、本当にいつも優しくて、撮影中もたくさん助けてくださいました。一緒にいると心強くて、これからもずっと妹でいたいなって思います。
越山くんも、お仕事を通してできた初めてのお友達で、先輩です。現場で何もわからなくて不安だった私の緊張を、いつもほぐしてくれてありがたかったです。お日さまチームは大好きなファミリーです」
第77回カンヌ国際映画祭では、ある視点部門に正式出品を果たしレッドカーペットも経験した。初めて尽くしが続いた24年は、どのような1年になったか聞いてみた。
「すごい先輩方でもなかなか行けないカンヌという場所に12歳で行ってしまいましたが、公式上映で受けたあたたかい拍手は、一生忘れないと思います。私はフランス人でもあるので、カンヌに行けたことはさらに特別な経験になりました。2024年は、『人生が変わった年』です!お母さんからは『13歳で運を使い果たしてしまっているんじゃないか』って言われています(笑)。そのぐらい、信じられないことが次々に起きた、ありがたすぎる年でした」
そしてまた、女優デビューを果たしたことで更なる欲は芽生えてきているか問いかけてみると、「たくさん経験を積みたいです」と真摯な眼差し。「『ぼくのお日さま』しか知らないですし、さくらはスケートを活かせる役でしたが、これからはいろいろな作品で、どんどん新しいチャレンジをしていきたいです」と胸中を明かした。
大きな飛躍の1年となった24年を経て、25年はどのような1年にしようと考えているのだろう。
「まずは、お芝居のお勉強をしっかりして、少しでも経験を増やしていけたら嬉しいです。映画を観るのも大好きなので、観るお勉強もたくさんしたいです。そして、もし新しい作品に関わることができたら、最高の2025年だなと思います」