荒木飛呂彦氏の人気コミックの映画版最新作「岸辺露伴は動かない 懺悔室」が、5月23日に公開されることがわかった。漫画「岸辺露伴は動かない」シリーズの記念すべき最初の作品で、ファンの間で屈指の人気を誇るエピソード「懺悔室」を、邦画初となる全編イタリア・ベネチアロケを敢行し、映像化する。あわせて、超特報映像(https://youtu.be/5EpVRSF4CRA)と、2種類のティザービジュアルがお披露目された。
シリーズ累計発行部数1億2000万部超を誇る「ジョジョの奇妙な冒険」から生まれた傑作スピンオフ「岸辺露伴は動かない」。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気マンガ家・岸辺露伴の姿を描く。
高橋一生を主演に迎えたドラマ版は、2020年12月に第1期(第1話~第3話)、21年12月に第2期(第4話~第6話)、22年12月に第3期(第7話~第8話)が放送され、「実写化の理想系」「完成度が高すぎる」など、そのクオリティの高さを、多くの原作ファンが絶賛。その人気と反響を受けて、実写ドラマのチームが再集結した映画版第1作「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」が23年5月26日に公開されると、観客動員数は90万人を超え、興行収入は約12億5000万円を記録する大ヒットとなった。さらに、24年5月にはドラマの第4期(第9話)「密漁海岸」が放送され、関連ワードがXのトレンドを埋め尽くした。
映画版第2作で描かれるのは、原作の人気エピソード「懺悔室」。岸辺露伴は、取材旅行で訪れていたベネチアの教会内にある「懺悔室」を取材していた。懺悔室とは古来、「あやまち」を犯した信者が神父にその「あやまち」を「告白」し、魂を浄化する場所。その昔の人の叡知に興味を抱いた露伴は、実際に懺悔室に入ってみるが、そこは本来神父がいるべき場所だった。そして、ひとりの男が「告白」のために現れる。「体験はリアリティを作品に生む」という信念と好奇心に駆られた露伴は、そのまま神父になりすまし、男の「告白」に耳を傾ける。やがて男は、25年前の恐ろしい出来事を語り始める。
荒木氏が原作漫画で描いたのは、男の告白=“幸せの絶頂の時にやってくる「絶望」”の物語。脚本の小林靖子は、この荒木氏らしい逆説的な仕掛けを、映画化にあたって拡充した。映画オリジナルのエピソードを追加し、時空を超えて続く「呪い」に満ちたサスペンスに仕上げている。
5年にわたり、岸辺露伴役を務めてきた高橋は、「僕が露伴としてここまで演じさせて頂いた幸運と、携わって下さった皆さんとの出会いの幸運。その重なりとも云(い)えるものを、劇場に足を運んでくださる皆様にお届け出来ること。今から楽しみにしております」と語る。露伴の担当編集・泉京香役で続役する飯豊まりえも、「再び、露伴の世界に参加できたこと、幸福な時間を噛み締めながら、大切に演じさせていただきました」と、喜びを明かす。製作陣には、ドラマと映画第1作から引き続き、渡辺一貴監督(「ショウタイムセブン」)、アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの脚本も手がけた脚本家・小林靖子が参加。音楽を菊地成孔と新音楽制作工房、人物デザイン監修・衣裳デザインを柘植伊佐夫らが担当する。
撮影は24年秋に行われ、無事にクランアップを迎え、現在編集中。かつてナポレオンが“ヨーロッパで最も美しい広場”と称した、ベネチアを象徴するサン・マルコ広場をはじめ、サン・ロッコ教会、ぺスカリア市場、プンタ・デラ・ドガーナ、バルバリーゴ・ミノット宮殿、パロッツォ・ダ・モスト、原作にも登場するサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ広場など、数々の名所での大規模ロケを敢行した。映画の撮影に許可が下りるのが異例となる歴史的建造物や、イタリアのルネサンス期を代表する画家・ティントレットの絵画など、本編の至るところに貴重な建物や絵画が多数映り込んでいる。
超特報映像は、居場所を問いつめられ、次の作品の舞台がベネチアに決まったことを告げる、露伴と泉のおなじみの掛け合いから始まる。ベネチアの美しい街並みとともに、路地を足早に歩く露伴や、怪しげな仮面の男とのすれ違う様子などが切り取られている。ラストカットの懺悔室にいる露伴の視線の先には一体何が待ち受けているのか――サスペンスフルな展開を予感させる。
2種類のティザービジュアルには、物語が動き始める教会で撮り下ろされた写真を使用。懺悔室に腰掛ける露伴のビジュアルは、神父席の扉が片側だけ閉められ、顔が半分しか見えず、好奇心をかき立てられる。もう1点は、中世の修道士を想起させるフードを被った露伴が切り取られた、真っ赤なビジュアル。「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」では、“黒”が作品のテーマカラーになっていたが、本作では“赤”が象徴的な色として扱われている。
「岸辺露伴は動かない 懺悔室」は、5月23日に公開。高橋、飯豊、渡辺監督、脚本を手がけた小林のコメント(全文)は、以下の通り。
■高橋一生(岸辺露伴役)
20年に岸辺露伴を演じさせていただいてから、これまでテレビドラマシリーズは4シーズン、前回の映画も入れて全10話、5年目になります。以前にもコメントさせていただきましたが、これだけ長い時間をひとつの役と生きられることは、俳優として貴重な体験ですし、幸運に感じています。加えて、今回は原作に於(お)ける「岸辺露伴は動かない」の原点である「懺悔室」を、幸運なことに原作通り、全編イタリアのヴェネツィアで撮影しました。定めていない原作世界の時系列が、生身の人間の僕が演じさせていただく岸辺露伴の世界では、ひとつに繋がっていきます。
ここにきて、ようやく原作の原点に手が届きました。この幸運も生身の人間だからこそ感じられることでしょうか、これまでご一緒してきたスタッフに加え、イタリアの陽気で真摯な素晴らしいスタッフが加わり、また新たな岸辺露伴の世界を作れたのではないかと思います。前回、パリのルーヴルの「後悔」で自身のルーツや過去、受け継がれるものに触れた露伴が次に遭遇するのは、捉える人によっては表裏一体となる現在の「幸運」です。原作ファンの方、これまで僕が演じさせて頂いてきた露伴の世界を愛してくださる方、どちらの方達にとっても、また、今から作品を見てくださる方にとっても、どなたに於(お)いても楽しんで頂ける作品になっています。新たに加わった出演者の方達もご一緒する事が光栄な俳優さんばかりです。是非そちらも楽しみにして頂けると嬉しく思います。僕が露伴としてここまで演じさせて頂いた幸運と、携わって下さった皆さんとの出会いの幸運。その重なりとも云(い)えるものを、劇場に足を運んでくださる皆様にお届け出来ること。今から楽しみにしております。
■飯豊まりえ(泉京香役)
「岸辺露伴は動かない」原作の原点でもある、
「懺悔室」の作品をやらせて頂くことになりました。
今回、撮影で訪れたヴェネツィアは、歴史と芸術が息づく街でした。
いい緊張感、高揚感が漂っている撮影現場で、
特別な時間を過ごさせていただきました。
再び、露伴の世界に参加できたこと、
幸福な時間を噛み締めながら、
大切に演じさせていただきました。
ぜひ映画館で、楽しんで頂ければと思います。
■渡辺一貴監督
「岸辺露伴は動かない」シリーズ最初の作品「懺悔室」。
この記念すべき大切なエピソードを、オールヴェネツィアロケで撮影できたなんて、クランクアップした今でも信じられない。そこは陰と陽が混在する、不思議な街だった。廃墟、墓地、教会、貴族の館、迷路のような石畳の路地。そしてそこにいつものように凛として立つ露伴先生……。
撮影した全ての場所、全ての時間が愛おしい。いつまでも撮り続けていたい、この時間が終わらないでほしい……。
そんな思いを抱きながら撮影を続けるうちに、「『懺悔室』はこの街でなければ生まれなかったのだ」と確信した。この物語は「呪い」の物語でもあるが、「愛と覚悟」の物語でもあったのだ。退廃的で不道徳な気配に満ちた水都で繰り広げられる、弱くて滑稽で、それでも懸命にもがき続ける人々の奇妙な世界を覗き見て欲しい。
■小林靖子(脚本)
原作「懺悔室」は、初めて岸辺露伴をメインにして発表された作品です。ドラマはもう五年目ですが、このファーストエピソードに辿り着くには必要な時間だったと思います。これも皆様の応援あってこそと感謝いたします。舞台はヴェネツィアです。露伴はいつものように、見たいものを見、聞きたいものを聞き、結果幸運という名の災難に襲われます。ぜひスクリーンで見届けていただければ幸いです。