官能文学の傑作「エマニエル夫人」の舞台を現代に変え、全く新しい官能映画として描く「エマニュエル」。主人公エマニュエルを快感へと導く女性キャラクター、ゼルダの出演シーンを切り取った本編映像が公開された。男性の欲望の対象としてではなく、自らの快感のために行為をする女性の姿から、オドレイ・ディワン監督は男女関係なく世界の観客に新しい感覚を伝えている。
ホテルの品質管理の仕事を請け負うエマニュエルは、監視室のベテラン従業員(アンソニー・ウォン)からプールの常連客ゼルダの存在を教えられる。宿泊客でもないのに、毎日のようにプールサイドで本を片手に男性客とおしゃべりをするゼルダはやがて、敷地の奥にある小屋へと消えていく。気になったエマニュエルが跡をたどると、そこには男性客と情事を重ねるゼルダの姿があった。エマニュエルの視線に気付くも焦ることのないゼルダから、エマニュエルは目が離せなくなってしまう――。
1974年の「エマニエル夫人」にも、エマニエルの社交界の友人として性に奔放なマリアンジュという若い女性が登場する。ゼルダにもその影を感じるものの、彼女の場合は自身の身体が求めるものが何であるかを知っており、エロティシズムにおいて一番大事なものは何かをエマニュエルに指南する。本編では、やがてエマニュエルとゼルダの関係がシスターフッドに近いものに変化し、“女性同士の連帯”を描くためのキャラクターとして重要な役割が与えられている。
そして映像の冒頭にホテルの監視員役として登場するのは、香港出身の大スターアンソニー・ウォン。現在も植民地時代の名残が見え隠れする街で、激動の時代を生き抜いてきた名俳優が説得力と威厳を作品にもたらしている。
「エマニュエル」は、25年1月10日よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国公開。