日本画家としての活動を軸に、新海誠監督や片渕須直監督など名だたる監督のアニメーション作品に参加、CMやミュージックビデオを手掛けるなどジャンルを超えて様々な創作活動を行ってきた四宮義俊が、自身のオリジナル脚本で描く“初の長編アニメーション”監督作「花緑青(はなろくしょう)が明ける日に」が、2025年に公開されることが決定。萩原利久と古川琴音が主演し、ともにアニメ声優に初挑戦することになった。
物語の舞台は、土地立ち退きの強制執行が迫る創業330年の花火工場・帯刀煙火店。そこで育った若者たちと、幻の花火“シュハリ”をめぐる2日間の物語を描き出す。24年5月に開催された「第77回カンヌ国際映画祭」マルシェ・ドゥ・フィルム「Animation Day」アヌシー・アニメーションショーケースにて、世界中のさまざまな制作段階にある5作品の1本に選出。フランスの気鋭スタジオ「Miyu Productions」との日仏共同製作となっており、世界から熱視線を集めている。
萩原は、老舗の花火工場「帯刀煙火店」の次男で、失踪した父親に代わり幻の花火を完成させようと奮闘する帯刀敬太郎役、古川は敬太郎の幼馴染で、地元を離れ東京で将来の道を模索している式森カオル役を担当している。
あわせて、ティザービジュアルと特報も披露。ビジュアルは、行政による立ち退きが明日に迫る帯刀煙火店で花火を作っている敬太郎のもとを、東京から帰省したカオルが訪れ、2人が4年ぶりに再会するシーンをとらえている。
特報は、幻の花火と呼ばれる“シュハリ”について語る敬太郎の真剣な横顔や、シュハリの秘密の鍵を握る青い顔料「花緑青(はなろくしょう)」の存在に気が付き愕然とするカオルの様子を活写。ばらばらの道を歩んでいた2人が再会し、立ち退きが迫る花火工場の残された2日間に立てた驚きの計画とは――? 日本家屋を花火工場に改築した帯刀煙火店の外観、夜の海の中を月光に包まれながら泳ぐカオルの姿などが圧倒的な映像美で描かれている。
「花緑青が明ける日に」は、25年に全国公開。萩原と古川のコメントは以下の通り。
【萩原利久】
初めて声優のお仕事をさせていただき、とても新鮮でした。最初一人でアフレコをしていた時にはなかなか手応えを掴むことができず、監督の「OK」だけを頼りにしていたのですが、最終日に古川さんと掛け合いで収録させていただいて、一人で録っている時とは全く体感が違って。普段いかに周りの人や環境に支えられてお芝居をしていたのかと実感させられました。僕自身、最初に脚本やVコンテを拝見した時に「これは凄い作品になるんじゃないか」と感じましたので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
【古川琴音】
四宮監督が構想から8年という長い年月をかけて育まれた、大切な作品に呼んでいただけたことがとても嬉しく、声優は初めてでしたが体当たりで臨ませていただきました。
声を録りながら、5年前のコロナのことを思い出していました。全国の花火大会をはじめ、伝統ある催事が次々と無くなっていくことを当時は憂いてばかりいましたが、今思えばそんな私の日常を支えてくれていたのが、現代のカルチャーを先導している日本のアニメでした。この作品は、日本画家出身の四宮監督がアニメで花火を描いた温故知新の芸術だと思います。その創作の一端を任せていただいたこと改めて光栄に思います。