名脚本家・向田邦子の最高傑作と評されるドラマを、是枝裕和の監督・脚色でリメイクしたNetflixシリーズ「阿修羅のごとく」(配信中)。同作でボクサー役を演じている藤原季節が、実際にプロボクサーとしてのライセンスを取得したことがわかった。
新人時代に向田とともに仕事をしたプロデューサー八木康夫が企画した本シリーズは、幸せそうに見えた四姉妹に、突如訪れた家族の不穏から、四人が阿修羅のように、ときに争い、ときに笑い、そしてそれぞれが、本当の幸せに向き合っていく現代版ホームドラマ。物語の中心となる四姉妹を宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが演じ、本木雅弘、松田龍平、内野聖陽、國村隼、松坂慶子らが共演している。
藤原が演じているのは、四女・咲子(広瀬)の恋人であり、ボクサーとして活躍する陣内英光。プロテスト合格に際しての詳細は「所属:輪島功一スポーツジム/ライセンス種別:プロボクサーC級」となっている。本作へのオファー後すぐにトレーニングを開始し、本編撮影に挑戦。無事に撮影を終え、1年後の2024年末に、プロボクサーのライセンスを取得したようだ。
あわせて、藤原が以下のコメントも発表している。
【藤原季節】
「阿修羅のごとく」出演オファーをいただいたその1週間後には、居ても立ってもいられず輪島功一スポーツジムに入会していました。撮影が始まったのはその9ヶ月後、初めて広瀬すずさん演じる咲子が商店街を走る姿を見た時、世界が変わるような気持ちがしました。地下の、汗の匂いの立ち込めるジムでサンドバッグを打ち続ける日々が、突然輝いたように明転し、陣内英光の物語が始まりました。陣内はきっと咲子がいなければボクシングを続けられなかったんだとすぐにわかりました。広瀬すずさんは想像を上回る素晴らしい俳優さんでした。
ボクシングの試合シーンは、ボクサーの聖地、後楽園ホールで二日間行われました。その苛烈な撮影が終了した時、観客のエキストラの方々から陣内コールが沸き起こり、遠のく意識の中で涙が出ました。その中には「あの撮影を見て病気と向き合おうと思った」と手紙をくれた方もいました。
2023年の年の瀬に「阿修羅のごとく」を撮り終わり、来年の仕事は何も決まっていないことをマネージャーから聞かされました。その時「もうこれで終わりでいいかな」と思いました。それから数ヶ月、ボランティアに参加したりしながら無作為に日々を過ごしていましたが、ボクシングをやめられませんでした。「阿修羅のごとく」とお別れをするのが寂しかったのだと思います。
それで輪島ジムの磯谷和広トレーナーと相談して、プロテストに挑戦することに決め、それをもって「阿修羅のごとく」と決着をつけることにしました。
輪島ジムに入会してから1年9ヶ月、プロテストに合格しライセンスはいただきましたが、その過程で夢を賭けて戦っているボクサー達を見てきたので、今は何の自慢も出来ません。
ですがこの場をお借りして、この物語を生み陣内英光に出会わせてくださった向田邦子さん、是枝裕和監督を始めとした是枝組のスタッフキャストの皆さん、ボクシング指導の松浦慎一郎さん、セコンド役の川並淳一さん、対戦相手を演じた渡辺光さんとロバさん、輪島功一スポーツジムの皆さん、磯谷和広トレーナー、皆様に感謝の気持ちをお伝えしたいです。ありがとうございました。この物語が視聴者様の、生活のかすかな後押しとなり、毎日を面白がる一手となればいいなと思います。