東映株式会社は1月16日、東京・有楽町の丸の内TOEIで、「2025~26年東映ラインナップ発表会見」を行った。
「愛される『ものがたり』を全世界に」をスローガンに掲げ、鈴木亮平と有村架純が兄妹役で初共演する「花まんま」(前田哲監督)、主演の妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太らが出演する超大作「宝島」(大友啓史監督)といった直木賞受賞のベストセラーの映画化から、世界が注目するSTUDIO4°C、シンエイ動画×冨嶽による長編アニメーション作品まで、バラエティに富んだ作品がラインナップされている。
●「花まんま」(4月25日公開)
第133回直木賞を受賞した、朱川湊人氏による短編集を映画化。主人公は、両親を早くに亡くし、大阪の下町で暮らす2人きりの兄妹・俊樹(鈴木)とフミ子(有村)。俊樹は、死んだ父と交わした「どんなことがあっても妹を守る」という約束を胸に、フミ子を守り続けてきた。妹の結婚が決まり、親代わりの兄として肩の荷が下りるはずだったが、妹には兄に話していない秘密があった。
会見に出席した前田監督は「原作と出合い、長い時間がかかってしまったが、思いが詰まった作品になった。感動作であり、笑えるヒューマンコメディなので、心に響くものがあるはず」と語り、兄妹を演じる鈴木、有村については「たぶん前世は、本当に兄妹だったんじゃないかと思うほど。おふたりが、この映画を輝かせ、豊かにしてくださった」と感謝を示していた。
●「ChaO」(25年夏公開)
人間と人魚が共存する未来社会を舞台に、人魚王国のお姫様・チャオに突然求婚されたサラリーマンのステファンの姿を通して、種族や文化を超えてわかり合うために、何ができるかを問いかける。STUDIO4°Cが贈る、純度100パーセントのラブストーリーだ。監督は青木康浩(「009 RE:CYBORG」)。キャラクターデザイン・総作画監督を小島大和(「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」)が務める。
プロデューサーの田中栄子氏が登壇し、「東映さんからお誘いを受けまして、実は誰にも言わずに、7年間こっそり作っていたオリジナル作品を見ていただいた。大変高く評価していただき、こうしてタッグを組ませていただく形になった」と本作の背景を説明した。作品のテーマは「出会いは奇跡」。作画枚数は10万枚を超えるといい、「ぜひ、劇場で手描きアニメーションの魅力を堪能してもらえれば」とアピールしていた。
●「宝島」(9月19日公開)
第160回直木賞を受賞した真藤順丈氏の傑作小説を映画化。全てが失われ、混沌とした時代を全力で駆け抜けた“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を、圧倒的熱量と壮大なスケールで描くサスペンス超大作だ。105日間におよぶ撮影に際し、大友監督をはじめとする製作陣は当時の状況を徹底的に調べ尽くし、リアルな沖縄を再現。クライマックスのシーンでは、延べ2000人を超えるエキストラが投入された。
現在、新作を撮影中の大友監督がビデオメッセージを寄せ、「大げさに言うと、自分の全能力をかけて、自分にできることを投げうった」と強い思い入れ。度重なるコロナ禍で2度の撮影延期を挟み、24年2月に悲願の撮入。「もう無理なんじゃないか、諦めようという気持ちもあったが、その都度、原作に刻まれた『生きろ』という痛烈なメッセージに励まされた」と感無量の面持ちだった。会見には、プロデューサーを務めた五十嵐真志氏が駆けつけ、本作の総製作費が約25億円となったと明かしていた。
●「ペリリュー 楽園のゲルニカ」(12月5日公開)
終戦80年に捧げる超大作アニメーション。1万人の日本兵が送り込まれ、わずか34人が生き残った太平洋戦争の激戦地ペリリュー島で、若者たちは何を思い、生きたのか。武田一義氏による戦争漫画を原作に、その壮絶な戦いが描かれる。脚本は西村ジュンジ(西村純二)と原作者の武田氏が共同で担当。アニメーション制作は、「ドラえもん」のシンエイ動画と「ドッグシグナル」の冨嶽が共同で担う。
会見には、本作で長編監督デビューを果たす久慈悟郎(「魔都精兵のスレイブ」)が出席。丹念な取材のもとに3頭身のキャラクターで描いた作品で、「とてもかわいらしく、柔らかなタッチで表現されているので、それゆえに他の漫画では許されないような凄惨な表現もたくさんあります。映画もその絵の力を借りて、そこで起こった出来事から逃げずに頑張って表現したい」と意気込みを語った。
「2025~26年東映ラインナップ発表会見」で発表された作品は、以下の通り
●「室町無頼」(1月17日公開)
●「大きな玉ねぎの下で」(2月7日公開)
●「35年目のラブレター」(3月7日公開)
●「映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン」(3月20日公開)
●「花まんま」(4月25日公開)
●「BAD BOYS」(5月30日公開)
●「ChaO」(夏公開)
●「この夏の星を見る」(夏公開)
●「劇場版仮面ライダーガヴ(仮) 劇場版ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー(仮)」(夏公開)
●「映画キミとアイドルプリキュア♪(仮)」(秋公開)
●「宝島」(9月19日公開)
●「ペリリュー 楽園のゲルニカ」(12月5日公開)
●藤井道人監督最新作(冬公開)
●「ガールズバンドクライ 劇場版総集編 前編」(25年公開予定)
●「ガールズバンドクライ 劇場版総集編 後編」(25年公開予定)
●「楽園追放 心のレゾナンス」(26年公開予定)
●「僕の心のヤバイやつ 劇場版」(公開待機作品)