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第3回新潟国際アニメーション映画祭、コンペティション部門上映作&審査員発表!「化け猫あんずちゃん」「ルックバック」など12作品

映画.com 2025年1月22日 18時0分

 2025年3月15日~20日に新潟市で開催される、長編アニメーション映画のコンペティション部門を持つアジア最大の祭典、第3回新潟国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門上映作品と、審査員が発表された。第1回、第2回を大きく上回る28の国・地域から69作品の応募があり、すでに日本で公開され話題を集めた「化け猫あんずちゃん」「ルックバック」のほか、14カ国(共同製作含む)から12作品が選出された。

 世界から注目されるなかでスタートした長編にフォーカスした国際コンペティション部門は、世界のアニメーションのトレンドを先取りした作品が集まり、2023年の第1回に押井守審査委員長のもとグランプリとなった「めくらやなぎと眠る女」は、2024年6月に日本公開された。第2回ではアイルランドのスタジオ、カートゥーン・サルーンからノラ・トゥーミー監督が初来日するなど、世界から多くの映画人も参加し、初回を大きく上回る延べ2万4000人が参加と、大きな成長を遂げた。

 今年の長編コンペティション部門には、ラテンアメリカや中東などからのエントリーも多く、長編アニメーション制作が世界に広がっていることを感じさせます。ロトスコープとデジタルの融合やAIの活用など新しい技術を積極的に取り入れた作品がみられた一方で、ストップモーション(コマ撮り)の活躍が目立ち、アニメーション表現の多様化を反映している。

 第3回の審査員長は、スペインの映画プロデューサーで「しわ」「ブニュエルと亀甲のラビリンス」などでアヌシー国際アニメーション映画祭をはじめ数々の受賞歴のあるマニュエル・クリソボル氏。審査員をアメリカのアニメーション作家で南カルフォルニア大学映画芸術学部で教鞭もとるクリスティン・パヌシュカ氏、日本からは「どーもくん」や「リラックマ」シリーズなどコマ撮りアニメーションのプロデューサー松本紀子氏の2名が務める。

 第3回新潟国際アニメーション映画祭、最新情報は随時公式サイト(https://niaff.net)で告知する。

▼コンペティション作品一覧

■「バレンティス」 監督:ジョヴァンニ・コロンブ(イタリア/2024年/72分)
1940年に実際にサルデーニャで起きた実話を元にした作品。ファシズムが支配する第二次世界大戦の直前、軍の農場から馬が盗まれる。主犯の11歳と14歳の少年達は、ただ馬を戦争と死から救いたかっただけなのだ。彼らの目論見は成功し馬たちは解放されたが、その帰路で農村民兵に捕まり、1人が殺されてしまう。

■「クラリスの夢」 監督:グート・ビカーリョ、フェルナンド・グティエレス(ブラジル/2023年/83分)
「クラリスの夢」は、母親を失った悲しみを乗り越える、才気あふれる少女の物語。友情、仲間の大切さ、そして私たちが日々気づかぬうちに経験している多くの美しさを描いた映画である。

■「化け猫あんずちゃん」 監督:久野遥子/山下敦弘(日本・フランス/2024年/92分)
あんずちゃんは30年経っても死ななかった化け猫、現在37歳。そこへ親子ゲンカの末ずっと行方知れずだった和尚さんの息子・哲也が11歳の娘「かりん」を連れて帰ってくるが、彼女を置いて去ってしまう。かりんの「母さんに会わせて」たった一つの願いから、地獄をも巻き込んだ土俵際の逃走劇が始まる。

■「リビング・ラージ」 監督:クリスティーナ・ドゥフコバ(チェコ/2024年/112分)
12歳のベンは思春期を迎え、突然体重が気になりだした。他の子どもたちからいじめられ、離婚した両親はどうしていいかわからない。保健室の先生でさえ、彼のことを心配している。ベンは食べることが大好きで、シェフとしての才能が開花しつつあるにもかかわらず、ある思い切った決断をする。ダイエットを始めるのだ。これで事態が好転するかもしれない。運命の女性、クララのハートを射止めることも夢ではない。そして、本当に大切なのは見た目ではなく、自分がどう感じるかだということを知っていく。

■「ルックバック」 監督:押山清高(日本/2024年/58分)
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられる…。正反対の二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思い。しかしある日、すべてを打ち砕く出来事が…。胸を突き刺す、圧巻の青春物語が始まる。

■「メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)」 監督:アダム・エリオット(オーストラリア/2024年/94分)
本年度アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)受賞!カタツムリ集めが心の拠り所である孤独な少女グレースが、奇妙な女性ピンキーとの友情を通して希望を見出していく様子を描く、驚きとユーモア、そして感動のクレイアニメーション。アカデミー賞受賞経験を持つアダム・エリオット監督が、初長編「メアリー&マックス」以来、1コマずつ丁寧に、8年の月日をかけて完成させた傑作。

■「オリビアと雲」 監督:トマス・ピシャルド・エスパイヤット(ドミニカ共和国/2024年/81分)
愛の複雑さをシュールに描いた作品。オリビア、ラモン、バルバラ、マウリシオの4人の物語が、互いを理解しきれないまま、それでも深く関わり合っていく。

■「ペーパーカット:インディー作家の僕の人生」 監督:エリック・パワー(アメリカ/2024年/87分)
芸術の世界での数々の試練と苦難に焦点を当てたアニメーションによる回顧録。監督エリック・パワーは20年以上にわたりpapercuts(切り絵)を用いたストップモーションを専門とするインディーズのアニメーターとして活動している。アニメーションという素晴らしい世界に人生を捧げたエリックの人生の浮き沈みを体験する世界に出発!

■「ペリカン・ブルー」 監督:ラースロ・チャキ(ハンガリー/2023年/80分)
1990年代のハンガリー。国境が開き、旅行が可能になったが、列車の切符は高額で、多くの人にとって夢のまた夢だった。そんな中、アコス、ペーチャ、ラチの3人は、偽造した国際列車の切符で若者たちに「外の世界」を旅する機会を提供しようと決意する。鉄のカーテンが崩壊し、西ヨーロッパへの扉が開かれた。しかし、列車の切符代は庶民には手が届かず、「自由」とは名ばかりだった。家庭用洗剤でペリカン製ブルーカーボンインクを溶かし、どんな行き先の切符でも偽造できる方法を見つけた彼らは、次第に悪名高いプロの偽造師として知られるようになる。

■「口蹄疫から生きのびた豚」 監督:ホ・ボムウク(韓国/2024年/105分)
口蹄疫を気力だけで生き延びた「ピッグH」は、自分に誓う。ゴミのように死ぬわけにはいかない――そのためには人間になるしかない。疑いの余地なく、体も顔も完全に人間になるために、どんな犠牲を払ってでも、全てを捧げる覚悟だ。一方、幼少期から絶え間ない嫌がらせを受け続けてきた「チェ・ジョンソク」もまた心に誓う。この呪われた人間としての人生を捨て去りたいと。獣のように、本能だけで生きることを選ぶ。死を考えることすらできない、純粋な獣として。彼は全てを捨てる覚悟がある。

■「ワールズ・ディバイド」 監督:デンバー・ジャクソン(カナダ/2024年/116分)
終末後の戦争に荒れた世界で恐怖に怯えて暮らしていたナトミは、父テリックによって魔法の世界「エスルナ」へと導かれる。そこで彼女は、ナトミが自分の地位を脅かす存在になることを恐れる女王イデナと出会う。幼い頃からの相棒であるクマのぬいぐるみミートと、謎の老戦士バタールに助けられながら、ナトミはイデナに立ち向かい、この世界の神であり彼女の父であるテリックを見つけ出さなければならない。

■「ボサノヴァ~撃たれたピアニスト」 監督:フェルナンド・トルエバ/ハビエル・マリスカル(スペイン・フランス・オランダ・ポルトガル/2023年/103分)

1959年、ブラジルのボサノヴァが音楽の歴史を変えた。エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、さらにはフランク・シナトラまで、世界中がブラジル音楽を歌い踊り始めた。ニューヨークの音楽ジャーナリスト、ジェフ・ハリスは、このムーブメントについて調べるため訪れたリオデジャネイロで、ボサノヴァの爆発的なヒットで重要な役割を果たした一人のピアニスト、テノーリオ・ジュニオルの存在を知る。その足跡を辿ると、繊細なタッチで聴衆を魅了した天才はブエノスアイレスでのツアー中に謎の失踪を遂げていた。創造的な自由が失われ、全体主義体制に飲み込まれる直前のラテンアメリカ、彼の地でジャーナリストが見た真実とは―― 。

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