第97回アカデミー賞の長編アニメーション映画賞にノミネート、アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)受賞と、世界で高評価のストップモーション・アニメーション映画「Memoir of a Snail(原題)」が、「かたつむりのメモワール」の邦題で6月27日から公開される。
幼い頃から周囲に馴染めず、孤独を抱えて生きてきた女性グレース。カタツムリを集めることが心の拠り所だった彼女が、個性豊かな人々との出会いと絆を通して少しずつ生きる希望を見出していく、波乱万丈な半生をユーモアとサプライズ満載で優しく描いたクレイアニメーション。製作期間8年、セット数200、小道具7000個、カット数13万5000と、ストップモーションアニメへの途方もない愛と情熱が生んだ、温かな人生賛歌となっている。
監督は、「ハーヴィー・クランペット」でアカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞、初長編作品の前作「メアリー&マックス」でアヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞ほか数々の映画賞を受賞し、いま世界中で最も称賛を集めるアニメーション作家のひとりとなったアダム・エリオット。フルCGが主流となったアニメーション界で、一貫してCGやAIに頼らず昔ながらの手作業にこだわり、ひとコマずつ丁寧に作り上げる圧巻のクオリティで幅広い観客を魅了している。本当に生きているかのように表情豊かなキャラクターたちが持つデコボコの質感は、人間の不完全さこそを愛する彼の美学を繊細に体現。ハンドメイドのぬくもりと味わいをまとった、どこか不格好でクセのあるキャラクターたちが生き生きと動き回る姿は、愛おしく思わずにはいられない。
ギレルモ・デル・トロ監督は「大好きな映画。人生を肯定する美しさとユーモアにあふれている」と絶賛。時にブラックユーモアも織り交ぜながら、誰もが共感できる人生の喜びと悲しみ、ほろ苦さにそっと寄り添う温かな視点は、批評家・観客双方から賞賛を集めている。ロンドン映画祭では実写映画も含むすべての作品のなかで最優秀作品賞に輝き、全米批評サイトRotten Tomatoesでは95%フレッシュの圧倒的な高評価を獲得している(1/21時点)。
昨年10月に開催された第37回東京国際映画祭で「メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)」として出品された本作は、エリオット監督の15年ぶりの待望の最新作ともあり大きな話題を集め、チケットは即完売。満席の大盛況となり、SNS上で感動と愛に満ちた絶賛の口コミが多数投稿された。
6月27日より、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて全国公開。
<あらすじ>
1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちで学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかし突然、父が睡眠時無呼吸症候群で亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことに。離れ離れになった2人は手紙で励まし合い「いつか必ずまた会おう」と約束するが、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となった孤独な日々を送るようになる。そんなある時、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、2人はいつしかかけがえのない友だちになっていく。