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福田雄一監督作品が大ヒットするための必要条件は? 「アンダーニンジャ」は続編までいけるのか【コラム/細野真宏の試写室日記】

映画.com 2025年1月25日 11時0分

 映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

 また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

 更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)

 今週末2025年1月24日(金)から福田雄一監督作品「アンダーニンジャ」が公開されました。

 これまで福田雄一監督作品は好調なイメージがありましたが、ここにきて、やや陰りのようなものも感じます。

 これは2024年12月20日から公開された「聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団」に関係があります。

 私は福田雄一監督作品については初期の頃から割と好意的に見ていましたが、「聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団」については肯定的にはなれませんでした。

 試写を見ていて感じていたのは「どうしたんだろう?」と思うほど、個人的に“ギャグ”がハマらなかったからです。

 興行収入は7億円台で終わりそうという状況になっています。

 実はこの不調な流れは、2022年12月23日公開の「ブラックナイトパレード」から始まっています。

 「ブラックナイトパレード」については、かろうじて興行収入が7億円台になったくらいで終わりました。

 では、この不調な流れは「アンダーニンジャ」にも続いてしまうのでしょうか?

 これはプラス・マイナスの両面があって、どちらに転ぶのか判断しにくい状態にあります。

 まず、プラスの面では、作品の面白さが圧倒的に直近の2作品とは異なります!

 「アンダーニンジャ」は、忍者が今でも秘密裏に20万人規模で存在しているという設定の漫画を実写化していて、本格的なアクションシーンが見どころの1つになっています。

 そのため、必然的にギャグシーンも減り、ダラダラとギャグシーンが続くような構造になっていないのです。

 そもそも福田雄一監督作品は、アクションシーンについてはアクション監督に任せていて、アクションシーンの撮影時には福田雄一監督が居眠りしたりしているそうです。

 そのため、本作はアクションパートの田渕景也監督の裁量が大きい作品となっていて、本格的なアクション映画として成立しています。

 また、コメディパートもシーンが限られているぶん、練られたシーンになっていて、納得するまでかなり撮り直しをするなど厳選されているようです。

 その成果もあり、1カ月前の前作とは打って変わって、試写室ではかなりの確率でコメディシーンで笑いが起こるようになっていました。

 つまり、これまでの福田雄一監督作品ではとても出来が良い部類の作品なので、通常であればヒットが見込めます。

 一方でマイナスの面では、「聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団」の影響があります。

 本来であればプラスの相乗効果を上げる連続公開ですが、今回はマイナスの効果にならざるを得ないほどの状況になっています。

 「聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団」は賛否両論、というよりも「否」が圧倒的に多いような印象。公開から1か月しか経っていないため、その影響が小さくないのです。

 このように見ていくと、その余波を受けて「アンダーニンジャ」の出来の良さが伝わらない可能性があると言えるでしょう。

 そして、福田雄一監督作品が“映画で大ヒットを記録”するには、原作との相性が重要になると言えそうです。

 「ブラックナイトパレード」「聖☆おにいさん」といったテイストの作品は、私のイメージでは、テレビドラマであれば成立はしても、映画だとハードルが高くなってしまい、成立がしにくいのだと考えています。

 そういう面で「アンダーニンジャ」は、アクションとコメディのバランスが良く、映画向きの作品。原作との相性は成功と言えるでしょう。

 続編が期待できるような作品なのですが、CGなどの特殊効果で気合を入れているぶん制作費が高くなっているはず。大ヒットを記録しないと続編の構想が難しくなりそうという面もあるのです。

 果たして、「アンダーニンジャ」はどこまで興行収入を伸ばして、続編までいけるのか――大いに注目したいと思います。

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