広島県尾道市で100歳を超えてひとり暮らしを続けている石井哲代さんの101歳から104歳までの日々を見つめたドキュメンタリー映画「104歳、哲代さんのひとり暮らし」が4月18日、全国公開される。1月31日から広島県内先行公開され、メイン館の八丁座では初日から3日間、1日2回上映の全6回が満席となるなど、5劇場で大ヒットスタートをきっている。このほど、本編からの未公開映像が披露された。
親族や近所の人たちのサポートと公的な支援を受け、尾道の自然に囲まれた一軒家でひとり暮らしを続けている石井哲代さん。本作は、人生100年時代のモデルとして広島県内の新聞やテレビで紹介されてきた哲代さんの「老いてなお、ごきげん」な日々を映したドキュメンタリー映画だ。
人生の酸いも甘いも上手に味わう前向きな姿勢とユーモアあふれる言葉を紹介した書籍「102歳、ひとり暮らし。哲代さんの心も体もさびない生き方」「103歳、名言だらけ。なーんちゃって」(共に石井哲代・中国新聞社著、文藝春秋刊)は累計21万部(2024年10月時点)を超えるベストセラーとなっている。できなくなったことを追いかけず、できることに目を向け、いつも感謝の気持ちを忘れない哲代さんの暮らしは、高齢者のみならず、年齢を重ねていくすべての人々にとって、幸せに生きるヒントにあふれている。
このほど公開された映像からは、家の前の坂道を後ろ向きで慎重に下ったり、梨のむき方をほめられ素直に喜んだりする哲代さんの姿は、日々の生活の工夫や人生を楽しむ知恵が垣間みられる。年齢を重ねてできなくなったことを嘆くのではなく、できる方法を考える、楽しませてもらうのではなく、自ら楽しむことが大切と感じるシーンとなっている。
4月18日から、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
▼コメント
■山本和宏監督
「あなたは100歳まで生きたいですか?」 現在の日本で100歳まで生きたいという人は、わずか2割。不安いっぱいの人生100年時代ですが、激動の時代を生きてきた哲代さんはいつでもご機嫌です。この映画に“健康長寿の秘訣”は登場しません。それでも哲代さんのユーモアあふれるライフスタイルが、日常の一瞬一瞬の尊さに気づき、人生の一日一日を明るく灯すきっかけを与えてくれると思っています。
■石井哲代
のんきのんきで100年がすぎました。生きとるからこそできることがいっぱいですよ。友達とも話ができるし、花も摘まれるし。うららかな日が続く100歳はうれしいです。ありがたい人生です。「でした」言うたらいけん。「ING」でいきましょう。
■リリー・フランキー(ナレーション)
普段の生活の中では気づきにくい本当の喜びとか幸福、そういう発見がたくさん散りばめられている映画だと思います。ぜひ劇場でお楽しみください。
▼推薦コメント
■二階堂和美(歌手・浄土真宗本願寺派僧侶)
今、私が50歳。哲代さんはここからまた倍以上も生きてこられているのかと思うと、改めて「生きる」こと、生き続けなければならないことの厳しさを思う。けれど厳しさを上回るおおらかさが、人を魅了し続け、彼女自身をも生かしているのだろう。
「バカじゃあるまいか」と思わせるように振る舞うおおらかさ。自分もそうありたいと、多くの人が彼女から励ましをもらうのだと思う。
■和田秀樹(精神科医)
迷惑をかけるけど、それでもいい。でも、できることはやる。
この哲代さんの姿勢がこれからの高齢者の生き方のモデルになるように思えてならない。