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溝端淳平、声で表現した“新たなキャプテン・アメリカ”の重責と葛藤

映画.com 2025年2月8日 12時0分

 「アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)で中心的役割を担ってきたキャプテン・アメリカを主役に描くシリーズ最新作「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」が、2月14日から日米同時公開される。

 主人公は、初代キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースが全幅の信頼を寄せ、その象徴ともいえる盾を託したファルコンことサム・ウィルソン(演:アンソニー・マッキー)。新たなキャプテン・アメリカとなったサムは、敵も味方も判別できない危機的状況で、巨大な陰謀と壮大でミステリアスな戦いに巻き込まれていく。

 映画の公開に先立ち、日本版声優を務める俳優・溝端淳平が取材に応じた。溝端がサムを演じるのは、本作で通算7度目。ただ、“キャプテン・アメリカ”としてマイクの前に立つのは初めて。世界を守る重責に葛藤するサムに、溝端本人も強い共感を抱いたという。(取材・文/内田涼 撮影/山口真由子)

●“盾”を受け継いだサムに共感「そんな自分の思いを、声に乗せていきたい」

――溝端さんがサム・ウィルソンを演じるのは「アベンジャーズ エンドゲーム」(2019)以来。この作品で、サムはスティーブ・ロジャース(演:クリス・エバンス)から、キャプテン・アメリカを託されました。時を経て今回、サムの声を担当する上で「いままではファルコン」「今回からはキャプテン・アメリカだ」といった気持ちの切り替えがあったんでしょうか?

 確かに、僕が演じるのはサム・ウィルソンという同一人物かもしれませんが、実際に声を吹替えてみると、やはり、大きな違いがありました。それは実際に映画を見てもらうと、分かっていただけると思うのですが、アンソニーさん自身がキャプテン・アメリカを演じるためにすごく肉体改造していて、見た目も(以前に比べて)大きくなっているんですよ。そこから伝わるキャラクターの厚み、重みといったものを声で表現しなくてはと思いました。

――長年、サム・ウィルソンを演じてきた溝端さんだからこそ、彼の変化や成長を的確に表現できるんだと思います。

 初めて演じた「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」から11年が経つんです。同じ役を演じ続ける経験は、すごく貴重でありがたいなと思います。その11年の間で、自分自身も俳優として蓄積されたものもありますし、サムの変化や成長に自分自身が追いついていきたいという気持ちが強くあります。何より今回は、“キャプテン・アメリカ”としての演技なので、オファーをいただき、うれしくもあり「自分で大丈夫なのか?」「もっと重厚感ある声のほうがいいのかな?」という武者震いもありました。

――その点は、キャプテン・アメリカを継承したサムに共通した感情なのかもしれません。

 毎回、(アフレコの)スタジオでは自分の未熟さに葛藤しながら、表現と向き合っています。悩みながら、信頼できる周りの皆さんに力をお借りしながら、前に進んでいる最中です。そういう意味では、“盾”を受け継いだサムの葛藤や重責にシンパシーは感じますし、そんな自分の思いを声に乗せていきたいと強く思いました。MCUにはたくさんの登場人物がいますが、やっぱり「自分が演じるのがサムで良かった」と思います。

●シンガポールでアンソニー・マッキーと対面、交わした約束とは?

――昨年11月、シンガポールで「ディズニー・コンテンツ・ショーケース APAC 2024」が開催されました。溝端さんも現地入りし、アンソニー・マッキーと対面したそうですね。

 そうなんです。アンソニーさんと会うのは今回が初めてでした。現地でインタビューさせていただく予定でしたが、その前日にパーティでもお会いできました。その場はアンソニーさんも、プライベートだったので、僕としては「ちょっとご挨拶だけでも」と思っていたんですが、いざご挨拶させてもらうと、とっても気さくで、一緒に写真も撮ってくださいました。

――パーティの席では、どんな会話があったんですか?

 長年、日本版の声優を務めていると伝えると、とても喜んでくださいました。「今度、僕が日本に行ったら、何かご馳走してくれよ(笑)」。そんなジョーク交じりの約束を交わしたんです。

――その約束がいつか実現するといいですね。翌日のインタビューはいかがでしたか?

 前日の印象とは打って変わって、「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」について、とても真摯に語ってくださいました。お話をしていて、何より、キャプテン・アメリカを受け継いだという、彼の並々ならぬ決意がひしひしと伝わってきました。そんなアンソニーさんの両面を知ることができて、いままで以上に好きになりましたし、アフレコを控える僕にとっては、アンソニーさんの熱い思いにとても背中を押されるものがありました。直接お会いすることができて、とても良かったなと思います。

●重責を背負うサムと、後悔を抱えたロス「2人の物語が、とっても胸アツ」

――「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」をご覧になった率直な感想を教えてください。キャプテン・アメリカを継承したサムが、映画館のスクリーンで初めて躍動する“新章”ともいえる作品だと思いますが。

 第一印象は、まったく新しいキャプテン像が生まれたなと、そう強く感じます。サムは特別な能力を持っていません。そんなサムが、キャプテン・アメリカを受け継ぐという重責を背負い、悩みながら、前に進む姿に人間らしさを感じますし、そこがとても魅力的だと思います。

――ハリソン・フォードが演じるサディアス・ロス米大統領との対峙が、物語の主軸になりそうですね。ロスといえば、アベンジャーズを毛嫌いし、彼らを破滅させようと暗躍していた人物。すでに公開されている予告映像では、レッドハルクに変身する姿も話題を集めています。

 確かにロス……、今回は大統領ですが、どちらかと言えば嫌われ役でしたよね。ただ、それも彼が信念に従って突き進んだ結果であって、その分、ロス自身も後悔があると思うんです。映画を見ていても、重責を背負うサムと、後悔を抱えたロスという2人の男の物語が、とっても胸アツだなって。そこから、新しいキャプテン像が引き出されているというのも、「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」の見どころですね。

――予告映像からは、本作と日本の関連性も確認できますね。

 そうなんです。いまは多くを語れませんが、日本が関連しているお話になっているので、楽しみにしてほしいです。

――2025年のMCUは「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」でド派手に幕明けます。溝端さんが今後のMCUに期待することを教えてください。

 先ほどの話に通じますが、まずは新たなキャプテン・アメリカを応援してほしいですね。その後の展開については……、僕自身は分かりませんし、予測できないのがMCUの醍醐味でもあるので(笑)。ただ、これまでキャプテン・アメリカを演じていたクリス・エバンスさんが、MCUに復帰するというニュースがあって、もしもそれが実現するなら、どんな形になるのかなって。マルチバースからやって来て、キャプテン・アメリカ同士が戦ったりしたら、面白いですよね。デッドプールも大好きですし、無限の可能性があるので今後も面白いMCU作品を生み出し続けてくれると信じています。

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