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アイドル・シーン最前線、アイドルは今ロックが熱い!?

Entame Plex 2014年8月27日 16時3分

今年の夏は週末のみならず、平日でも数多くのアイドル・イベントが開催され、さらにはアイドルたちがロックフェスに参戦するのも通例化され始めている。アイドル業界が飽和状態だからこそ、百花繚乱に見えるアイドルという存在に外側の人たちが興味の触手を伸ばしているのが現状だ。

じつはそんなアイドル業界に面白い動きが起きている。それが、ロックなスタイルへのアプローチ。そもそも、アイドルの楽曲プロデュースや制作に関わっている人たちにロック現場育ちが多いこともあり、以前からマニアックなロックナンバー風の楽曲をアイドルたちに歌わせる傾向はあった。そして、そのアイドルの枠を外れたアプローチが話題を呼び、今のアイドル・ムーブメントへも繋がっている。とはいえ、今やそれだけではなかなか飛び抜けた存在感を発揮出来ないのも事実。ただ逆に捉えれば、それだけ個性的な楽曲がアイドルの世界には多く存在しているということ。だから外部の人たちが「サブカルの匂いがする」と理屈を付けては、現在のライブアイドル・シーンに興味、関心を示してるとも言えるだろう。

そんななか、8月20日(水)、赤坂BLITZでガールズロックバンドたちが集結したイベント「GIRLS ROCK SUMMER SPLASH!! 2014」が開催された。出演したのは、FLiP、LoVendoЯ、Gacharic Spin、THE ポッシボー、井上苑子、がんばれ!Victory、Boiler陸亀の7バンド。さらに、オープニングアクトとしてASUCA BANDも登場。

このイベントの面白さは、「アイドル側からロックな姿勢へアプローチしたスタイル」「ロックバンドながら、アイドル的なアプローチも表現に取り入れた形」「世間の動きなど我関せず、自分らが求めたいロックな音楽性を追求し続けている」。大きく分けるなら、3つのアプローチを持って音楽を表現している「ガーリーなアーティストたち」が集結したところにあった。



普段はアイドル・ユニットとして活動しているTHE ポッシボーは、この日バンドを引き連れ、迫力満載の生音を背景に昂ぶる感情を全開にしながら、観客たちへ挑みかかる姿勢のもとステージを披露すれば、元モーニング娘。の田中れいなが中心となっているLoVendoЯも一見アイドル寄りと思われそうだが、表現する楽曲にその面影は一切なく、ツイン・ヴォーカルとツイン・ギターの掛け合いが織りなす激しくもドラマチックな世界観を表現。



一方で、10代の少女たちの純粋な心模様を青春という舞台劇の中へ投影し表現していたがんばれ!Victory。同じ10代という面では、この日最年少だった16歳の井上苑子は、自身の生きざまを楽曲へ投影し、その姿はポストmiwaのような存在感を感じた。



その他にも、Gacharic Spin、Boiler陸亀もロッキンなステージで圧倒し、トリを飾ったFLiPもド迫力なステージングで、終始観客たちを熱狂の渦の中へ飲み込み続けていた。

女性だからこその視点や表現を通し、それぞれに独自の音楽性を提示してきたこの日の出演者たち。「こうでなきゃ」「こうだから」という枠を取り払い、心のアンテナに引っかかった要素を柔軟に取り入れながら個性にしている今のガールズ・ロッカー。今回の「GIRLS ROCK SUMMER SPLASH!! 2014」では、そんな姿勢を示すアーティストたちの姿を一気に味わうことができた。

最後にライブを終えたばかりの彼女たちに直撃!

THE ポッシボー


——ライブを終えてみて感想は?
ロビン「今回は全員女性バンドということで、THE ポッシボー自身は演奏はしてないんですけど、豪華な出演者の方の中に呼んでいただけたので、緊張しました」

——まわりはガールズロックバンドばかりでしたが。
はしもん「私たち、普段はグループ5人で活動してて、最近は生バンドで歌わせてもらう機会も増えたんですけど、バンドの対バンにも呼んでいただけるようになったことがすごい嬉しくって。いろんな方のステージを観ながら“こういうところはこうやって歌えばいいんだな”と勉強になったりなど、生バンドの良さをすごい感じたイベントでした」

LoVendoЯ


——ライブ大盛り上がりでしたね!
田中れいな「この日から衣装が替わったせいか、みんなテンションが上がっていました。この夏は対バンやイベントなど結構な頻度で出てたんですけど、この日を迎えるまでに少しライブ期間が空いてたことから、今日はひさびさのライブ。“おかまり(岡田万里奈)、歌詞間違えないかなぁ”と、楽屋ではそんな話もしていて(笑)。ステージに出て歌い始めたら“やっぱりライブは楽しいなぁ”という気持ちが先に来ていたように、短い時間でしたけど、とても楽しめました」

——こういったガールズロック系のイベントはいかがですか?
田中れいな「私たちのことを知らない人たちにたくさん観てもらえる機会ってこういうときこそなので、出演者の方が多ければ多いほど“頑張ろうね!”みたいになるよね」

宮澤茉凜「間違いない!!」

岡田万里奈「後ろの方たちへ“WOW!WOW!WOW!と叫んでください!”って言ったら、みんな声を張ってくれたんです。その表情を観ながら“やっぱライブって楽しいなぁ”と、にやにやしてました」

田中れいな「今、ガールズバンドがたくさん出てきているので、その中でも埋もれないようにやりたいなっていうのと、LoVendoЯはやっぱり、ガールズバンドのイベントだけじゃなく、アイドルのイベントとかにも出させてもらっているように、バンドだけじゃなくいろんなイベントに今後も出たいなと思ってます」

FLiP


——ライブお疲れさまでした。
Sachiko「今日はほとんどが初めて対バンする方々ばかり。FLiP自体初めて観る人が多い中、“トリを飾るのはちょっと大丈夫かな??”と思っていたんですけど。お客さんもバンドの方々も音楽好きばかりが集まっているイベントのように、温かく、楽しくライブが出来て良かったです」

——ガールズロック系のイベントに出て何を感じました?
Sachiko「地方のフェスでも女性ボーカル縛りのイベントがあって、それに出させていただいたりしていたので、ガールズ系のイベントとの繋がりはけっこうあります」

Yuumi「LoVendoЯちゃんとは、最近よくやってますしね。ただ、うちらはロック村でやっているんだけど。この日のイベントの対バンさんらはちょっとタイプが違うから“お客さんたちから、どんな反応が帰ってくるのかな”みたいな不安も最初はあったんです。だけど、お客さんたちも盛り上がってくれてたし。対バンした人たちとも仲良くなったように“なんで今まで、こういうシーンの人たちと対バンしなかったんだろうね”と思ったくらい、手応えはあったなと思ってます」

Sachiko「最近のFLiPは“同性に向けてのメッセージをもっと伝えていきたい”意識も持ってて。そういう気持ちでいた中、こうやって、ジャンルとか関係ないステージに立ってライブをやってると、自分たちに無かったいろんな面が見えてくるんですよね。実際、対バンして分かることも多いように、今日はFLiPとして得るものがすごくあったし、素直に吸収しながら楽しめたライブになりました」

取材:長澤智典

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