いまや芸人というよりアーティスト! 自身が手掛けるパラパラ漫画が世界的な注目を集める鉄拳。そんな彼の作品を集めたDVD第二弾「鉄拳パラパラ漫画作品集第二集」が10月1日に発売した。今作にはAKB48、MUSEらのミュージックビデオをはじめ、信濃毎日新聞の140周年作品など、特典をあわせ計8作品収録。その内容について話を伺いつつ、さらに話をすすめてみると……。鉄拳独占インタビュー!
——この夏はヘルニアで大変だったとか。今はもう大丈夫ですか?
「大丈夫です。ただ、夏はずっと自宅で寝てました。本当は、映画祭に出品するための作品を描く予定だったんですけどね……」
——大変だったんですね。でも、最近は本当にパラパラ漫画が大人気で、このたびDVDの第二弾が発売に。第一弾もすごく売れていると聞きました。
「単純にうれしいですね。こんなに売れると思ってなかったので」
——鉄拳さんって、もともと漫画家志望だったんですよね?
「そうなんですけど、なれなくて。でも今は似たようなことができたのでよかったです。ただ、当時思っていたものとは全然違いますけどね」
——最初にパラパラ漫画を手掛けることになったのも、すごく急な話だったとか。
「あるパラパラ漫画の企画があって、本当は別の芸人さんが作る予定だったんですけど、その方が急遽できなくなり、それで自分に話がまわってきて。急ぎでパラパラ漫画を作ったら、それをテレビ局の人が見ていて、“パラパラ漫画の大会に出てみないか?”って誘われて。そしたらその大会を見た他のテレビ局の人からうちでも描いてくれないかって。それでできたのが『振り子』で、そこから一気に仕事が増えました」
——当時はこうも人気が出ると思ってました?
「全然。実は最初にパラパラ漫画を描く前によしもと(会社)には(芸人)やめますって言ってましたし。パラパラ漫画を描いた後も、当初はやめる予定だったので」
——それがいまやDVDも第二弾が発売。今作には7つのパラパラ漫画が収録されていますが、この中で特に印象に残っている作品は?
「(AKB48のミュージックビデオ)『So long!』ですね。これは、とにかく(描く)枚数が多かったんですよ。尺的には『家族のはなし』の方が長いんですけど、そっちは使い回しができたので枚数的には少ないんです。『So long!』は、使い回しができなくて、全部で2200枚ぐらい描いていて」
——描く枚数が多いと大変なんですね。
「あとは、このとき『あまちゃん』の制作も始まっていてすごく大変だったんです。そんなときにAKB48のミュージックビデオを3本やってくれって話があって。普通だったら断るんですけど、秋元康さんに目の前で言われたら断れないですよね(笑)。強制されたわけじゃないんですけど、やらなきゃいけないオーラがピリピリで。なので、結局『あまちゃん』にAKBと、その他にも定期の仕事もあって、当時は1日100枚ぐらい描いてましたね」
——腱鞘炎とかならないですか?
「それが意外とならないんですよ。ただ、体力的な問題と精神的な問題が。特に精神は確実に病んでました(笑)」
——パラパラ漫画を作る上で気をつけていることは?
「大切なのは、パラパラ感を出すことですね。そして、微妙な汚さというか、細かく、キレイ描きすぎると普通のアニメーションになってしまうので、そのバランスも大事。描き込みすぎるとズレがなくなって味がなくなるし、かといってわざとずらしてもダメ。だから、僕の場合はわざとらしくならないぐらいの真面目な感じで描いてます。そうすると微妙なズレができてパラパラ感も出るんですよ。だから、描いているときは結構雑だったりします。あまり考えずに描いていて。若干、絵がズレていることでパラパラ感が出るんですよ」
——では、ストーリーはどうやって考えるんですか?
「例えばミュージックビデオなら、音楽を聴くと想像がかき立てられて、いろいろと浮かぶんです。昔から音楽を聴きながら、もし自分がミュージックビデオを作るとしたらって考えたりしていて。だから、ストーリーを考えるのはそんなに大変じゃないです。むしろ、音楽(楽曲)のタイミングと(パラパラ漫画の)シーンをあわせるのが大変というか、難しいですね」
——今回DVDに収録している作品は、感動的なストーリーが多いですけど、その方が得意なんですか?
「そういうわけではなく、感動的な話で描いてくれってお願いされるんですよね。『振り子』を作った後は、特にそういったオファーがすごく多くて」
——ただ、その中でも「弱い虫」は感動とはまたちょっと違った、これだけ異色のお話ですよね。
「これは問題作を作りたいって(クライアントから)言われたんです。現実にもあるいじめ問題とかをそのまま使いましょうって。それで、これは冤罪がテーマの、すごく現実味のある作品になってます。僕の話って、家族愛も空想だし、『ファーストラビット』とかはファンタジーだし、そして『弱い虫』は現実的な話。ただ、こういった話は賛否両論大きいですね。最近、SEKAI NO OWARIのパラパラ漫画を作ったんですけど、それも結構現実味のあるもので、反響が大きかったですね。結構叩かれもしました(笑)」
——個人的に今作で特に思い入れのある作品はありますか?
「『ファーストラビット』ですね。これが一番好きなんですよ。他の作品と系統が違ってて、だまし絵のような感じでワクワクしながら楽しんで描けたので。毎回同じようなテーマだとちょっと気分が落ちたりするんですけど、たまに違った作品を描くとテンションがあがるし、楽しいですね」
——パラパラ漫画のネタを考えるのと、お笑いのネタを考えるの、どちらが大変ですか?
「どっちも同じぐらい大変です。ただ、僕はおしゃべりがあまり得意じゃない。パラパラ漫画はしゃべりが必要ないからいいですね。言葉がいらないし、絵だけで伝えることができる。それは世界共通だし、僕の今一番の武器ですね」
——今年は、鉄拳さんの代表作「振り子」が実写映画化されましたね。
「『振り子』は(実写化するのが)一番難しいと思ったんですけどね……でも、それが実写化できるとわかったことは大きいですね。しかも、パラパラ漫画を映画にするとこうなるんだっていうのがわかったのでよかったです。ただ、実写もいいですけど、いつかアニメにもしてもらいたいです。僕は昔からジブリやディズニーとかがすごく好きで、すごく影響も受けてるんですよ。パラパラ漫画を描くようになって、さらに細かく見るようになりましたけど、改めてスゴいなって思いますね。レベルが全然違う。でも、もしそういった方々にアニメ化してもらえたら面白いですよね」
——今はすごく忙しいと思うんですが、弟子とかはとらないんですか?
「そろそろ必要ですよね、募集したいんですけどね……。でも、それは僕がもう1ランクあがったらですね。そしたらギャラもあがると思うので。そのためにはまず賞を獲らないと」
——すでにいくつかは獲ってますよね。
「まだまだ全然ですね。もっと誰もが知っているようなやつ。アカデミーとか獲りたい(笑)。ノミネートだけでもいいから、何かの間違いとかでされないかな(笑)。そしたらランクもあがるんでしょうね。でも、そうなったらなったでいろいろ大変そうですけど」
——いつかアカデミーの大舞台に、鉄拳さんがいつもの衣装であがるのを楽しみにしてます。
「実はそろそろ普通に戻りたいんです(笑)。もう最近は素顔もバンバン出してますし、そういう依頼も多いので。今となってはそんなにこだわってないので。やっぱり素顔の方がラクなんで(笑)」
——この夏はヘルニアで大変だったとか。今はもう大丈夫ですか?
「大丈夫です。ただ、夏はずっと自宅で寝てました。本当は、映画祭に出品するための作品を描く予定だったんですけどね……」
——大変だったんですね。でも、最近は本当にパラパラ漫画が大人気で、このたびDVDの第二弾が発売に。第一弾もすごく売れていると聞きました。
「単純にうれしいですね。こんなに売れると思ってなかったので」
——鉄拳さんって、もともと漫画家志望だったんですよね?
「そうなんですけど、なれなくて。でも今は似たようなことができたのでよかったです。ただ、当時思っていたものとは全然違いますけどね」
——最初にパラパラ漫画を手掛けることになったのも、すごく急な話だったとか。
「あるパラパラ漫画の企画があって、本当は別の芸人さんが作る予定だったんですけど、その方が急遽できなくなり、それで自分に話がまわってきて。急ぎでパラパラ漫画を作ったら、それをテレビ局の人が見ていて、“パラパラ漫画の大会に出てみないか?”って誘われて。そしたらその大会を見た他のテレビ局の人からうちでも描いてくれないかって。それでできたのが『振り子』で、そこから一気に仕事が増えました」
——当時はこうも人気が出ると思ってました?
「全然。実は最初にパラパラ漫画を描く前によしもと(会社)には(芸人)やめますって言ってましたし。パラパラ漫画を描いた後も、当初はやめる予定だったので」
——それがいまやDVDも第二弾が発売。今作には7つのパラパラ漫画が収録されていますが、この中で特に印象に残っている作品は?
「(AKB48のミュージックビデオ)『So long!』ですね。これは、とにかく(描く)枚数が多かったんですよ。尺的には『家族のはなし』の方が長いんですけど、そっちは使い回しができたので枚数的には少ないんです。『So long!』は、使い回しができなくて、全部で2200枚ぐらい描いていて」
——描く枚数が多いと大変なんですね。
「あとは、このとき『あまちゃん』の制作も始まっていてすごく大変だったんです。そんなときにAKB48のミュージックビデオを3本やってくれって話があって。普通だったら断るんですけど、秋元康さんに目の前で言われたら断れないですよね(笑)。強制されたわけじゃないんですけど、やらなきゃいけないオーラがピリピリで。なので、結局『あまちゃん』にAKBと、その他にも定期の仕事もあって、当時は1日100枚ぐらい描いてましたね」
——腱鞘炎とかならないですか?
「それが意外とならないんですよ。ただ、体力的な問題と精神的な問題が。特に精神は確実に病んでました(笑)」
——パラパラ漫画を作る上で気をつけていることは?
「大切なのは、パラパラ感を出すことですね。そして、微妙な汚さというか、細かく、キレイ描きすぎると普通のアニメーションになってしまうので、そのバランスも大事。描き込みすぎるとズレがなくなって味がなくなるし、かといってわざとずらしてもダメ。だから、僕の場合はわざとらしくならないぐらいの真面目な感じで描いてます。そうすると微妙なズレができてパラパラ感も出るんですよ。だから、描いているときは結構雑だったりします。あまり考えずに描いていて。若干、絵がズレていることでパラパラ感が出るんですよ」
——では、ストーリーはどうやって考えるんですか?
「例えばミュージックビデオなら、音楽を聴くと想像がかき立てられて、いろいろと浮かぶんです。昔から音楽を聴きながら、もし自分がミュージックビデオを作るとしたらって考えたりしていて。だから、ストーリーを考えるのはそんなに大変じゃないです。むしろ、音楽(楽曲)のタイミングと(パラパラ漫画の)シーンをあわせるのが大変というか、難しいですね」
——今回DVDに収録している作品は、感動的なストーリーが多いですけど、その方が得意なんですか?
「そういうわけではなく、感動的な話で描いてくれってお願いされるんですよね。『振り子』を作った後は、特にそういったオファーがすごく多くて」
——ただ、その中でも「弱い虫」は感動とはまたちょっと違った、これだけ異色のお話ですよね。
「これは問題作を作りたいって(クライアントから)言われたんです。現実にもあるいじめ問題とかをそのまま使いましょうって。それで、これは冤罪がテーマの、すごく現実味のある作品になってます。僕の話って、家族愛も空想だし、『ファーストラビット』とかはファンタジーだし、そして『弱い虫』は現実的な話。ただ、こういった話は賛否両論大きいですね。最近、SEKAI NO OWARIのパラパラ漫画を作ったんですけど、それも結構現実味のあるもので、反響が大きかったですね。結構叩かれもしました(笑)」
——個人的に今作で特に思い入れのある作品はありますか?
「『ファーストラビット』ですね。これが一番好きなんですよ。他の作品と系統が違ってて、だまし絵のような感じでワクワクしながら楽しんで描けたので。毎回同じようなテーマだとちょっと気分が落ちたりするんですけど、たまに違った作品を描くとテンションがあがるし、楽しいですね」
——パラパラ漫画のネタを考えるのと、お笑いのネタを考えるの、どちらが大変ですか?
「どっちも同じぐらい大変です。ただ、僕はおしゃべりがあまり得意じゃない。パラパラ漫画はしゃべりが必要ないからいいですね。言葉がいらないし、絵だけで伝えることができる。それは世界共通だし、僕の今一番の武器ですね」
——今年は、鉄拳さんの代表作「振り子」が実写映画化されましたね。
「『振り子』は(実写化するのが)一番難しいと思ったんですけどね……でも、それが実写化できるとわかったことは大きいですね。しかも、パラパラ漫画を映画にするとこうなるんだっていうのがわかったのでよかったです。ただ、実写もいいですけど、いつかアニメにもしてもらいたいです。僕は昔からジブリやディズニーとかがすごく好きで、すごく影響も受けてるんですよ。パラパラ漫画を描くようになって、さらに細かく見るようになりましたけど、改めてスゴいなって思いますね。レベルが全然違う。でも、もしそういった方々にアニメ化してもらえたら面白いですよね」
——今はすごく忙しいと思うんですが、弟子とかはとらないんですか?
「そろそろ必要ですよね、募集したいんですけどね……。でも、それは僕がもう1ランクあがったらですね。そしたらギャラもあがると思うので。そのためにはまず賞を獲らないと」
——すでにいくつかは獲ってますよね。
「まだまだ全然ですね。もっと誰もが知っているようなやつ。アカデミーとか獲りたい(笑)。ノミネートだけでもいいから、何かの間違いとかでされないかな(笑)。そしたらランクもあがるんでしょうね。でも、そうなったらなったでいろいろ大変そうですけど」
——いつかアカデミーの大舞台に、鉄拳さんがいつもの衣装であがるのを楽しみにしてます。
「実はそろそろ普通に戻りたいんです(笑)。もう最近は素顔もバンバン出してますし、そういう依頼も多いので。今となってはそんなにこだわってないので。やっぱり素顔の方がラクなんで(笑)」