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大宮エリー、12月13日銀河劇場で生まれる新たな物語、イベント「物語の生まれる場所」開催

Entame Plex 2014年12月4日 20時11分

“以前から心の中では密かに思っていたやりたかったこと”
“練習もきっちりやる、でも最終的には違うことを……”
“豚の細切れですけどめちゃくちゃうまいよ”
“何も準備をしないでぶっつけ勝負というのは嫌い”

大宮エリーは、「物語の生まれる場所」についてそう話す。



脚本家であり作家、映画監督、ディレクター、パーソナリティ……、とにかく様々な分野で活躍、マルチな才能を発揮している大宮エリーが、今最も大事な表現の場、次のフェイズとして力を入れているのが本イベント「物語の生まれる場所」。そこでは、大宮が朗読し、そこに様々なミュージシャンが音楽を加え、物語を生み出していく。今回は12月13日に行われる拡大版イベントを前に、その魅力について大宮本人に改めて聞いてみた。

——今回は、初の銀河劇場公演。規模も大きくなり、ゲストも多数参加。これはスペシャル版と考えていい?
「そうです。ある種の集大成であり、挑戦でもありますね。もともと、去年私が個展をやり過ぎて病んじゃったことからスタートしたんですけど、それがここまできたかと……」



——それは「物語の生まれる場所」が生まれるきっかけ?
「(去年は)個展を8個もやっちゃって、もう何もしたくないって思ってたら、ミュージシャンの友達のおおはた雄一君がライブとかやれば治るんじゃない?みたいな感じで誘ってくれたのがきっかけなんです。ライブって言ったって私は何すればいいのって感じなんですけどね。歌えるわけでも楽器を弾けるわけでもないのに。そしたら朗読すればいいじゃんって。でも、やってみたらこれがまた結構ウケて。目黒のクラスカでやったときには、ツイッターで宣伝しただけなのにチケットは完売。当日は200人ぐらい来ちゃって。孤独な人って結構いるんですよね」

——その他にもパルコミュージアムなどで開催したり、夏フェスでもやられたんですよね。
「いろいろな場所でやってきたんだけど、毎回チケットが取れないっていう人がいたんです。そういった方たちに悪いから、たまには大きめな会場でってことになり、会場を探していたら銀河劇場でやらせていただけることになって。素敵な劇場だし、すごく嬉しいんですけど……キャパが700人。デカすぎて、ちょっとプレッシャーっていう」

——でも、ある意味大宮さんの燃え尽き症候群のリハビリの場が、ここまで大きくなったのはすごいですね。
「私の中でも次のフェイズだったんですよ。やってみて思ったんですけど、これは以前から心の中では密かに思っていたやりたかったことであり、場所でもあったんだなって。自分の書いた物語を読んでいくんですけど、お客さんが毎回違うからやることも違うし、お客さんを見て即興で話をし、ミュージシャンに音を付けてもらう、そのライブ感が楽しいんですよね」

——イベント前に事前に打ち合わせなどはしていない?
「ある程度決めているし、練習もきっちりやってきますよ。でも、結局は全然違うことをやってるんですけど。その場でお客さんに“どんなのがいい?”って聞いて、“泣けるやつ!”って言われたら、泣けるものをやったり。その生感、やれるのかよって感じが面白くて」



——ジャズのセッションみたいな感じですね。
「そうですね。クラスカでやったときも、(一緒にイベントをやっているミュージシャンの)おおはた君がいきなりロックを弾きだして、“えー!!”みたいな感じで、私も“クラスカー!”ってシャウトして物語を始めたけど、途中で苦しくなって止めるみたいな(笑)」

——そもそも物語って、そんな即興で生まれるものなんですか?
「難しいですよ。ただ、私の場合はお客さんのバイブレーションを吸い取ってやるというか、なんとなく会場から感じることがあって、それを話してる。あとは、自分で映像を浮かべてそれをしゃべったりしてますね。ノリに近い部分もあります(笑)。ただ、そういうときは、終わった後に1人で私が落ち込むことも。私も一応物書きなので、つまらない話をしちゃったって思うと、やっぱりね……。ただ、そんなときでもお客さんは結構盛り上がってくれて……みんな優しいんですよね」

——その場の雰囲気も大きいんじゃないですか、そこでしか味わえない経験が会場を包み込んでいるわけで。
「それに、みんなと一緒に作っていく感覚、それをお客さんにも楽しんでもらえているのかなって思います。ただ私がこういう話をしたいからするんじゃなく……それは料理みたいなもの。たとえ事前にカレーを用意していても、お客さんを見て、疲れてるな、寒そうだなって思ったらあえてあんかけを出したり。体が欲してるものを提供したいし、それで喜んでもらえたらすごく嬉しいし。もちろんそうは言っても手のこんだものもちゃんと見せたいので、きっちり作り込んでいくものもありますけど、それだけだとつまらないから、お客さんの顔を見て作るものも必要なんですよね」



——毎回たった一度のステージ、2度と体験できないステージですね。
「そこでは自分たちが不安なところも、うまくいって喜ぶところも、私たちの全部を見せている。それが面白みの1つだと思いますね。お客さんも全員が全員笑いを求めているわけでも泣きを求めているわけでもなく、両方のお客さんがいるわけで、私たちはそこに対応していかなくちゃいけないんですよ。それは大変ですけど、やりがいもあるんですよね。私は欲張りな人間なので、お客さん全員に満足してもらいたくて頑張ってます」

——今回はそれが700人となるとさらに大変そうですね。
「頑張りますよ。私が朗読して、音楽をつけてもらって、耳で聴く映画のような世界をぜひ楽しんでほしいですね。ステージが終わった後に、面白かったけど何も残らないっていうよりは、何かみんなのプラスになればいいなって思ってます」

——今回は音楽面でも、おおはた雄一さんの他、芳垣安洋さんや伊賀航さん、栗コーダーカルテット3/4といったアーティストが参加。また新たな世界が広がりそうですね。
「みんな実力があって、即興でも全然対応できる方ばかり。メジャーというわけじゃないかもしれないけど、いぶし銀ばかりで絶対にいいものができると思ってます。豚の細切れですけどめちゃくちゃうまいよみたいな(笑)。映画の編集をしてるときもそうなんですけど、音楽ってハマるハマらないが確実にある。それは音楽性もそうだし、間のあけ方もそう。照明みたいなものというか、音楽も演出の1つなんですよね。音の種類や入れ方でその空間がいかようにもなる、そういったところも楽しみにしててほしいですね。そのために、今回もリハだけはいっぱいやってるし(笑)。」

——即興とはいえ、やはり事前の備えが大事。
「何も準備をしないでぶっつけ勝負というのは嫌いなんです。それってバレるしね。あくまで積み上げてきたものを崩す、完璧なんだけどあえてやらない、それがいいのかなって。そうすることで毎回様々な物語が生まれてきたわけだし。銀河劇場でもまた何か生まれたらいいなって思ってます」



『物語の生まれる場所at 銀河劇場』
日時:2014年12月13日(土)18時開演(17時開場)
会場:天王洲 銀河劇場
音楽とことばの即興で一回きりの一夜かぎりのものがたりがみなさんの前で生まれます。

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