「ピアノは僕がやりたいと言い出したわけではなく、母親の影響で始めたんです。母が音楽が大好きで。あとは当時ピアノを弾く男性を描いたドラマが流行っていたらしくて……」
——「ロンバケ(ロングバケーション)」ですね。個人的なイメージですけど、ピアノが弾ける男性はモテる気がします。
「それは間違いですね(笑)。僕が導きだした答えとしては、会話の最初のツールとしては優秀だと思いますが、その後はその人次第だと思います。僕はそれ(ピアノ)を活かせませんでした(笑)」
そんなとりとめのない会話から始まった、ニコ動発、動画投稿サイトで人気のピアニスト:まらしぃのインタビュー。
2008年に動画を初投稿。ネット界隈を中心に注目を集め、2010年には颯爽とCDデビュー。まさにシンデレラストーリーを歩む彼だが、このたび通算6枚目となるソロピアノアルバム「marasy piano world」をリリース。今作では初投稿から6年、全作品の動画再生回数総計1億3千万回以上を記録するライブラリの中から、とりわけ人気の楽曲を中心に新曲含め全15曲を一挙にパッケージ。
ここからは、そんなまらしぃのこれまでの軌跡、そしていわば彼の集大成とも言える今作について、たっぷりと話を聞いてみた。
——まらしぃさんは幼いころから人前でピアノを弾いていたそうですね。
「知り合いのレストランでBGM的に演奏させてもらっていました。9歳のころのことですね。ピアノを弾くとみなさん喜んでくれて、それが幼心にすごく嬉しかったのを覚えています」
——その後、紆余曲折を経てニコ動に動画をアップするようになった。
「いろいろありましたね。中学生時代にピアノの先生と諸々あってピアノを触らなくなり、高校生時代は『ぷよぷよ』というゲームにお熱になり、大学生のときに『ぷよぷよ』経由でネットで知り合った方から教えていただいた曲に感銘を受け、ピアノを再び弾き始めて」
——その教えてもらった曲が初めてニコ動に投稿した東方Projectの「ネイティブフェイス」ですよね。
「当時は投稿したというより、僕がピアノでその曲を弾いたので、紹介してくれたみんなに聴いてもらう手段として動画をアップしたんです」
——でも、そこで東方Projectと出会ったがゆえに今がある?
「そうですね。もしもそれがJポップだったら……違った人生を歩んでいたでしょうね(笑)」
——そして、初投稿を経てあれよあれよと注目を集めることになったわけですが。
「ありがたいことです。でも、僕自身としては再生回数にこだわるわけではなく、ただみんなに見てもらえればと思っていて。あとは、自分が投稿したものに対して肯定的なものも否定的なものも含めて、反応があることが嬉しかったんですよ。僕がピアノを弾くことで何かしらのリアクションがある、それは幼いころレストランで弾いていた感覚、僕がピアノを弾く根本に近いのかなって思います」
——投稿されている動画は、基本的にカバーが中心ですが、そのセレクトはどのように?
「単純に僕が好きかどうか、そこに終止している気がします。再生回数のことなどを考えれば、流行の曲を弾いた方がいいんでしょうけどね」
——新作「marasy piano world」も言えることですが、その流行に惑わされないセレクトがファンの心を掴んでいると思います。
「そうであれば嬉しいですね。僕自身、重度のニコ中(ニコニコ中毒)ですし。ただ、多くの方が一番音楽を聴くであろう青春時代に、僕は音楽を一切聴かずゲームばかりしていて。そこで出会ったゲーム音楽がすごく影響していると思います」
——まらしぃさんは、原曲を自身でピアノアレンジされるわけですが、その際に意識していることは?
「一般的に受け入れられている楽曲は、歌詞もそうですがメロディが素晴らしいに決まっています。僕は、そのただでさえ素晴らしいメロディをより際立たせることを意識していますね」
——たとえば、打ち込み系のものになるとメロディと同時にビートやグルーヴも重要になると思いますが、それをあえてピアノにアレンジする際には?
「そこは好きにやらせていただいてます(笑)。バスドラやスネアを鍵盤であてたり、いろいろ試行錯誤してますけど、最終的にあらゆる音を弾いたとしても、曲ががちゃがちゃしてしまうと美しくないと思うんです。なので、僕は一番きれいで、美しくなるように心掛けてます」
——カバーの一方で、今作にも「アマツキツネ」をはじめとするオリジナル曲も収録していますが、カバーとオリジナルではやはり別物?
「カバーは僕が好きな曲ばかりですので、弾いていても楽しいもの。オリジナルは、自分で作ったものの中から一度選別して残ったものが曲になる。それはそれで弾いていて楽しい……どちらもあまり変わらないかもしれませんね(笑)」
——いずれにせよ、自分がピアノを弾いていて楽しい曲というのが前提なんですね。
「突き詰めるとそうですね。自分が弾きたいものを弾く、それが今の僕の信条です」
——だからこそ今作も節操のない、様々なジャンルの楽曲が集まっているわけですね。
「そうですね。今回は様々な楽曲を収録させていただきましたが、「ピアノ協奏曲第1番”蠍火”」では、作曲者の方が収録現場にも来てくれて。そこで僕が弾いたものに対していろいろと意見をくださって、スゴく嬉しかったですね」
——ゲーム好きのまらしぃさんとしては、新作パズルゲームアプリ「風パズル」のテーマ曲となった「風ハ旅スル」も外せないのでは。
「自然を大切にしていて、様々な世界を旅していくという素敵なアプリだったので、ピアノでもいろいろなところに旅をしていく、そんな感覚で制作しました。ゲーム好きの僕としては、こうしてゲームに携われるのは本当に嬉しいです。このアプリも触らせていただきましたが、現段階では開発者の方より上手な自信があります(笑)」
——ゲーム、ネット関連の楽曲が多数あるなか、「奏」や「粉雪」と言ったJポップのカバーも収録。
「どれも大好きな曲で、以前から気持ちを込めて1つの形にしたいと思っていたんです。基本的にはJポップのカバーはあまりやっていませんが、絶対にやらないわけではないし、この素敵な機会に収録できてよかったです」
——ニコ動ユーザーの方には、まらしぃさんのようになりたいと思っている方も大勢いると思います。そういった方に最後にメッセージをお願いします。
「僕自身、偉そうなことを言える立場ではありませんが、すべては自分がやっていて楽しいかどうかに尽きると思います。流行っているからやる、嫌々やっていたりすると、それは見ている方にも伝わると思うんです。同時にプロになりたい、CDデビューしたいと思うのは素敵なことですが、そのために動画サイトを利用するのも個人的にはどうかなと思ってます。自分が大好きで、その結果をネットで発表していくなかで、もしかしたらいいご縁がある、それぐらいの感覚の方がいいのかなと。僕もプロになりたいからニコ動にアップし始めたわけではないので。個人的には、これからもずっと動画をアップし続けたいですし、活動していきたい。そして、とにかく楽しんで遊んでいきたいと思っています」
——「ロンバケ(ロングバケーション)」ですね。個人的なイメージですけど、ピアノが弾ける男性はモテる気がします。
「それは間違いですね(笑)。僕が導きだした答えとしては、会話の最初のツールとしては優秀だと思いますが、その後はその人次第だと思います。僕はそれ(ピアノ)を活かせませんでした(笑)」
そんなとりとめのない会話から始まった、ニコ動発、動画投稿サイトで人気のピアニスト:まらしぃのインタビュー。
2008年に動画を初投稿。ネット界隈を中心に注目を集め、2010年には颯爽とCDデビュー。まさにシンデレラストーリーを歩む彼だが、このたび通算6枚目となるソロピアノアルバム「marasy piano world」をリリース。今作では初投稿から6年、全作品の動画再生回数総計1億3千万回以上を記録するライブラリの中から、とりわけ人気の楽曲を中心に新曲含め全15曲を一挙にパッケージ。
ここからは、そんなまらしぃのこれまでの軌跡、そしていわば彼の集大成とも言える今作について、たっぷりと話を聞いてみた。
——まらしぃさんは幼いころから人前でピアノを弾いていたそうですね。
「知り合いのレストランでBGM的に演奏させてもらっていました。9歳のころのことですね。ピアノを弾くとみなさん喜んでくれて、それが幼心にすごく嬉しかったのを覚えています」
——その後、紆余曲折を経てニコ動に動画をアップするようになった。
「いろいろありましたね。中学生時代にピアノの先生と諸々あってピアノを触らなくなり、高校生時代は『ぷよぷよ』というゲームにお熱になり、大学生のときに『ぷよぷよ』経由でネットで知り合った方から教えていただいた曲に感銘を受け、ピアノを再び弾き始めて」
——その教えてもらった曲が初めてニコ動に投稿した東方Projectの「ネイティブフェイス」ですよね。
「当時は投稿したというより、僕がピアノでその曲を弾いたので、紹介してくれたみんなに聴いてもらう手段として動画をアップしたんです」
——でも、そこで東方Projectと出会ったがゆえに今がある?
「そうですね。もしもそれがJポップだったら……違った人生を歩んでいたでしょうね(笑)」
——そして、初投稿を経てあれよあれよと注目を集めることになったわけですが。
「ありがたいことです。でも、僕自身としては再生回数にこだわるわけではなく、ただみんなに見てもらえればと思っていて。あとは、自分が投稿したものに対して肯定的なものも否定的なものも含めて、反応があることが嬉しかったんですよ。僕がピアノを弾くことで何かしらのリアクションがある、それは幼いころレストランで弾いていた感覚、僕がピアノを弾く根本に近いのかなって思います」
——投稿されている動画は、基本的にカバーが中心ですが、そのセレクトはどのように?
「単純に僕が好きかどうか、そこに終止している気がします。再生回数のことなどを考えれば、流行の曲を弾いた方がいいんでしょうけどね」
——新作「marasy piano world」も言えることですが、その流行に惑わされないセレクトがファンの心を掴んでいると思います。
「そうであれば嬉しいですね。僕自身、重度のニコ中(ニコニコ中毒)ですし。ただ、多くの方が一番音楽を聴くであろう青春時代に、僕は音楽を一切聴かずゲームばかりしていて。そこで出会ったゲーム音楽がすごく影響していると思います」
——まらしぃさんは、原曲を自身でピアノアレンジされるわけですが、その際に意識していることは?
「一般的に受け入れられている楽曲は、歌詞もそうですがメロディが素晴らしいに決まっています。僕は、そのただでさえ素晴らしいメロディをより際立たせることを意識していますね」
——たとえば、打ち込み系のものになるとメロディと同時にビートやグルーヴも重要になると思いますが、それをあえてピアノにアレンジする際には?
「そこは好きにやらせていただいてます(笑)。バスドラやスネアを鍵盤であてたり、いろいろ試行錯誤してますけど、最終的にあらゆる音を弾いたとしても、曲ががちゃがちゃしてしまうと美しくないと思うんです。なので、僕は一番きれいで、美しくなるように心掛けてます」
——カバーの一方で、今作にも「アマツキツネ」をはじめとするオリジナル曲も収録していますが、カバーとオリジナルではやはり別物?
「カバーは僕が好きな曲ばかりですので、弾いていても楽しいもの。オリジナルは、自分で作ったものの中から一度選別して残ったものが曲になる。それはそれで弾いていて楽しい……どちらもあまり変わらないかもしれませんね(笑)」
——いずれにせよ、自分がピアノを弾いていて楽しい曲というのが前提なんですね。
「突き詰めるとそうですね。自分が弾きたいものを弾く、それが今の僕の信条です」
——だからこそ今作も節操のない、様々なジャンルの楽曲が集まっているわけですね。
「そうですね。今回は様々な楽曲を収録させていただきましたが、「ピアノ協奏曲第1番”蠍火”」では、作曲者の方が収録現場にも来てくれて。そこで僕が弾いたものに対していろいろと意見をくださって、スゴく嬉しかったですね」
——ゲーム好きのまらしぃさんとしては、新作パズルゲームアプリ「風パズル」のテーマ曲となった「風ハ旅スル」も外せないのでは。
「自然を大切にしていて、様々な世界を旅していくという素敵なアプリだったので、ピアノでもいろいろなところに旅をしていく、そんな感覚で制作しました。ゲーム好きの僕としては、こうしてゲームに携われるのは本当に嬉しいです。このアプリも触らせていただきましたが、現段階では開発者の方より上手な自信があります(笑)」
——ゲーム、ネット関連の楽曲が多数あるなか、「奏」や「粉雪」と言ったJポップのカバーも収録。
「どれも大好きな曲で、以前から気持ちを込めて1つの形にしたいと思っていたんです。基本的にはJポップのカバーはあまりやっていませんが、絶対にやらないわけではないし、この素敵な機会に収録できてよかったです」
——ニコ動ユーザーの方には、まらしぃさんのようになりたいと思っている方も大勢いると思います。そういった方に最後にメッセージをお願いします。
「僕自身、偉そうなことを言える立場ではありませんが、すべては自分がやっていて楽しいかどうかに尽きると思います。流行っているからやる、嫌々やっていたりすると、それは見ている方にも伝わると思うんです。同時にプロになりたい、CDデビューしたいと思うのは素敵なことですが、そのために動画サイトを利用するのも個人的にはどうかなと思ってます。自分が大好きで、その結果をネットで発表していくなかで、もしかしたらいいご縁がある、それぐらいの感覚の方がいいのかなと。僕もプロになりたいからニコ動にアップし始めたわけではないので。個人的には、これからもずっと動画をアップし続けたいですし、活動していきたい。そして、とにかく楽しんで遊んでいきたいと思っています」