2013年にデビューし、塩ノ谷早耶香はその後すぐさま約3カ月にわたり日本全国をまわる武者修行の旅へ。その結果、彼女はより大きな武器を身につけ着実にステップアップ。そして、その結晶となるファーストアルバム「Luna」を、昨年12月10日にリリースした。
“歌を言葉として届けたい”
そう願う彼女は、かつて、喜怒哀楽を表現するのが苦手だったという。そして、歌だけが喜怒哀楽を表現する唯一のもので、そこには彼女のすべての思いが込められている。それはつまり今作を聴けば、塩ノ谷早耶香の全てがわかるということ。今作「Luna」を通して彼女の今に迫る。
――もともとアーティストになるのは夢だったんですか?
「実はそうじゃないんです。小さいころから歌うことは好きだったんですけど、歌手になろうとは思ってなくて。というのも、目立つことが好きじゃなかったし、喜怒哀楽を表に出すのが苦手だったんですよ。でも、幼稚園のころからダンスを習っていて、当時はダンスなら喜怒哀楽が出せて」
――小さいころはダンサー志望だった?
「中学生の頃は大会とかにも出てたんですけど、次第に喜怒哀楽、心の変化を自分では素直に表現できないからこそ、それをもっと音楽で伝えたいと思ったんです。そして、より表現ができるものを考えたときに、それは歌なのかなって思って。それで、高校生のときに歌手を目指し始めました」
――今では人前に出ることも平気になりました?
「恥ずかしさはないんですけど……今は人前で歌ってるって感覚がないですね。私の目標として、歌を言葉として届けたいと思っていて」
――歌うというより、むしろステージから語りかけている、オーディエンスと話している感じ?
「ステージ上ではもちろん緊張もしているんですけど、私の場合、歌を歌として意識した瞬間にその日のライブは後悔が残るものになるんですよね。歌にも応援ソングや恋愛ソング、様々なものがあると思うんですけど、自然に感情、喜怒哀楽を表現しているだけで」
――その結果が今作、すごく喜怒哀楽を感じました。
「今回アルバムを出すことが決まって、改めて自分の曲を聴いたときに、そこには喜怒哀楽いろいろな感情があるなって感じたんです。そして、それが人間の本質というか、人間らしさなんだって思って。人間って私を含め、光と陰でできていると思うし、だからこそ面白いと思うんですよね。このアルバムではそんな光と陰を表現していて、最終的には1人の人間として存在してほしいと思ってます。それは私自身でもあり、このアルバムを受け取った方自身に存在することができれば嬉しいです」
――アルバムのタイトルである「Luna」も光と陰ということから?
「Luna=月って、私たちから見えている部分は光り輝いているけど、その裏は陰なんですよね。それってどこか人間に似てるなって思って。私たちには見えない部分、それって人間も同じで誰にも見せることのない部分がある。そういう意味でも月がぴったりだなと思いました。でも、単純に“月”や“ムーン”という言葉にしてしまうとちょっと違ったんですよね。一般的に月に対するイメージって、私もそうだけどすごく優しい感じがあると思うんです。今回は、そういった優しさに溢れた言葉にはしたくなくて。そんなときに“Luna”という言葉を見つけて、そこには“月”という意味と同時に“狂気”という意味もあって、そういった相反するイメージも今作にぴったりだなって思って」
――二面性というのも今作のテーマだった?
「光と陰は、私の人生のテーマでもあるんです。光と陰、両方とも本当の自分でウソじゃないし、自分の弱さも見つめ続けたい。全て自分の中でしっかりと感じながら、そこから目を反らさずに生きていくことで私の歌も変わってくると思っていて。例えば、今作に収録の『Like a flower』は明るい曲ですが、光と陰を見つめて生きていければ、それはただの光の曲じゃなく、陰も反映されたより深いものになると思うんです」
――自分の素直な気持ちを噓偽りなく表現していきたいと。
「私、歌でしか素直になれないんですよ。だからこそ、歌だけは素直にいたいんです。でも、それもデビューが決まって以降この2年間でかなり変化して、最初のころは心と歌がなかなか繋がらなかったんですけど、いまはリンクしてきた。まだまだ完全にできてないところもあるけど、いつまでも歌とは素直に向き合っていたいんです」
――今作には新曲が4曲収録されていますが、どれも違ったテイストですね。
「新曲はどれも私の中で挑戦でした。『雪空』は今まで私がやってきた音楽に沿った、バラードで切なさもあるけどリズムはしっかりしていてキラッとした音色が使われている曲。今までの塩ノ谷早耶香が表現されているものですね。逆に『それでも世界は美しい』は、私の1つの結晶かなって思ってます。これまで5枚のシングルを出してきて、それぞれ違う世界観を表現してきたんですけど、塩ノ谷早耶香の芯になるのは何か、私の歌が言葉になるってどんなことなのか考えたときに見つかったのがこの曲で。それこそ、私の音楽の1つの答えになったんじゃないかって気がします」
――タイトル曲の『Luna』もこれまでにない感じですよね。すごくジャジーで。
「これはちょっと違う自分、私の言葉で自分の陰を書いてみようと思って作った曲なんです。あと、今回はアルバムということで1曲スパイスのような曲も入れたくて、新たな塩ノ谷早耶香を感じてもらえるもの、それがこの曲です。実は、個人的にはこういう曲が大好きなんですよね」
――収録曲の中で気になったのが、3枚目のシングル『Ocean Blue』だけ入ってないんですね。
「好きな曲なんですけど、今回の曲の流れとは違うかなと思って。『Ocean Blue』だけが世界観が夏、自分のイメージとして夏はないんですよ。今作は自分のこと、どういったアーティストになりたいか表現するものだったので、その流れの中に夏は入れたくなかったんです。でも、DVDのミュージックビデオには入ってます」
――塩ノ谷早耶香=冬なんですね。
「完全に冬ですね。ジャケットでは肌を出してますけど、夏はそんなに好きじゃないんです(笑)。冬の方が切ないし、温もりがあって、ウソがない感じがして好きなんですよね。それに、夏って一瞬で終わっちゃう感じ、幻想のような気がしていて。一方で、冬は地に足が付いているというか、すごく現実的。それに景色もキレイですよね」
――あと、今作の中で1曲だけ、『ONE』は他の曲とはちょっと違うのかなと思っていて。セルフカバーということもあるかもしれませんが。
「そうですね。『それでも世界は美しい』がアーティストとしての1つの回答だとすると、『ONE』は今の私が素直に出せた曲ですね。この曲は、デビューシングルに収録されていた曲で、当時は18歳で上京してすぐにレコーディングしたんですよ。そのときはものすごく不安で、今とは全然違っていて。本来、この曲は温もりがあって誰かを包んであげたいっていうものなのに、今聴いてみるとその不安が素直に表現されていたからこそ、その温もり、言葉を自分に言ってほしい、そんなふうに聴こえたんですよ。デビューして2年、20歳になって、今の私が歌ったらそれは違って聴こえるのか、本来の歌に近づけているのか、今回はそんな挑戦もあってこの曲を収録しました。ファーストアルバムということもあって、デビュー当時からの私の変化も感じてもらいたかったし、それは自分自身知りたかった。ピアノカバーにしたのも、今の自分にあったのがピアノだっただけで、30歳になってもう一度この曲を歌ったら全然違うものになってるかもしれないですね。私の今を表すためにもこの曲は必要だったんです」
――生涯付き合っていく1曲なんですね。
「いつになったらこの曲の本当の姿が見つけ出せるのか、もしかしたら一生見つけられないかもしれないですけど、生涯歌っていきたいですね」
“歌を言葉として届けたい”
そう願う彼女は、かつて、喜怒哀楽を表現するのが苦手だったという。そして、歌だけが喜怒哀楽を表現する唯一のもので、そこには彼女のすべての思いが込められている。それはつまり今作を聴けば、塩ノ谷早耶香の全てがわかるということ。今作「Luna」を通して彼女の今に迫る。
――もともとアーティストになるのは夢だったんですか?
「実はそうじゃないんです。小さいころから歌うことは好きだったんですけど、歌手になろうとは思ってなくて。というのも、目立つことが好きじゃなかったし、喜怒哀楽を表に出すのが苦手だったんですよ。でも、幼稚園のころからダンスを習っていて、当時はダンスなら喜怒哀楽が出せて」
――小さいころはダンサー志望だった?
「中学生の頃は大会とかにも出てたんですけど、次第に喜怒哀楽、心の変化を自分では素直に表現できないからこそ、それをもっと音楽で伝えたいと思ったんです。そして、より表現ができるものを考えたときに、それは歌なのかなって思って。それで、高校生のときに歌手を目指し始めました」
――今では人前に出ることも平気になりました?
「恥ずかしさはないんですけど……今は人前で歌ってるって感覚がないですね。私の目標として、歌を言葉として届けたいと思っていて」
――歌うというより、むしろステージから語りかけている、オーディエンスと話している感じ?
「ステージ上ではもちろん緊張もしているんですけど、私の場合、歌を歌として意識した瞬間にその日のライブは後悔が残るものになるんですよね。歌にも応援ソングや恋愛ソング、様々なものがあると思うんですけど、自然に感情、喜怒哀楽を表現しているだけで」
――その結果が今作、すごく喜怒哀楽を感じました。
「今回アルバムを出すことが決まって、改めて自分の曲を聴いたときに、そこには喜怒哀楽いろいろな感情があるなって感じたんです。そして、それが人間の本質というか、人間らしさなんだって思って。人間って私を含め、光と陰でできていると思うし、だからこそ面白いと思うんですよね。このアルバムではそんな光と陰を表現していて、最終的には1人の人間として存在してほしいと思ってます。それは私自身でもあり、このアルバムを受け取った方自身に存在することができれば嬉しいです」
――アルバムのタイトルである「Luna」も光と陰ということから?
「Luna=月って、私たちから見えている部分は光り輝いているけど、その裏は陰なんですよね。それってどこか人間に似てるなって思って。私たちには見えない部分、それって人間も同じで誰にも見せることのない部分がある。そういう意味でも月がぴったりだなと思いました。でも、単純に“月”や“ムーン”という言葉にしてしまうとちょっと違ったんですよね。一般的に月に対するイメージって、私もそうだけどすごく優しい感じがあると思うんです。今回は、そういった優しさに溢れた言葉にはしたくなくて。そんなときに“Luna”という言葉を見つけて、そこには“月”という意味と同時に“狂気”という意味もあって、そういった相反するイメージも今作にぴったりだなって思って」
――二面性というのも今作のテーマだった?
「光と陰は、私の人生のテーマでもあるんです。光と陰、両方とも本当の自分でウソじゃないし、自分の弱さも見つめ続けたい。全て自分の中でしっかりと感じながら、そこから目を反らさずに生きていくことで私の歌も変わってくると思っていて。例えば、今作に収録の『Like a flower』は明るい曲ですが、光と陰を見つめて生きていければ、それはただの光の曲じゃなく、陰も反映されたより深いものになると思うんです」
――自分の素直な気持ちを噓偽りなく表現していきたいと。
「私、歌でしか素直になれないんですよ。だからこそ、歌だけは素直にいたいんです。でも、それもデビューが決まって以降この2年間でかなり変化して、最初のころは心と歌がなかなか繋がらなかったんですけど、いまはリンクしてきた。まだまだ完全にできてないところもあるけど、いつまでも歌とは素直に向き合っていたいんです」
――今作には新曲が4曲収録されていますが、どれも違ったテイストですね。
「新曲はどれも私の中で挑戦でした。『雪空』は今まで私がやってきた音楽に沿った、バラードで切なさもあるけどリズムはしっかりしていてキラッとした音色が使われている曲。今までの塩ノ谷早耶香が表現されているものですね。逆に『それでも世界は美しい』は、私の1つの結晶かなって思ってます。これまで5枚のシングルを出してきて、それぞれ違う世界観を表現してきたんですけど、塩ノ谷早耶香の芯になるのは何か、私の歌が言葉になるってどんなことなのか考えたときに見つかったのがこの曲で。それこそ、私の音楽の1つの答えになったんじゃないかって気がします」
――タイトル曲の『Luna』もこれまでにない感じですよね。すごくジャジーで。
「これはちょっと違う自分、私の言葉で自分の陰を書いてみようと思って作った曲なんです。あと、今回はアルバムということで1曲スパイスのような曲も入れたくて、新たな塩ノ谷早耶香を感じてもらえるもの、それがこの曲です。実は、個人的にはこういう曲が大好きなんですよね」
――収録曲の中で気になったのが、3枚目のシングル『Ocean Blue』だけ入ってないんですね。
「好きな曲なんですけど、今回の曲の流れとは違うかなと思って。『Ocean Blue』だけが世界観が夏、自分のイメージとして夏はないんですよ。今作は自分のこと、どういったアーティストになりたいか表現するものだったので、その流れの中に夏は入れたくなかったんです。でも、DVDのミュージックビデオには入ってます」
――塩ノ谷早耶香=冬なんですね。
「完全に冬ですね。ジャケットでは肌を出してますけど、夏はそんなに好きじゃないんです(笑)。冬の方が切ないし、温もりがあって、ウソがない感じがして好きなんですよね。それに、夏って一瞬で終わっちゃう感じ、幻想のような気がしていて。一方で、冬は地に足が付いているというか、すごく現実的。それに景色もキレイですよね」
――あと、今作の中で1曲だけ、『ONE』は他の曲とはちょっと違うのかなと思っていて。セルフカバーということもあるかもしれませんが。
「そうですね。『それでも世界は美しい』がアーティストとしての1つの回答だとすると、『ONE』は今の私が素直に出せた曲ですね。この曲は、デビューシングルに収録されていた曲で、当時は18歳で上京してすぐにレコーディングしたんですよ。そのときはものすごく不安で、今とは全然違っていて。本来、この曲は温もりがあって誰かを包んであげたいっていうものなのに、今聴いてみるとその不安が素直に表現されていたからこそ、その温もり、言葉を自分に言ってほしい、そんなふうに聴こえたんですよ。デビューして2年、20歳になって、今の私が歌ったらそれは違って聴こえるのか、本来の歌に近づけているのか、今回はそんな挑戦もあってこの曲を収録しました。ファーストアルバムということもあって、デビュー当時からの私の変化も感じてもらいたかったし、それは自分自身知りたかった。ピアノカバーにしたのも、今の自分にあったのがピアノだっただけで、30歳になってもう一度この曲を歌ったら全然違うものになってるかもしれないですね。私の今を表すためにもこの曲は必要だったんです」
――生涯付き合っていく1曲なんですね。
「いつになったらこの曲の本当の姿が見つけ出せるのか、もしかしたら一生見つけられないかもしれないですけど、生涯歌っていきたいですね」