“2015年は頑張らない”
これはもちろんいい意味で。
そう答えてくれたのは、俳優としてメキメキと頭角を現している三浦貴大。
2014年は「私の男」、「リトル・フォレスト」など、様々な作品で存在感を示してきた彼が、1月31日公開の映画「繕い裁つ人」では、俳優としてまた新たな側面を見せている。今回はそんな三浦貴大にインタビュー。本作について、そして今後の彼の展望、“頑張らない”宣言の心の内を聞いてみた。
——今作の第一印象は?
「本当に静かな作品だなと思いました。個人的にはこういった作品は好きなので、(撮影に入るのが)すごく楽しみでしたね。ただ、自分が演じる藤井という役、彼はもともと大手百貨店で洋服を売っていた男なんですけど、僕はそういう役をあまりやったことがなかったので少なからず不安もありました。これまで普通の街の人だったり、農作業をする人とかが多かったので(笑)」
——本編を見る限り、すごく自然体に見えましたが。
「そこは頑張りました。どうやったら藤井らしく見えるかどうか考えて」
——今回演じた藤井役は、すごくまっすぐな人でしたが、自分と比べて共通点や違いはありました?
「僕とはかなり違いましたね。まず、僕は彼のように自分の意見、自分が信じるものを他人になかなか言えないので。最終的には藤井も変化していきましたけど、最初の方の彼はかなり強かったと思います。若干、傲慢で図々しい感じもするぐらい(笑)。でも、そこは自分にはない部分でもあるので、ちょっとうらやましくもありました」
——すごくピュアな人でもありますよね。
「ホント少年のような人間ですね。自分の好きなものに対する思いがすごくて。それは素晴らしい部分でもありますけど」
——今回は、中谷美紀さん演じる主人公の市江もとてもまっすぐで職人気質。本作は職人というのが1つのテーマでしたが、三浦さんは職人に対してどんなイメージを持ってます?
「素直に憧れますね。ものを作る仕事としては、役者も職人であるべきだと思いますけど、見え方的にはあまりそう見えない仕事かもしれませんね。むしろ、撮影現場にいる照明さんやスタッフの方が職人的。みなさんホントかっこいいと思います」
——何かを極める感じ、そこには男のロマンみたいなものを感じますよね。
「そうですね。自分のこだわりを持って、作りたいものをいちから作り出す感覚。それは素晴らしいと思います」
——もしも生まれ変わって職人になれるとしたら、どんな職人になりたいですか?
「そうですね……包丁とか打ちたい、やっぱり鍛冶系がいいですね、ストイックな感じがして。漠然としていますけど、何か金属を打ちたいです(笑)。日本人として、刀鍛冶ってすごく憧れる部分があると思います。日本の鍛冶は世界一と言われていますし、それを作り上げてきた人たちは本当にスゴいと思います」
——そういった職人的感覚は、今作でも充分表現されていると思いますが、三浦さん的な「繕い裁つ人」の見所は?
「どこのシーンというわけではなく、今回は登場人物の1人1人が自分の仕事、自分の持っているものをすごく大切にしていると思うんです。そして、適当に生きている人も1人も出てこない。みんなが自分の仕事や人生をすごく大切にしながら生きている。その中で、誰に共感するかは人それぞれだと思いますけど、静かに、シンプルに生きていくことの素敵さを感じてもらえる作品だと思います。あとは、仕立て屋さんの話なので、登場人物の洋服もすごくいい。そこは洋服が好きな人などにぜひ見てほしいですね」
——今回は撮影場所も素敵な場所ですね。兵庫県川西市にある旧平賀邸。
「よく見つけたなって思いました(笑)。芝居をしていて、撮影場所やシチュエーション、ロケーションに助けられることって結構あるんですよ。今回もまさにそうで、神戸の街並も含めてああいった場所で撮影できたことはうれしかったです」
——今作は1月31日公開になりますが、2014年は様々な映画に出演されていましたね。振り返ってみてどんな1年でした?
「2014年は……長かったですね。実は僕、1年間があっという間だったってことが人生の中で一度もないんですよ。それに、よく楽しい時間はあっという間に過ぎるって言いますけど、その感覚もよくわからなくて」
——楽しい時間がないわけじゃないですよね?
「楽しいときも長いんですよ。もちろん、つまらないときも長いんですけど(笑)。いつでも僕の中では時間は長い。1日もすごく長いなって日々思っていて」
——それは損してるのか、得しているのか、微妙なところですね……。
「長く感じる分、いろいろな経験をして得していればいいんですけどね、そういうわけでもないし(笑)。2014年に関しては、今回の藤井役を含め今まであまりやったことのなかった役が多かったので、新しいことに挑戦できた1年だったと思います」
——では、最後に2015年の抱負をお願いします。
「“頑張らない”ことですかね、いい意味で。何か行うにしても、自分の中で努力してない感って大事だと思うんですよね。はたから見たら頑張っている風に見えても、ちょっとした余裕というか、まだまだ全然頑張っていないぞっていう気持ちを持ちながらやっていければと思っています」
映画「繕い裁つ人」は、1月31日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国順次ロードショー。
© 2015 池辺葵/講談社・「繕い裁つ人」製作委員会
これはもちろんいい意味で。
そう答えてくれたのは、俳優としてメキメキと頭角を現している三浦貴大。
2014年は「私の男」、「リトル・フォレスト」など、様々な作品で存在感を示してきた彼が、1月31日公開の映画「繕い裁つ人」では、俳優としてまた新たな側面を見せている。今回はそんな三浦貴大にインタビュー。本作について、そして今後の彼の展望、“頑張らない”宣言の心の内を聞いてみた。
——今作の第一印象は?
「本当に静かな作品だなと思いました。個人的にはこういった作品は好きなので、(撮影に入るのが)すごく楽しみでしたね。ただ、自分が演じる藤井という役、彼はもともと大手百貨店で洋服を売っていた男なんですけど、僕はそういう役をあまりやったことがなかったので少なからず不安もありました。これまで普通の街の人だったり、農作業をする人とかが多かったので(笑)」
——本編を見る限り、すごく自然体に見えましたが。
「そこは頑張りました。どうやったら藤井らしく見えるかどうか考えて」
——今回演じた藤井役は、すごくまっすぐな人でしたが、自分と比べて共通点や違いはありました?
「僕とはかなり違いましたね。まず、僕は彼のように自分の意見、自分が信じるものを他人になかなか言えないので。最終的には藤井も変化していきましたけど、最初の方の彼はかなり強かったと思います。若干、傲慢で図々しい感じもするぐらい(笑)。でも、そこは自分にはない部分でもあるので、ちょっとうらやましくもありました」
——すごくピュアな人でもありますよね。
「ホント少年のような人間ですね。自分の好きなものに対する思いがすごくて。それは素晴らしい部分でもありますけど」
——今回は、中谷美紀さん演じる主人公の市江もとてもまっすぐで職人気質。本作は職人というのが1つのテーマでしたが、三浦さんは職人に対してどんなイメージを持ってます?
「素直に憧れますね。ものを作る仕事としては、役者も職人であるべきだと思いますけど、見え方的にはあまりそう見えない仕事かもしれませんね。むしろ、撮影現場にいる照明さんやスタッフの方が職人的。みなさんホントかっこいいと思います」
——何かを極める感じ、そこには男のロマンみたいなものを感じますよね。
「そうですね。自分のこだわりを持って、作りたいものをいちから作り出す感覚。それは素晴らしいと思います」
——もしも生まれ変わって職人になれるとしたら、どんな職人になりたいですか?
「そうですね……包丁とか打ちたい、やっぱり鍛冶系がいいですね、ストイックな感じがして。漠然としていますけど、何か金属を打ちたいです(笑)。日本人として、刀鍛冶ってすごく憧れる部分があると思います。日本の鍛冶は世界一と言われていますし、それを作り上げてきた人たちは本当にスゴいと思います」
——そういった職人的感覚は、今作でも充分表現されていると思いますが、三浦さん的な「繕い裁つ人」の見所は?
「どこのシーンというわけではなく、今回は登場人物の1人1人が自分の仕事、自分の持っているものをすごく大切にしていると思うんです。そして、適当に生きている人も1人も出てこない。みんなが自分の仕事や人生をすごく大切にしながら生きている。その中で、誰に共感するかは人それぞれだと思いますけど、静かに、シンプルに生きていくことの素敵さを感じてもらえる作品だと思います。あとは、仕立て屋さんの話なので、登場人物の洋服もすごくいい。そこは洋服が好きな人などにぜひ見てほしいですね」
——今回は撮影場所も素敵な場所ですね。兵庫県川西市にある旧平賀邸。
「よく見つけたなって思いました(笑)。芝居をしていて、撮影場所やシチュエーション、ロケーションに助けられることって結構あるんですよ。今回もまさにそうで、神戸の街並も含めてああいった場所で撮影できたことはうれしかったです」
——今作は1月31日公開になりますが、2014年は様々な映画に出演されていましたね。振り返ってみてどんな1年でした?
「2014年は……長かったですね。実は僕、1年間があっという間だったってことが人生の中で一度もないんですよ。それに、よく楽しい時間はあっという間に過ぎるって言いますけど、その感覚もよくわからなくて」
——楽しい時間がないわけじゃないですよね?
「楽しいときも長いんですよ。もちろん、つまらないときも長いんですけど(笑)。いつでも僕の中では時間は長い。1日もすごく長いなって日々思っていて」
——それは損してるのか、得しているのか、微妙なところですね……。
「長く感じる分、いろいろな経験をして得していればいいんですけどね、そういうわけでもないし(笑)。2014年に関しては、今回の藤井役を含め今まであまりやったことのなかった役が多かったので、新しいことに挑戦できた1年だったと思います」
——では、最後に2015年の抱負をお願いします。
「“頑張らない”ことですかね、いい意味で。何か行うにしても、自分の中で努力してない感って大事だと思うんですよね。はたから見たら頑張っている風に見えても、ちょっとした余裕というか、まだまだ全然頑張っていないぞっていう気持ちを持ちながらやっていければと思っています」
映画「繕い裁つ人」は、1月31日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国順次ロードショー。
© 2015 池辺葵/講談社・「繕い裁つ人」製作委員会