夢を叶えること、恋をすること――人生の黄昏時にふたたびすべてが輝き始める瞬間を描いた最高にチャーミングな映画『トレヴィの泉で二度目の恋を』が1月31日より公開となる。
アカデミー賞を受賞した経験を持つ名優シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーが出演する、この笑って泣いてときめく大人のラブストーリーのメガホンを握ったのは、『イル・ポスティーノ』の名匠マイケル・ラドフォード。
現在は脚本を執筆中で、「その間は誰とも話さない(笑)」というラドフォード監督だが、今回は特別にロンドンのスタジオと回線をつないで、スカイプでインタビュー。“シャーリー・マクレーン映画デビュー60周年記念作”でもある本作や次回作のテーマ、そして「Entame Plex」読者へメッセージをもらいました。
――今作は、晩年から始まる恋が素敵ですね。アルゼンチン・スペイン映画『ELSA & FRED』(原題)を今回リメイクするにあたって、個人的に楽しみだったことは何でしょうか?
「いろいろある。2点あげるとすれば、熟練キャストたちとの仕事と、シャーリーとクリストファーとのコラボだよね。物語に恋愛が絡めば俳優たちの間にマジックが起こればいいと望むものだが、かたや80歳とかたや84歳だ。恋愛はだいたい若い者が体現するテーマだが、彼らはすごいカリスマ性だった。クリストファーは84歳でもブロードウェイで一人舞台をこなす才能のある人で、シャーリーはタイプが違うが、真の映画スターだ。ありきたりなコメントだが、スターのカリスマ性を持っている名優たちを至近距離で観られて楽しかったよ(笑)」
――そのプラマーが演じる男やもめフレッドですが、これは自身を投影している?
「(笑)! 僕は自分自身を役柄に投影しているかどうか自分ではわからないので、妻に聞いてくれよ(笑)。ただ、少なくとも彼のユーモアは僕に近いもので、彼のセリフで笑ってしまうことは多かったし、フレッドの持っているシニカルでシャープなウイットもいいと思う。彼が自分の人生を無駄にしたのではという恐れは、同じく感じる。日々の生活でいっぱいで、目を向けていないうちに人生が過ぎていたかもしれない恐怖。願い下げだね(笑)」
――ところで、今後、映画のジャンルやテーマで扱ってみたいことは何ですか?
「『イル・ポスティーノ』などの小さな映画は自分に近い感じがする。テーマはシンプルで普通の人が小さな夢をかなえようとする姿を描いたものだが、実はその小さな夢を描くことで、人間性という偉大な夢を形にすることを描くことと同じだと思っている。たとえば現状を打ち破って、違うところに行くという夢。そういうことをテーマとして映画を撮っていると思うね。今後、パキスタンを舞台にした作品も控えているけれど、それも小さな夢をかなえようとするドラマだ」
――たとえば日本を舞台にした作品はいかがですか? 日本文化など興味はありますか?
「実は僕は村上春樹氏と親交があって、『国境の南、太陽の西』を映画化する企画では何度も会って話し合いをしているわけだ。彼はアメリカで撮ってほしいそうで、僕は日本で撮りたくてね(笑)。まだ実現していない。僕は日本の食や文化に関心があって、ライフスタイルや、寡黙で礼儀正しい国民性も気に入っているよ。問題もあるだろうけれど、暮らしてみたいと思うほどの国だ。いい本があれば映画化がしたい。吉本ばなな氏の作品とか」
――最後になりますが、Entame Plexの読者に向けて、メッセージをお願いいたします!
「ラブ・イズ・エターナルだね。愛こそ永遠! それは伝わるはずさ。恋する気持ちは、40歳になったからといって変わらない。人生はいつもサプライズに満ちている。そこは楽しめるはず。本当の意味でのラブストーリーだと思っているので、女性には特に観てほしい。ふたりだけでやりたいことをやる映画なので、とても満足がいく結末が待っていると思うよ」
映画『トレヴィの泉で二度目の恋を』は、2015年1月31日(土)より、ロードショー!
© 2014 CUATRO PLUS FILMS, LLC
取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)
アカデミー賞を受賞した経験を持つ名優シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーが出演する、この笑って泣いてときめく大人のラブストーリーのメガホンを握ったのは、『イル・ポスティーノ』の名匠マイケル・ラドフォード。
現在は脚本を執筆中で、「その間は誰とも話さない(笑)」というラドフォード監督だが、今回は特別にロンドンのスタジオと回線をつないで、スカイプでインタビュー。“シャーリー・マクレーン映画デビュー60周年記念作”でもある本作や次回作のテーマ、そして「Entame Plex」読者へメッセージをもらいました。
――今作は、晩年から始まる恋が素敵ですね。アルゼンチン・スペイン映画『ELSA & FRED』(原題)を今回リメイクするにあたって、個人的に楽しみだったことは何でしょうか?
「いろいろある。2点あげるとすれば、熟練キャストたちとの仕事と、シャーリーとクリストファーとのコラボだよね。物語に恋愛が絡めば俳優たちの間にマジックが起こればいいと望むものだが、かたや80歳とかたや84歳だ。恋愛はだいたい若い者が体現するテーマだが、彼らはすごいカリスマ性だった。クリストファーは84歳でもブロードウェイで一人舞台をこなす才能のある人で、シャーリーはタイプが違うが、真の映画スターだ。ありきたりなコメントだが、スターのカリスマ性を持っている名優たちを至近距離で観られて楽しかったよ(笑)」
――そのプラマーが演じる男やもめフレッドですが、これは自身を投影している?
「(笑)! 僕は自分自身を役柄に投影しているかどうか自分ではわからないので、妻に聞いてくれよ(笑)。ただ、少なくとも彼のユーモアは僕に近いもので、彼のセリフで笑ってしまうことは多かったし、フレッドの持っているシニカルでシャープなウイットもいいと思う。彼が自分の人生を無駄にしたのではという恐れは、同じく感じる。日々の生活でいっぱいで、目を向けていないうちに人生が過ぎていたかもしれない恐怖。願い下げだね(笑)」
――ところで、今後、映画のジャンルやテーマで扱ってみたいことは何ですか?
「『イル・ポスティーノ』などの小さな映画は自分に近い感じがする。テーマはシンプルで普通の人が小さな夢をかなえようとする姿を描いたものだが、実はその小さな夢を描くことで、人間性という偉大な夢を形にすることを描くことと同じだと思っている。たとえば現状を打ち破って、違うところに行くという夢。そういうことをテーマとして映画を撮っていると思うね。今後、パキスタンを舞台にした作品も控えているけれど、それも小さな夢をかなえようとするドラマだ」
――たとえば日本を舞台にした作品はいかがですか? 日本文化など興味はありますか?
「実は僕は村上春樹氏と親交があって、『国境の南、太陽の西』を映画化する企画では何度も会って話し合いをしているわけだ。彼はアメリカで撮ってほしいそうで、僕は日本で撮りたくてね(笑)。まだ実現していない。僕は日本の食や文化に関心があって、ライフスタイルや、寡黙で礼儀正しい国民性も気に入っているよ。問題もあるだろうけれど、暮らしてみたいと思うほどの国だ。いい本があれば映画化がしたい。吉本ばなな氏の作品とか」
――最後になりますが、Entame Plexの読者に向けて、メッセージをお願いいたします!
「ラブ・イズ・エターナルだね。愛こそ永遠! それは伝わるはずさ。恋する気持ちは、40歳になったからといって変わらない。人生はいつもサプライズに満ちている。そこは楽しめるはず。本当の意味でのラブストーリーだと思っているので、女性には特に観てほしい。ふたりだけでやりたいことをやる映画なので、とても満足がいく結末が待っていると思うよ」
映画『トレヴィの泉で二度目の恋を』は、2015年1月31日(土)より、ロードショー!
© 2014 CUATRO PLUS FILMS, LLC
取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)