福島第一原発で、11月7日原発事故の後はじめて燃料デブリの取り出しが完了しました。
東京電力は、9月から福島第一原発2号機に釣りざおのような装置を投入し、デブリの試験的な取り出しに着手しました。
10月には数グラムのデブリを採取し東京電力は、7日午前11時40分に一連の作業を完了しました。
2011年の原発事故から13年以上が経過していますが原子炉からデブリを取り出すのは初めてです。
デブリは今後、茨城県の施設で成分や構造などの分析が進められます。
今回、取り出したデブリは大きさが5ミリ程度で、重さは3グラム以下とみられています。
13年以上の時間をかけて取り出せた燃料デブリの量はわずか数グラムですが、その成果と教訓について国の担当者を取材しました。
廃炉の最難関とも言われる「燃料デブリ」の取り出し。
デブリは福島第一原発の1号機から3号機に約8百80トンあると推定されています。
今回の取り出しについて原発事故直後から廃炉を担当してきた国の担当者は…
■経済産業省 木野 正登参事官
「まだまだ先は長いですけども、ようやく最初の1歩が踏み出せたかなという感じ」
今回、採取できたデブリは耳かき1杯程とわずか数グラムですが廃炉に向けては、大きな一歩に。
■経済産業省 木野 正登参事官
「どうやってこのデブリができたかを推定できる」
溶け落ちた核燃料が周囲の構造物と混ざり冷えて固まったデブリ。
採取したものを分析することでその性質や、どこを経由して溶け落ちたかなどわかるといいます。
その上で…
■記者
「周りの岩みたいなものは?」
■ 木野 正登参事官
「これもおそらくはデブリだと思います。言わば溶岩が固まったようなイメージだと思っていただければ」
880トンあるデブリを本格的に取り出すためには今後、工法の検討やさらなるロボットの開発が必要になると木野さんは話します。
■ 木野 正登参事官
「どこかに大きな穴を開けたり、原子炉を突き抜けて穴を開けていく。そういった工事方法の検討が大事になります」
また、今回の取り出しで見えてきた課題もあります。作業現場は放射線量が高く手順に誤りがあったり、装置のカメラが故障したりするなどのトラブルが相次ぎました。
■木野 正登参事官
「様々な教訓、勉強をした取り出しだった。東京電力自らも知見を高めていく、しっかり自らが関与していく。これをやっていかないと今後、数十年にわたるデブリの取り出しをうまく進めていくのは難しい」
廃炉を安全に、そして着実に進めていくためにも得られた成果や教訓を今後に生かしていくことが求められます。
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