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ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか! トランプ2・0で為替はどうなる 「ドル高容認」で日銀さらなる利上げも 臨時国会、国民の「可処分所得」増やす議論に注目

zakzak by夕刊フジ 2024年11月27日 15時30分

米大統領選が終わり、2期目のドナルド・トランプ政権の高官人事が徐々に明らかになってきました。「トランプ2・0」がどうなるのか、今からニュース番組の項目の中心です。存在感の大きさを日々感じています。

その関心の一つに、外交・安全保障があります。周辺が緊迫するわが国にとって、トランプ外交がどうなるかは死活問題ですが、諸説入り乱れています。

内向きになる「現代版のモンロー主義」で、同盟国をないがしろにするのではないかという説があります。一方、「Make America Grate Again(米国を再び偉大に)」のスローガンの通り、偉大な米国を実現するため海外にコミットするという説もあります。

トランプ氏は機会主義的で出たとこ勝負だから、読もうとしても仕方がないという、嘆き交じりの極論まで出る始末です。

これに対し、経済政策はすでにトランプ氏自身が発信しています。「トランプ減税を恒久化する」「移民の受け入れ制限と不法移民の送還を強化する」「外国からの輸入品に関税を課す」…。

いずれも、落ち着きを取り戻したかに見られる米国のインフレを再燃させかねません。インフレ再燃なら長期金利が上昇し、金利差を見越したドル買いが入るので為替はドル高方向に向かいます。

すでに市場では先取りした動きがあり、「トランプラリー」が始まったと言われます。為替に関して、トランプ氏はかねてから「ドル安志向」と言われ、一連の経済政策と整合しないのではないかと心配されています。米国内でのインフレとは関係なくドル安を成就させるため、相手国に通貨高(=ドル安)政策を強制するのではないかという懸念です。

日本に対しても、40年前のプラザ合意のように円高を強制されたらどうするか? 当時、輸出不振で円高不況と言われ、対策として低金利政策と内需拡大の財政出動が行われました。

今は内需不足が言われる中ですから、40年前に倣って財政と金融を両輪で吹かしていく「高圧経済」的な政策が行われればいいのです。しかし、手っ取り早い円高誘導策として日銀が利上げすると、内需がますます冷え込み目も当てられません。

一方で、財務長官候補のスコット・ベッセント氏は英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに、「良い経済政策をとれば、自然とドル高になると信じている」と発言しました。

トランプ氏も「基軸通貨としての米ドルを支持する」とドル高を容認する姿勢を示しています。この言葉通りなら、米新政権は決してドル安志向ではないことになり円安が進みます。日銀はより利上げに血眼になるかもしれません。

来たるトランプ2次政権の経済政策を考えると、円安や利上げに負けないほどの好景気を演出しなければ、国民の可処分所得は減少するばかり。臨時国会での経済対策の議論に注目です。

■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!Cozy up!」(月~金曜朝6―8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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