韓国が「雨漏り大国」であることは、日本のコリアウオッチャーの〝常識〟に属する。サムスン系の高級ホテルである「ホテル新羅(シルラ)」が、リニューアルオープンの直後に雨漏りに見舞われ…。完工から間もないソウルの高尺(コチョク)スカイドーム球場では、雨漏りのため観客が傘をさして野球観戦…と、漫画的な話題が尽きなかった。
しかし、そうしたニュースをすっかり見なくなった。公共施設や、大きなビルでは事後の防水工事が一段落したのか―と思っていたら違った。
AFP(10月25日)によると、「金浦(キンポ)空港で、2022~24年の3年連続で管制施設に雨漏りが発生。新管制塔の1階および18階天井からの漏水が確認されていた」。
日本の住宅でも一昔前は、雨漏りは日常的な風景だった。雨が降り始めると、いつもの箇所にビニールの風呂敷を広げ、その上にバケツを置いて…いや、中年世代ですら「そんな記憶はない」と言うだろう。日本では「雨漏り」という言葉そのものが死語になりつつある。
わずかの漏水も建造物の耐久年数を縮める。だから、日本の建設関係者は小さな漏水にも細心の注意を払っている。おかげで、「新築の住宅で雨漏り」、まして「完工間もない大型ビルで雨漏り」なんて、日本ではまず聞くこともない。
が、韓国では一昔前の建設文化が続いている。
韓国の大手建設の幹部はかつて、「うちは引き渡し後、不具合がでたら即座に補修工事をする」と自慢した。完璧に仕上げて引き渡す精神はないのだ。
AFPによれば、「18年から24年にかけて、7つの空港で18回の施設漏水」「空港公社は同期間に38回にわたる防水工事に約60億ウォン(6億円強)を費やしているが、それでも漏水は繰り返されている」という。ケンチャナヨ(大丈夫)補修工事の連続なのだろう。
外から見ればピカピカ。でも、中に入ると漏水。これこそ「外華内貧」の国の建設文化だ。
日本のマンションは、リニューアル工事をしていれば築50年でも支障なく生活できる。が、韓国のピカピカのマンションは15年もすると、もう住める状態ではなくなる。大規模なリニューアル工事をしたら、建物全体が崩壊しかねない。だから、取り壊し・新築となる。
いや、その方が国内総生産(GDP)の数値の押し上げには好都合に違いない。 (ジャーナリスト・室谷克実)