石破茂首相は就任後初めて地元の鳥取県に入った。少数与党で臨む臨時国会について「世論の高まりなく、少数与党の状況を乗り切っていく手立てはないのではないか」と述べたが、外交でも十分な成果を得られておらず、世論の目は厳しいままだ。
石破首相は11月30日、鳥取市内で開かれたシンポジウムに出席するためお国入りした。12月1日には、自民党総裁選への出馬表明を行った鳥取県八頭(やず)町の和多理(わたり)神社に佳子夫人とともに参拝し、支援者に首相就任を報告した。
首相は国会運営について「世論の高まり」に望みを託すが、自民党ベテラン議員は「国民人気が支えだったはずの石破首相だが、石破政権発足後、世論の支持率が下落している。『政権居座り』や『内政・外交両面の失態』が批判を浴びている。臨時国会中の多忙な時期に遠路地元へ『凱旋』したのは、苦しい政権運営のなかで少しでも安心感を得たい思いがあったのではないか」とみる。
石破首相は1日午前10時半ごろ、両親の墓参や生家への立ち寄りを終え、帰京するため車で鳥取空港に向かっていたところ、先導する警察の車に赤信号で追突する事故があった。けが人はなかった。
有馬晴海氏「『石破カラー』発揮は相当困難」
政治評論家の有馬晴海氏は「少数与党では『年収103万円の壁』の撤廃など、野党も同意する限られた懸案が焦点となり、世論が期待した『石破カラー』は発揮できない。このまま支持率が上がらないと、参院選までに交代論も強まる。法案成立などと引き換えの『辞職』の可能性もある。相当難しい国会運営となるだろう」と語る。
外交でも厳しい現実に直面した。11月の南米歴訪に合わせてドナルド・トランプ次期米大統領と面会できなかった首相だが、カナダのトルドー首相は11月29日、米南部フロリダ州でトランプ氏と会談した。
政府は「トランプ氏は大統領就任前はどの国の首脳とも面会しない方針」と説明していたが、必要ならば会うということも明らかになってしまった。外交の失敗も臨時国会で追及されそうだ。