今季1軍登板わずか1試合で白星がつかず、日米通算200勝へ足踏みが続く楽天・田中将大投手(36)。可愛がった後輩選手がパワハラで退団した昨年の騒動がいまだ尾を引き、〝お膝元〟から信頼回復を図る。
田中は10日、仙台市内で未経験、初心者を対象にした野球教室「マー君カップ」を初主催。子供たちと走り回りながら約3時間、交流を持った。これまで東京都内では野球経験者向けのイベントを行っており、地元ファンからは寂しがる声も上がっていたが、関係者によると本人は米大リーグから2021年に古巣に復帰以来、仙台での開催を望んできたという。コロナ禍で先送りされ、今回ようやく「地元のファンに還元したい」という思いが実った形だ。
イベント後は「やってよかった。継続的にやれたら」とさっそく恒例化に言及した田中。球団関係者は「以前は田中が先発する試合は観客動員できたが、そのパワーにも陰りが出てきている。今回は足元から見直して、そっぽを向かれた仙台のファンの信頼を得たいのだろう」と指摘する。
昨秋に後輩選手の不祥事に巻き込まれたイメージダウンから、失地回復したかった今季は自身初の0勝に終わり、全面支援体制だった球団上層部や親会社も一枚岩でなくなりつつある。せめて楽天での花道と監督就任の既定路線を堅守するには地元のファン、スポンサーの支持は欠かせない。「今回は全国区の大企業でなく、地元テレビ局の協力で開催した意義も大きい」と前出関係者。遅ればせながら、地道な足固めに注力していく。 (山戸英州)