今季のセ・リーグ公式戦と交流戦の試合開始時間が15日に発表されたが、夏場のデーゲームが消滅した広島の球団内部は複雑な思いを抱えている。
昨年の広島は7月から9月上旬までの本拠地で7月13、14日にヤクルト戦、9月7、8日に中日戦がデーゲームで組まれたが、今季はゼロ。地球温暖化に伴う酷暑対策は急務で、昨年12月に選手会から再考の声が出ていた夏場のデーゲーム問題は解消された。
広島の球団関係者は、これまで夏場にデーゲームを開催していた背景に、地元テレビ局からの要請があったと明かす。地上波でナイターを中継するためには、キー局が流す全国ネットの番組を差し替えなければいけない。平日のゴールデン帯はローカル枠がある曜日もあるため、広島の各局が順番に中継できるが、土日は差し替えが難しいという。一方で、デーゲームならローカル枠で中継することができる。
「ナイターは編成上、番組差し替えのハードルは上がる。テレビ局側から中継枠の融通が利く土日のデーゲーム開催希望は一定数あった」と説明。さらに球団幹部は「子供たちが安心して観戦でき、帰路につける時間での試合開催」と野球振興面から、デーゲーム開催を重視してきた。
しかし本拠地が屋外球場のうえ、セ・リーグで最も遠征の移動時間が長く、昨年はシーズン終盤に大失速でV逸。「選手の体調に配慮できなかった側面もある」とデメリット覚悟で、夏場のナイター開催に踏み切った。 (山戸英州)