前週のNYダウ、ナスダック総合、S&P500の米主要3指数はそろって6週連続で上昇し、週間では2023年後半以来となる最長の上昇期間となりました。一方、日経平均は為替が円安に振れても反応が限定的となり、3万9000円ラインを挟んでの往来相場が継続しています。
日経平均の伸び悩みには、27日に控えた衆議院選による政局不安が懸念材料となっています。国内外の機関投資家が、政治リスクを意識していることが考えられます。こうしたなか、23日には今年最大の新規上場(IPO)案件である東京地下鉄がデビューを果たしました。高い配当利回りや株主優待の魅力、好調な業績から上場後の株価が好調となれば、閉塞(へいそく)感が強かった東京市場の物色意欲にインパクトを与えてくれそうです。
その期待は十分にあり、鉄道事業に関係する銘柄に人気波及効果が期待できます。独立系のシステム開発企業で、東証スタンダードの「日本プロセス」(9651)は、その一翼を担う銘柄として有望です。
日本プロセスは独立系システム・ソフトウエア開発企業で、組込型、電力制御に強みを持ち、制御、自働車、特定情報、組み込み、産業・ICT(情報通信技術)ソリューションの各事業セグメントを持ち、このなかで、新幹線・在来線の運行管理システム、東京圏輸送管理システム、駅務機器などの開発を手掛けています。東京メトロと直接的な関係はないものの、東京メトロ人気の波及先の一つとなる期待が十分にあります。
配当利回り3%超
7月に日本プロセス株価は急伸しましたが、その材料となったのは配当政策の見直しでした。安定的な配当の継続と「連結配当性向概ね50%以上を目標」としていた従来の方針から「連結配当性向66%を目標」に引き上げました。その結果、今2025年5月期年間配当は前期比14円増の52円(うち11月中間配当26円)として、株価1400円台の配当利回りは3・6%に達する高配当利回り銘柄に変貌しています。
会社側の今5月期連結業績予想は、売上高100億円(前期比5・6%増)、営業利益10億円(同4・6%増)、経常利益10億6000万円(同5・1%増)、当期利益7億5500万円(同3・4%増)と、派手さはないものの、第1四半期(6~8月)で第2四半期経常利益計画に対する進捗(しんちょく)率は56%に達し、業績面での不安感はありません。3月期企業の第2四半期決算発表シーズン入りで、好決算でも発表後に材料出尽くしとして急落するケースもあり、3月期銘柄に手掛けにくさが意識されるなか、5月期好業績銘柄の同社は、その懸念がないことがポイントです。
1992年の新規上場年に2265円の最高値を付けていますが、その後の株価調整と低迷期を脱して、昨年から上昇トレンドが本格化し、最高値に次ぐ株価水準に出直っている株価には弾みが付いています。積極配当政策を掲げた1400円台の値頃感は魅力的な投資対象といえます。
■天野秀夫(あまの・ひでお) 日本大学法学部卒。1987年4月、日本証券新聞社に入社。記者、編集局長などを経て、代表取締役社長を12年近く務める。2017年4月、独立。証券・金融界、上場企業経営者とのパイプを生かし金融リテラシーへの貢献を目指す。