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有本香の以読制毒 狂気〝日中ワクチン〟コロナで開発協力 知中派・武見厚労相、友好路線回帰の愚 4年前、当局の情報隠蔽による大混乱お忘れか

zakzak by夕刊フジ 2024年7月23日 6時30分

先週末、目を疑うニュースが飛び込んできた。

北京を訪問した武見敬三厚労相が19日、中国の保健衛生当局トップの雷海潮・国家衛生健康委員会主任と会談し、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、日中間でワクチンや医薬品の開発について協力していくことで一致したというのである。

よりによって、あの中国と「ワクチンの開発協力」とは、正気の沙汰と思えない。

武見氏いわく、「1つの国だけでワクチンや経口薬を緊急時に短期間で開発するのは難しい時代だ。中国とも協力するのがお互いの利益になる」のだそうだ。

一国での開発が難しいのならなおのこと、組む相手は厳選すべきだろうに。一体何を考えているのか。

4年前、中国の湖北省武漢市から「謎の肺炎」が広がった際、中国当局が情報を隠蔽して世界を大混乱に陥れたことを武見氏は忘れたのだろうか。

新型コロナウイルスに対する中国製ワクチンの有効性の低さは、中国当局(中国疾病預防控制中心=CCDC)でさえも公言した事実だ。つまり、中国はワクチンなどの開発技術に乏しいため、例によって日本の技術力をあてにしているのだ。

中国でのワクチンの扱いの杜撰(ずさん)さ、知財権管理のデタラメさもよく報じられる。これら一連のことを武見氏や厚労省の官僚は知らないとでもいうのだろうか。

もう一つ、中国での薬品開発には重大な問題がある。

薬の治験、いやもっと野蛮な「人体実験」を強制収容された〝政治犯〟に行っている疑惑があることだ。

中国の強制収容所から奇跡的に生き延びた人たちからは「毎日のように正体不明の薬を飲まされ、注射された」という証言がある。筆者もじかに聞いている。

日本の安全保障の現状から最悪のタイミング、最悪の発表

大学院生時代、「日中国交正常化と自民党」という修士論文を書いたという「知中派」の武見氏。父の武見太郎氏を訪ねた田中角栄氏と、日中関係について直接会話したと朝日新聞のインタビューで語っている(朝日新聞GLOBE+、2022年10月13日)。武見氏はウイグル問題については一切知らんとでもいうのか。

余談だが、武見氏は同紙のインタビューで次のように語っている。

「自民党内の親台湾派にも2種類ある」「一つは、教条的に中国との対立を煽り立てる人々、もう一つは、中国とも協調することで台湾との実務関係をより安定させようと考える人々です。私は後者」「(戦前生まれの政治家が姿を消したため)中国に申し訳ないことをしたので、何とか中国の発展に力を貸したいという思いを持つ議員もいなくなりました」

武見氏のこうした中国認識を見れば、今回の「中国とのワクチン開発協力」はさもありなんだ。しかし、日本の安全保障の現状を考えれば、最悪のタイミングでの最悪の発表だといえる。

すでに「中国を脅威」と認めている米国で、ドナルド・トランプ前大統領がホワイトハウスに返り咲けば、一層強力な「対中シフト」が敷かれることは間違いない。そんな時機に、なぜ日本が「日中友好」路線への回帰をアピールするのか。

この馬鹿げたプランが浮上した要因の一つに、日本国内の薬不足があろう。漢方材料の生薬や、ジェネリック薬の大供給地である中国のご機嫌をとるための「開発協力」かと推測する。

それでも、日米離間の糸口、ウイグル人らへの重篤な人権侵害への加担すら予想される「日中ワクチン」計画は、何としても阻止しなければならない。

親中・岸田政権の親中・厚労相に、厳しい上にも厳しい「国民の声」を届かせるときである。

ありもと・かおり ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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