有名企業の就職に強い大学を業種ごとに紹介していく、業種別就職者数ランキングの10回目は、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)及びその他の航空会社にキャビンアテンダント(CA)として就職する学生が多い、「CAに強い大学ランク」をお届けする。
大学通信は毎年、医学部と歯学部の単科大学を除くすべての大学を対象に就職状況調査をしている。2024年は560大学(74・0%)から回答が寄せられ、その集計値でランキングを作成した。
コロナ禍の影響を最も受けたのが航空業界。22年卒のANAとJALを合わせたCAの就職判明数はゼロ人だった。それが23年卒は47人、24年卒はさらに増えて651人まで回復している。それでも、CAは女子の憧れの職業の一つで志望者が多いことから、狭き門に変わりはない。企業の採用支援を行っているワークス・ジャパン代表の清水信一郎氏は言う。
「CAになるには知力だけではなく体力も必要で、なによりCAとして働くためのマインドも重要な、就活のハードルが高い職種。大学入学前からCAを目指している人が少なくありません」
ランキングを見ていこう。1位の関西外国語大は、CAの就職実績が高い大学であり、清水氏が指摘する、入学前からCAを目指している学生が多い大学といえよう。航空機内を再現した「エアライン演習室」を持ち、現役CAを招いてのキャビンアテンダント講座を実施するなど、CAを目指す学生を手厚くバックアップする。
ランキングの大きな特徴は、2位の青山学院大や3位の関西学院大、4位タイの上智大と明治学院大、6位の同志社大、7位の立教大と、大半をキリスト教系の大学が占めていること。女子学生が多いことに加え、創立時から語学教育に力を入れてきたことが要因となっている。
CAは私立大が強く、ランキング中の大学を含め21位までを占めている。最難関クラスでは、16人の早稲田大が20位、10人の慶應義塾大が30位。一方、国立大は、就職者がいた119大学中、4大学にとどまる。その中で最上位は就職者4人で52位に入った大阪大。CAと親和性が高い外国語学部を有していることが背景にありそうだ。
航空会社別に就職者が多い大学を見ておこう。ANAの就職者が最も多いのは関西外国語大で39人。次位が青山学院大の19人で、関西学院大14人、明治学院大13人、上智大12人が続く。JALは青山学院大が22人で17人の関西外国語大と逆転。ちなみに青山学院大からパイロットなど、すべての職種を含めたJALへの就職者数は28人で、同大の就職者が最も多い企業となっている。3番目に多いのは立教大の16人で、同志社大14人、上智大13人が続く。
ANAとJAL以外の航空会社を集計すると、関西外国語大27人、関西学院大19人、東海大(総数17人、16位)15人、青山学院大と明治学院大が各11人となった。
■井沢秀(いざわ・しげる) 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。