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次期衆院選〝大混乱〟か 都知事選で蓮舫氏3位「立憲共産」裏目の大ダメージ 自民も都議補選で惨敗…総裁選、新たな「党の顔」焦点に

zakzak by夕刊フジ 2024年7月8日 15時25分

東京都知事選は7日投開票され、現職の小池百合子氏(71)が291万8015票を獲得して、3選を果たした。国政の対立を選挙戦に持ち込み、立憲民主党と共産党が全力支援した前参院議員の蓮舫氏(56)は2位さえ確保できずに「3位」に沈み込んだ。一方、自民党も東京都議補選(9選挙区)で擁立した8選挙区で「2勝6敗」という惨敗に終わった。これらの選挙結果は、批判優先の蓮舫氏に象徴された「立憲共産党」路線が無党派層が多い有権者から距離を置かれたうえ、岸田文雄政権への厳しい世論を改めて明らかにした。9月の自民党総裁選や次期衆院選を見据えて、与野党政局が加速しそうだ。

「都民の命と暮らしを守ることに、全身全霊で対応していきたい」

小池氏は当選確実となった7日夜、報道陣の取材に3期目への決意をこう語った。「学歴疑惑」や、自民党が派閥裏金事件で炎上するなか、厳しい選挙戦が見込まれた。前回から70万票超減らしたが、自民党と公明党と、地域政党「都民ファーストの会」、国民民主党都連、連合東京などが支援した。

一方、蓮舫氏は「反自民、非小池」を掲げて、立憲民主党や共産党、社民党など、いわゆる左派政党が全力支援した。共産党は、蓮舫氏の写真や名前が入った政策入りのチラシを制作して、広範囲に配布した。

ただ、参院当選4回、野党党首を含めて国会議員20年近いキャリアがありながら、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)の後塵を拝した。

立民、蓮舫氏3位で「立憲共産」裏目

立憲民主党関係者は「党内の『野党共闘』論者には厳しい結果だ。『政治とカネ』の問題で、自民党失墜の好機だっただけに、この結果は大ダメージだ。共産党との連携の是非など、次期衆院選に向けて戦略の練り直しが必要かもしれない。民主党政権当時の発言になぞらえ、『2位どころか3位』と揶揄(やゆ)された蓮舫氏も大打撃だ。あの批判スタイルが敬遠されたのかもしれない」と語る。

政治評論家の有馬晴海氏は「当初、小池氏の対抗馬は見当たらず、無風状態だった。そこに蓮舫氏が出て『対抗馬』として期待が膨らんだが、結局、2期の実績と、落ち着きがある小池氏が『座りが良い』という評価にたどりついたのでは」と分析する。

自民、都議補選惨敗「2勝6敗」

岸田首相率いる自民党も厳しい。

都知事選では、国政での〝大逆風〟を考慮し、政党色を隠して支援した小池氏が3選したが、〝地力〟が問われる都議補選では惨敗した。全9選挙区(いずれも被選挙数1)のうち、8選挙区に候補者を擁立したが、選挙前の5議席を下回る2議席だった。都議会第1党はかろうじて守った。

都政の自民党関係者は「都知事選はあくまでも小池氏の『勝利』だ。自民党の顔で戦った都議補選での惨敗が、今の〝実力〟を反映している。2勝6敗という結果は『岸田首相の顔では選挙に勝てない』という現実を改めて証明した」と断じる。

今後の政局は、どのような展開をたどりそうか。

前出の有馬氏は「蓮舫氏は、衆院3補選や各地の首長選で連敗する自民党を見て、都知事選に打って出たが、『立憲民主党が必ずしも世論に評価されていない』という現実を明らかにした。共産党の支援がなければ、さらに大負けしただろうが、共産党との連携で『逃げた票』もある。野党陣営としては、対案のない批判路線では、限界があるという教訓になったのではないか」と語る。

日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、東京には、自衛隊や在日米軍の中枢が集結している。共産党は党綱領に「自衛隊解消」「日米安保廃棄」を堂々と掲げている。

一方の自民党はどうか。

都知事選の選挙期間中、共同通信社が行った電話世論調査(6月29、30両日)で、次期衆院選の比例代表投票先を聞いたところ、18%が「立憲民主党」と回答し、自民党の16%を上回ってトップだった。ただ、普段の支持政党は自民党が25%で、立憲民主党の12%をリードした。

LGBT法の稚拙な法制化を受け、岸田政権から「岩盤保守層」が離反した。派閥裏金事件が重なり岸田自民党への不信感は高止まりしている。

有馬氏は「小池氏が勝利したことで、自民党関係者は『トップを代えればまだ勝てる』と胸をなでおろしただろう。立て直し次第で、『まだ、自民党がマシ』という評価を得られるかもしれない。ただ、この程度で自民党が失地回復したと思っている党関係者は誰もいない。党の『顔』を代えるなら誰なのか。緊張感のある雰囲気が本格化するだろう」と語っている。

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