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セ・リーグ指名打者制導入に「賛成派・反対派」それぞれの思惑 プロ野球12球団監督会議 5年前から平行線、交わる気配なし

zakzak by夕刊フジ 2025年1月21日 14時0分

5年前から伸び続ける平行線は交わる気配を見せない。プロ野球12球団は20日、東京都内で監督会議を開催。榊原定征コミッショナー(81)が年頭にセ・リーグでの指名打者(DH)制導入について言及し、今回の会議でも話題に上がったが、巨人が提案した2020年から反対意見が大勢を占める状況に変化は起きなかった。 (片岡将)

巨人が主導してDH導入の議論が交わされたのは20年11月から翌21年1月にかけてのこと。セ・リーグ理事会で提案したものの、他5球団の反対にあって見送られた。

現コミッショナーの榊原氏は23年1月の就任直後から、「セ・リーグのDH制はどうか」と問題提起。今年も年明けとともに「50何年も、セとパでルールが違うというのはノーマルな状態ではない」と訴え、「大リーグも両方ともDH制。趨勢としてはそういう方向」と再議論を促していた。

球界トップからの問題提起に、現場を預かる各球団の指揮官は敏感に反応。巨人・阿部慎之助監督(45)は「DHに関する議論もありました。投手のケガのリスクとか野手の寿命とか、そういうのを考えたら導入はいいことだと思う」とし、原前監督の路線を踏襲する姿勢を示した。

DeNA・三浦大輔監督(51)はDH制に言及しなかったが、球団関係者は「ウチの戦力を考えればDH制の方がありがたいけどね」とこちらも賛成の立場を示唆。

一方で従来から反対派の急先鋒とされる広島は、新井貴浩監督(47)も「いろんな駆け引きも醍醐味。戦略的な幅が広がる。投手が打席に立つ方が戦略戦術の幅があるのかなと思います。そっちの方が面白い」と球団の意向に沿った意見を述べた。ヤクルト・高津臣吾監督(56)も「セ・リーグで神宮球場を本拠地としている監督としてはDHは反対です」と反対の立場を表明。「ブルペンが見えるので、準備中の相手投手を見て打者起用を考えたり、継投策にも影響がある」と球場の特性が生む勝負の妙味を指摘し、DH制では試合の面白さが落ちると主張する。

阪神・藤川球児新監督(44)は「結局は監督会議では決められないもの。すべてはNPBに預かっていただいて決めていく。12票集まったからすぐにそうなるワケではない。監督は任期があるから」とし、自らの旗幟は鮮明にしなかった。

中日・井上一樹新監督(53)もDH制には言及せず、加藤球団本部長は「現時点ではノーコメントだな」と歩調を合わせながらも、「それぞれ賛成、反対ある。そういうことじゃない? なかなかね、ひとつの方向に進まない」と、相変わらず膠着して終わった論を受け止める。風穴を開けようと、ソフトバンク・小久保裕紀監督(53)が「交流戦中だけ全てDH制というのは」と提案したものの、各球団の反応は鈍かった。

賛成派は「DH要員の分だけレギュラーが1人増えて、余計にカネがかかるというのが反対派の理由だが、年俸総額はDHのあるパ・リーグの方が安い」などと辛抱強く説得を試みるが、この岩盤を切り崩す難工事にはあと何年かかるのか。

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