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勝負師たちの系譜 一番の名局は「大山康晴名人vs升田幸三九段」将棋連盟100周年 羽生会長以下、藤井竜王・名人など永世称号保持者が勢揃い

zakzak by夕刊フジ 2024年9月14日 15時0分

今年は東西の将棋会館が同時に竣工(しゅんこう)されるのと、日本将棋連盟創立100周年が重なり、将棋連盟にとって記念すべき年となった。

100年というのは、1924年に3つの会派が合併し『東京将棋連盟』が発足したときから歴史が始まる。

9月8日、東京・渋谷区の千駄ケ谷駅前に移転した新会館で、お披露目とテープカットが行われた。同じ千駄ケ谷でも現在の地から、駅前に進出したことになる。

羽生善治会長以下理事全員、藤井聡太竜王・名人、伊藤匠叡王や、谷川浩司十七世名人を始めとする、永世称号保持者が正装で揃(そろ)い、テープカットに臨んだ。

新会館はビルの1階部分だけだが、将棋連盟のイメージに合わせたか、木も使われ、和のテイストのあるビルとなっている。

午後は会場を内幸町の「帝国ホテル」に移しての、式典とファンとの交流会。

式典は、将棋連盟がお世話になった新聞社、協賛社、全国の支部連合会会長など、600人を超える会となった。

アトラクションは、この100年の対局の一番の名局を争うプレゼンを5人の棋士が行い、会場の皆さんに優勝を決めていただくというもの。

プレゼンターは私と森下卓九段、勝又清和七段、中村太地八段、森内俊之九段の5人。私は1971年の第30期名人戦、大山康晴名人―升田幸三九段(ともに当時)戦の、升田の天来の妙手、△3五銀を推してプレゼンをした。

他は竜王戦での谷川の△7七桂を推す棋士や、昨年の永瀬拓矢王座―藤井聡太七冠(ともに当時)戦の大逆転を推す人もいた。結果は微差で(恐らく谷川の妙手が2位)私の優勝となった。

「升田の△3五銀」と言われて何のことか分からない人は、大した将棋ファンではない、と言われる。私の下手なプレゼン能力を除けば、将棋としては一番の自信はあった。

その後は抽選会で、賞品は着物姿全員のサインが入った色紙。プロ棋士でも欲しいくらいのもので、当たった人はうれしそうだった。

夜のファンとの集いは、人気お笑いコンビ「サバンナ」の高橋茂雄さんが司会をしたから、会場は大盛り上がり。

クイズ大会、ビンゴ大会などで、ファンには楽しんでいただけたようだ。最近の将棋界のイベントでは、泊りがけで遠くから来ていただくファンもいて、ありがたいことと思っている。

青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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