米国財務省は先週、為替操作をしていないか注視する「監視リスト」の対象に再び日本を加えました。今回、日本は大幅な対米貿易黒字と多額の経常黒字という2つの基準に該当したとしています。ただ、この監視リスト入り、数字が当てはまったから形式的に行っただけです。
米国からすると、「儲かり過ぎはよくない。円安が追い風で儲けているのだから、円高になるような政策をしてくれ」ということなので、そういう意味では「為替介入は、ま、OK」という認識だと思います。ただ、イエレン財務長官は「為替介入はまれであるべきだ」とクギを刺していましたが。
円高にするような政策というと、利上げしかありません。日本は米国の顔色をうかがうことになるので、7月の利上げの可能性も結構濃厚になってきたと思われます。参議院の財政金融委員会で日銀・植田和男総裁は7月利上げについて「場合によっては十分あり得る」との認識を示していました。
結局、米国の経済事情が日本の経済政策に影響を与えているということ。しかし、いま利上げが必要なのでしょうか。本来、利上げは国内の賃上げを伴いながら、2%物価目標が安定的に達成された場合だったはず。そうした議論からは切り離されて物事が進みはじめていることに懸念しています。
個別で目についたのが、ワークマン、ヨネックス、東映アニメーションなどの東証スタンダードの主要銘柄。東証がTOPIXの見直し案で、スタンダード市場とグロース市場も対象とすることを公表、これを受けてスタンダードの時価総額が大きい銘柄が物色されました。
スポーツ用品のヨネックスは、パリ五輪関連ということもあって、伸びました。今後、スタンダードの優良企業は物色対象になると思われます。新しいテーマが久々に出てきました。
省エネ銘柄のパワー半導体関連も注目
あと、気になったのが、省エネ実現に欠かせないデバイスとして、スマホやEV、データセンターなど幅広い分野で使用されるパワー半導体関連。パワー半導体の先端素材である炭化ケイ素の基板の新製法を開発したセントラル硝子などの動きも引き続き注目です。
■おまけのひと言
「株主総会真っ盛りの6月後半は、投資家に支払われる配当金(総額7兆円規模といわれています)がどう使われるか期待されています。株の再投資に使われると、日経平均の上昇につながります」
【財ザク!】「貯蓄から投資へ」と提言する政府。その投資で少しでも財産アップを達成するために「うまちゃん」が有益な情報をザクザクとお届けします。
■馬渕磨理子(まぶち・まりこ) 経済アナリスト。日本金融経済研究所代表理事。イー・ギャランティ社外取締役。愛称・うまちゃん。1984年生まれ。滋賀県出身。同志社大学法学部卒、京都大学公共政策大学院修士課程修了。大学時代はミス同志社。『LiveNewsα』(フジテレビ系)など出演番組多数。新刊『収入10倍アップ超速仕事術』(PHP研究所)=写真=が話題。