Wミーティング「主役」
米大リーグの球団幹部や代理人らが一堂に会するウインターミーティングが9日(日本時間10日)に開幕。「主役」は、ワールドシリーズでドジャースに敗れたヤンキースだ。
テキサス州ダラスの会場に関係者が続々と到着した開幕前日の8日(同9日)には、ヤンキースからフリーエージェント(FA)になっていたフアン・ソト外野手(26)の流出が決まった。今オフ最大の課題だった主砲の引き留めに失敗。メッツに、15年総額7億6500万ドル(約1148億円)で奪われてしまった。
マネーゲームで無敵だったのは、ひと昔前の話。近年は大物FA選手の争奪戦で敗れるケースも珍しくない。ソトの契約は、総額がスポーツ史上最高で、年数と平均年俸は大リーグ史上1位。ホーム球場のスイートルーム使用権の有無が明暗を分けたという地元紙の報道もあり、同じニューヨークを本拠地にするメッツに完敗となった。
翌9日(同10日)にも、ヤンキースからFAのクレイ・ホームズ投手(31)がメッツと総額3800万ドル(約57億円)で3年契約。今季途中まで抑えとして30セーブを挙げた右腕も、来季はソトと同じユニホームを着ることになった。
だが、さすがはヤンキース、すぐさま次の手を打った。ブレーブスからFAのマックス・フリード投手(30)と10日(同11日)、左腕史上最高額(投手史上4位)の8年総額2億1800万ドル(約327億円)で合意したのだ。
フリードは2019年に自己最多の17勝を挙げるなど通算73勝36敗、防御率3・07。今オフFA投手の中では目玉の1人だった。同地区のライバルであるレッドソックスらと争奪戦になっていたが、ヤンキースは「ソト資金」を投入して決着をつけた。
フリードは獲得したものの、打線ではソトの穴が大きく、左打ちの外野手は引き続き補強ポイント。FA選手を狙うのか、手厚くなった先発投手を使ってトレードを画策するのか。ヤンキースの逆襲は続く。 (元全米野球記者協会理事 田代学)