韓国は25日(土)から「旧正月の大型連休」に入る。政府が27日(月)を臨時休日に指定したため6連休だ。サラリーマンが31日(金)に休暇を取れば9連休になる。その間、表舞台での政争はいくらか静かになるだろうが、問題は連休明けだ。
帰省先で、親族が大勢集まったところで、どんな政治論議が戦わされるのか。それが、連休明けの世論調査にどう反映するのか。今年の旧正月は、韓国政治の大きな転換点になるかもしれない。
韓国・交通研究院の予測によると、今年の旧正月には3500万人が移動する。海外旅行、国内旅行を楽しむ人も多いが、大きな流れは帰省だ。
地方の本家に親族が集まり、伝統の先祖崇拝の儀式を執り行う。そして祭壇に祀(まつ)った料理を食べて、酒が入る。
例年、傷害事件が発生する。多くは、いわゆる「嫁舅問題」から始まるが、今年は「弾劾政局」が親族の話し合いの中心争点になるだろう。
何しろ5人に1人が、どこかの政党の党員になっていて、「政治志向が違う人間とは口もききたくない」という国柄だ(もちろん、幽霊党員がかなりいる)。
集まった親族の中に与党の党員と野党の党員がいたら…激しい論争になるのは必至だろう。それを聞いていた親族がどちらの側に付くか。連休明けの世論調査が注目される理由だ。
連休入りを前に、サムスン電子がファウンドリ(半導体受託生産)部門への投資を、前年の半分に減らすとのニュースが流れた(ソウル経済1月21日)。
その理由は、「歩留まりの低迷と先端工程の遅延問題を抱え、ビッグテック(巨大IT企業)顧客を引き付けることができなかった」ことと言う。韓国経済を支えてきた主柱の揺らぎは深刻だが、このニュースは大政争の喧騒の中でかき消されたようだ。
大型連休中は、金融市場も門を閉じる。ニューヨークにいる韓国の金融マンも旧正月気分になるだろう。その間隙をヘッジファンドに突かれたら、韓国は対応しきれるだろうか。
あるいは、日本の金利引き上げで円高が進むと、韓国の資産家が深入りしている円キャリートレード(=金利が低い円を借り、ドルなどの金利が高い通貨に換えて運用し、利ざやを稼ぐ取り引き)が深刻な事態を迎えかねない。
政治は大揺れ、経済も不安いっぱいなのに、韓国社会は旧正月の大型連休を前に浮かれている。大丈夫なのだろうか。 (ジャーナリスト)