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列島エイリアンズ 外国人アルバイト編(1)コンビニ店員の〝外国人化〟がもっともな理由 多様化する業務と優秀な外国人、付いていけない日本人

zakzak by夕刊フジ 2024年8月14日 6時30分

厚生労働省が調査した2023(令和5)年10月末時点の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、資格外活動許可を得て就労している外国人は35万2581人で、前年比6・5%増となった。

資格外活動許可とは、留学生や本業が別にある在留外国人が、アルバイトなどで収入を得る際に取得が必要となる。総務省統計局による24年6月分の「労働力調査パート・アルバイトの雇用者数」は、およそ1500万人。単純計算すると、そのうち約2・3%は外国人という計算になる。実際には、日本人と結婚している場合など、資格外活動許可がなくともパート・アルバイトが可能な外国人もいるため、その割合はさらに高いだろう。

特定の業種のパート・アルバイトには、さらに外国人が集中している。コンビニエンスストア店員として働く外国人は8万人以上ともいわれ、これはコンビニ総従業員数の1割以上にあたる。

筆者の知人の50代男性が、都内でフランチャイズ経営するコンビニ店も、18人いるアルバイトのうち、11人がネパール人を中心とする外国人だという。

その理由について、彼はこう明かす。

「求人募集をしても、日本人で応募してくるのは中高年ばかり。私が言うのもなんですが、その年齢でコンビニでバイトしようという人たちのほとんどは、言っちゃ悪いが仕事ができない。イベントのチケットの発券やメルカリの発送など、コンビニ業務は多様化していて、それについていけないのです。大手メーカーを退職後にうちで働き始めた60代の男性は、在庫管理用のスマホ型の端末の使い方を覚えるのに半年かかりましたから…」

一方で、外国人アルバイトは皆、優秀という。

「多くが留学生で年齢が若いということもありますが、みんな仕事をすぐに覚えてくれる。それに急なシフト変更や深夜の残業も快諾してくれますし、日本語に少々難があっても、逆に英語ができるので外国人が来店した時に重宝する。これからも若い外国人にどんどん働いてもらいたい」

政府が外国人材の受け入れ拡大を進めるなか、日本人の雇用が奪われるのではないかという危惧が高まっている。しかし、パート・アルバイトの労働市場ではすでに、外国人が日本人を駆逐する現実が起きているのだ。 =つづく

外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。

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