巨人・高梨雄平投手(32)の4回にわたるインタビュー連載の最終回では、昨季リーグ優勝を支えた救援陣の「いい空気」を作った〝ブルペンの主〟の存在を証言。「野球少年は中継ぎに憧れないで」と訴えつつも、自らの仕事への誇りとやりがいを語る。 (片岡将)
――昨季は巨人投手陣の雰囲気の良さが伝わってきた
「若い子が増えてきて、成績も良かったっていうのもある。あとは連投のコントロールをしたりとか、(肩を)作る回数に関しては先発上がりのお二方(杉内、内海)が(投手)コーチだったんで、『俺らあんまり分かんないから準備は頼むわ』みたいに任せてもらえた。コミュニケーションとか意思疎通がコーチと密だったと思います」
――確かにコーチ陣との関係も良さそうだった
「大勢と内海さんがふざけてたりとかね。でも、クローザーの空気の方が僕はでかいと思いますね。大勢って打たれても抑えても、あんまり変わらない。マウンド行く前の空気も変にピリピリしてる感じじゃない」
――その空気感がブルペンに影響する
「やっぱりクローザーの空気がブルペンの空気を作るんで。クローザーがピリピリするタイプだと、やっぱり周りも『あんまりしゃべっちゃいけない』となる。いい空気をあいつが作ってる」
――自身はプロ入りから中継ぎ9年目。これほど続けられるのも珍しい
「上手いより強い方が生き残れますよ、中継ぎに関しては。一定の基準をクリアしてるんだったら、上手いより強い方と僕は思ってて。ジャイアンツに来たとき、当時の原監督が『強い選手になれ』ってみんなに言ってて、『そういうことだよな』と思ってました。稼ぐのは強いだけでも割といける。故障で泣く選手はいっぱいいるじゃないですか」
――今回の連載で少しは中継ぎの世界を知ってもらえたかと
「中継ぎに未来の野球少年があんまり憧れないように、かつ、あんまり悲観的にならないぐらいの温度感にしてください(笑)」
――では一番の喜びは
「結局やっぱり抑えたとき。結果出したときの歓声ですよ。やっぱり気持ちいいし。歓声浴びて、ベンチ戻って仲間とハイタッチ交わして。尋常じゃない量のアドレナリンとかエンドルフィンが出てる。後を継いだ仲間に『頑張れ!』って声出して、最高だと思いますね。僕は投げ終わりでベンチに座ったときって客席をよく見るんです。お客さんの顔とか盛り上がりとか見て、『ああ、いい仕事だな』って思いながらね」
(おわり)
■高梨雄平( たかなし・ゆうへい) 1992年7月13日、埼玉県川越市生まれ。川越東高、早大、JX―ENEOSを経て2016ドラフト9位で楽天入り。20年途中にトレードで巨人移籍。入団1年目から8年連続、救援のみで40試合以上に登板。通算428試合で防御率2・47。175センチ、86キロ。左投左打。来季年俸1億5000万円(推定)。