僕は10年ぶりにゴルフを再開したサラリーマン。ピッチングウエッジを手にした坂本コーチは「ご存じでしたか」と笑みを浮かべた。
「ウエッジは意外と新しいクラブなんですよ。1926年だったかな。誕生してまだ100年も経っていないんです。それまでは古称でニブリック（現在の9番アイアン）が最もロフト角の多いクラブだったのです」
坂本コーチによればPWに続いてサンドウエッジが登場したのは30年代前半とのこと。
「ゴルフスイングは投球動作と同じなんです。まさに『ピッチング』ウエッジで、その名の通りなのです」
そう話すと坂本コーチは、右手に持ったボールを地面に向けて投げつけた。これがスイングの肝だという。
「フルスイングではクラブヘッドを右足前に放り投げるイメージで振ります。これが基本中の基本となります。右肘がどうとか、体重移動はどうとか考える必要はありません。むしろ、考えてはいけません。トップスイングからインパクトまではおよそ0・4秒。クラブヘッドを振り上げたら、右足前に戻す感覚だけでダウンスイングしてみてください。そのための最適ギアを持ってきましょう」
そう言って坂本コーチはオフィスに消えたのだった。 （月曜掲載）
レッスン担当プロ＝坂本博之 1970年東京都出身。二輪国際A級プロレーサーとして活躍後、ゴルフに転向して2017年にPGAティーチングプロA級取得。独自器具での練習方法で、第12回PGAティーチングアワード最優秀賞。レーサー経験を生かしたユニークなレッスンが注目を集めている。スウィングデザイン＃19所属